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物性物理学特論

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令和4年度以降入学者 物性物理学特論
教員名 石田浩
単位数    2 課程 前期課程 開講区分 文理学部
科目群 相関理化学専攻
学期 後期 履修区分 選択必修
授業形態 対面授業
授業の形態 対面授業
Blackboard ID 20234866
授業概要 “物性”すなわち、物質の性質をミクロの物理法則から理解する。物性物理学では、物質の巨視的な性質(色、硬さ、電気伝導率、磁化率など)を、物質中のイオンと電子の振舞いにさかのぼって微視的に理解する。ここでイオンや電子の運動を記述するため量子力学が必要となり、また熱平衡状態の莫大な個数の粒子を扱うため統計力学が必要となる。本講義では、結晶固体の電子物性を中心に学ぶ。まず、自由電子モデルを用いて、波数空間、状態密度、フェルミ準位等の概念に親しむ。次に結晶格子ポテンシャルによって、電子のエネルギーバンド構造が生じることを学ぶ。エネルギーバンド構造に基づいて、固体の電気物性(金属、半導体、絶縁体)や光学特性が理解できることを示す。また電子と格子振動の結合によって超伝導状態が発生することを学ぶ。
授業のねらい・到達目標 本授業では、まず多電子系を扱うための一体近似(平均場近似)について説明する。次に自由電子モデルを用いて、波数空間、状態密度、フェルミ準位等の概念に親しむ。次に結晶格子ポテンシャルによって、電子のエネルギーバンド構造が生じることを学ぶ。エネルギーバンド構造に基づいて、固体の電気物性(金属、半導体、絶縁体)や光学特性が理解できることを示す。エネルギーバンドの応用として、半導体の電子状態とトランジスタなどの原理を学ぶ。また、電子と格子振動の結合によって超伝導状態が発生することを学ぶ。
・多電子系を扱うための一体近似(平均場近似)について説明できる。
・自由電子モデルを用いて、固体中の電子の状態密度、フェルミ準位等を計算できる。
・周期的な格子ポテンシャルのある場合のシュレーディンガー方程式を波数空間で書き表すことができる、
・電子のエネルギーバンド、エネルギーギャップについて説明できる、
・ユニットセル中の価電子数とエネルギーバンドの占有数の関係を説明できる、
・エネルギーバンド構造にもとづいて金属、絶縁体に分類できる、
・代表的な結晶のエネルギーバンド構造を理解して、状態密度から物質の物性を予測できる、
・真性半導体、不純物半導体(p型、n型半導体)、ドナー準位、アクセプター準位について説明できる、
・孤立イオンの磁気モーメント、隣接イオン間の相互作用による強磁性転移について説明できる。
・超伝導体の物性について説明できる、
・超伝導に関するBCS理論について説明できる(A-3-3)。
授業の形式 講義
授業の方法 黒板およびパワーポイント教材を使った対面形式で対面授業を行う。
授業計画
1 イントロダクションとして、物性物理学とは何かを説明する。また一電子のシュレーディンガー方程式、原子に束縛された電子のエネルギー準位について復習する。
【事前学習】「量子力学」、「量子化学」のノートを復習しておく。 (2時間)
【事後学習】ノートを読み返し理解不⾜を補うとともに、 授業中に出された演習問題をとく 。 (2時間)
2 多電子系のシュレーディンガー方程式を復習する。ハートレー-フォック近似の波動関数が、パウリの排他律を満たすことを示し、ハートレー-フォック近似の一電子の波動方程式を導く。
【事前学習】「量子力学」、「量子化学」のノートを復習しておく。 (2時間)
【事後学習】ノートを読み返し理解不⾜を補うとともに、 授業中に出された演習問題をとく 。 (2時間)
3 ハートレー-フォック近似を電子気体に適用して、電子気体の交換エネルギーを電子密度の関数として導く。
【事前学習】「量子力学」、「量子化学」のノートを復習しておく。 (2時間)
【事後学習】ノートを読み返し理解不⾜を補うとともに、 授業中に出された演習問題をとく 。 (2時間)
4 固体物理のみならず、量子化学の分野でも広く用いられれる密度凡関数理論(DFT)について学ぶ。
【事前学習】「量子力学」、「量子化学」のノートを復習しておく。 (2時間)
【事後学習】固体のフェルミ波数、フェルミエネルギーを、固体中の電子の数密度のみの関数として表す。 (2時間)
5 密度凡関数理論(DFT)の実際の近似計算方法として、局所密度近似(LDA)、一般化密度勾配近似(GGA)等について説明する。
【事前学習】次回テーマに関して参考書等に目を通しておく (2時間)
【事後学習】フェルミ球がシフトしたときに生じる電流の大きさを1~3次元自由電電子系について計算する。 (2時間)
6 固体中の電子状態の第0近似として自由電子モデルを扱う。パウリの排他律とスピン自由度を考慮して。1次元、2次元、3次元の電子系について基底状態を計算する。フェルミ波数、フェルミエネルギー、フェルミ面、状態密度について学ぶ。
