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無機分析化学

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令和2年度以降入学者 無機分析化学
令和元年度以前入学者 分析化学6
教員名 高橋純一
単位数    2 学年 3・4 開講区分 文理学部
科目群 化学科
学期 後期 履修区分 選択必修
授業形態 対面授業
Blackboard ID 20234499
授業概要 分析化学は机上の知識と同時に,実験技術の熟達を必要とする。その⽬的は対象試料に含まれる化学種の真の姿を描き出すことにある。この授業では,主として原⼦スペクトル法を⽤いる実際の微量⾦属分析を例にとり、分析法の原理・装置の構成と共に、サンプリングから結果の考察に到るまでの過程を学ぶ。授業の前半は各種の機器分析法について原理・装置構成を学び,後半は現場での分析に焦点を当て,分析化学と現場分析の⽬指すゴールの違いを理解する。また分析の失敗例から試料とは何か、正しい分析値とは何を意味するのか,そしてなぜ分析に失敗するのかを考察する。
授業のねらい・到達目標 この科⽬は⽂理学部(学⼠( 理学))のDP及びCP3,4 に対応しています。
分析化学は現場における化学・物理分析の理論的支持母体である。しかし分析化学が科学の一環として対象物質の真の姿を描き出すことを目的とするのに対し,現場における分析ではまず正しいと思われる値を提出することが一義的に要求される。目的が異なるためにしばしば齟齬を生じ,分析を依頼する研究者あるいは分析値を必要とする依頼者と,分析者の間で誤解が生まれる。本授業においては,このギャップがなぜ生まれ,いかにすれば埋められるかについて考察し理解できるようにすることをそのねらいとする。正しい値とは誰にとって正しいのか、 分析の目的とは何か,について説明できるようになることが到達目標である(A-4-4)。またそのために分析者として,分析の依頼者と分析の「契約」に関して交渉できること(A-4-4),機器分析の原理,分析装置の構成をなぜ知る必要があるのか(A-3-4) , ブラックボックスではなぜいけないのかをきちんと説明できること(A-4-4)なども到達目標である。
授業の形式 講義
授業の方法 事前学習⽤に,授業で使⽤するスライドのpdfファイルをBlackboardに公開することを予定している。毎回の授業の最後に⼩課題を提示するので,Blackboardを通じて提出すること。フィードバックはコメントとして学⽣1⼈1⼈に答えるつもりでいる。やむを得ず対面授業に参加できない場合は,Blackboardを通じて外部の動画サイトより,簡単な音声コメントをつけた動画を見て学習してもらう。動画ファイルの有効期間は授業日より1週間までとする。課題,小テストはBlackboardにも提示する。提出期限は原則的に次回の授業日前までとする。
履修条件 特になし
授業計画
1 イントロダクション:産業界における微量⾦属分析を例にとり,なぜ分析しなくてはいけないのかについて講義する。
【事前学習】スライド資料に目を通しておくこと (1時間)
【事後学習】課題を検討すること (3時間)
【授業形態】対面授業
2 基本用語:分析化学で⽤いる基本⽤語のうち,単位,純度,感度,検量線,検出限界,不確かさなどについて講義する。
【事前学習】スライド資料に目を通しておくこと (1時間)
【事後学習】課題を検討すること (3時間)
【授業形態】対面授業
3 X線分析:X線について説明し,これを使う主たる分析法であるX線回折と蛍光X線をとりあげる。
【事前学習】スライド資料に目を通しておくこと (1時間)
【事後学習】課題を検討すること (3時間)
【授業形態】対面授業
4 原子吸光法:原子スペクトル分析法の基礎として原子吸光をとりあげる。原子吸光法の特殊な応用例として水銀とヒ素の分析を紹介する。
【事前学習】スライド資料に目を通しておくこと (1時間)
【事後学習】課題を検討すること (3時間)
【授業形態】対面授業
5 ICP分析法:原子スペクトル分析の発展形として誘導結合プラズマ(ICP)発光分析および質量分析をとりあげる。
【事前学習】スライド資料に目を通しておくこと (1時間)
【事後学習】課題を検討すること (3時間)
【授業形態】対面授業
6 顕微鏡・小テスト:分析の最初のステップとなる「形態を見る」という点から,顕微鏡について説明する。各種顕微鏡の構造,光学顕微鏡から電子顕微鏡,トンネル顕微鏡へと進展していった経緯について講義する。課題提示の代わりに小テストを実施する。レポートとして提出すること。
【事前学習】スライド資料に目を通しておくこと (1時間)
【事後学習】小テストの回答作成をする (3時間)
【授業形態】対面授業
7 分析設計:実際に分析を行う際のプロセスを組み立てる,という分析設計について説明する。その流れに従って実試料のサンプリングについて述べる。分析から離れて,対象試料としての硫酸について講義する。
【事前学習】スライド資料に目を通しておくこと (1時間)
【事後学習】課題を検討すること (3時間)
【授業形態】対面授業
8 容器について:分析の特に極微量,