【事前学習】次回テーマに関して参考書等に目を通しておく。 (2時間)
【事後学習】ノートを読み返し理解不⾜を補うとともに、 授業中に出された演習問題をとく 。 (2時間)
7 金属の電気抵抗の原因になる不純物、フォノンとの衝突について説明し、緩和時間近似で金属の電気伝導率、抵抗率を計算する。また金属の電気抵抗の温度変化の原因を学ぶ。
【事前学習】線形代数で学んだ行列の固有値方程式の復習をしておく。 (2時間)
【事後学習】ノートを読み返し理解不⾜を補うとともに、 授業中に出された演習問題をとく 。 (2時間)
8 結集ポテンシャルが逆格子ベクトルを用いてフーリエ展開できることを示す。Blochの定理を説明して、結晶の電子は波数ベクトルを量子数に持つことを学ぶ。電子のシュレーディンガー方程式を、平面波表示で表し、エネルギー固有値の計算が行列の対角化になることを学ぶ。
【事前学習】2x2の行列の固有値方程式の解法を復習する。エルミっと行列の固有値がじっすであることを復習しておく。 (2時間)
【事後学習】ノートを読み返し理解不⾜を補うとともに、 授業中に出された演習問題をとく 。 (2時間)
9 波数 kをもつの電子の固有値方程式を1次元の場合に適用して、Brillouin域境界でエネルギーギャップが生じることを学ぶ。一般化して、3次元結晶のエネルギーバンドとバンドギャップについて学ぶ。
【事前学習】次回テーマに関して参考書等に目を通しておく。 (2時間)
【事後学習】ノートを読み返し理解不⾜を補うとともに、 授業中に出された演習問題をとく 。 (2時間)
10 エネルギーバンドに収容できる電子数が、スピンに関して縮退していればユニットセル当たり2個であることを説明する。これを用いて固体を金属と絶縁体に分類する。代表的な、単純金属、遷移金属、絶縁体について第一原理計算で得られるエネルギーバンド構造を説明する。
【事前学習】次回テーマに関して参考書等に目を通しておく。 (2時間)
【事後学習】ノートを読み返し理解不⾜を補うとともに、 授業中に出された演習問題をとく 。 (2時間)
11 エネルギーバンド理論が成功した例として半導体の物理を学ぶ。真性半導体と不純物半導体(p型、n型半導体)について学ぶ。間接ギャップと直接ギャップ半導体の違いについて学ぶ。半導体pn接合の界面領域における電子状態を取り上げる。pn接合に正負のバイアス電圧をかけたときの電流について学ぶ。pn接合を2つ組み合わせたバイポーラ型トランジスターの原理と電界効果型MOSトランジスターの原理を学ぶ。
【事前学習】次回テーマに関して参考書等に目を通しておく。 (2時間)
【事後学習】ノートを読み返し理解不⾜を補うとともに、 授業中に出された演習問題をとく 。 (2時間)
12 孤立原子中の多電子による全軌道角運動量、全スピン角運動量、全角運動量と磁気モーメントの関係について学ぶ。ランデのg因子を導く。また孤立磁性イオンの磁化率について学ぶ。さらに、磁性イオンからなる固体を考え、平均場近似の範囲で、強磁性状態が転移温度以下で生じることを学ぶ。強磁性体の磁化率を導く。
【事前学習】次回テーマに関して参考書等に目を通しておく。 (2時間)
【事後学習】ノートを読み返し理解不⾜を補うとともに、 授業中に出された演習問題をとく 。 (2時間)
13 超伝導現象の歴史を紹介した後、超伝導体を特徴づける永久電流、マイスナー効果、ジョセフソン効果について概説する。熱力学を用いて超伝導体の相転移を議論する。超伝導体のBCS(Bardeen-Cooper-Schriefer)理論を紹介する。電子間にフォノンを媒介とした引力が働き、フェルミエネルギー付近の電子がクーパー対を作った状態が超電導状態であることを学ぶ。
【事前学習】次回テーマに関して参考書等に目を通しておく。 (2時間)
【事後学習】ノートを読み返し理解不⾜を補うとともに、 授業中に出された演習問題をとく 。 (2時間)
14 これまでの授業を振り返って、期末テストを実施し、フィードバックする(A-3-3)
【事前学習】これまでの授業内容について復習しておくこと。 (2時間)
【事後学習】解けなかった問題について、もう⼀度ノート、パワポ教材を参照して解きなおすこと (2時間)
15 まとめ(これまでの復習・解説を⾏い,講義内容の理解を深める)
【事前学習】「物性物理学特論」のテキストをまとめたノートを整理する。 (2時間)
【事後学習】ノートを読み返し理解不⾜を補うとともに、 授業中に出された演習問題をとく 。 (2時間)
その他
教科書 使用しない
参考書 使用しない
成績評価の方法及び基準 授業内テスト:小テストおよび期末テストを実施する(100%)
小テストの提出回数が十分でない場合は成績評価の対象としない
オフィスアワー 授業内容に関する質問は授業後あるいは学科事務室で受け付けます。その後、時間を調整して、物理学科図書室または本館1階で応対します。

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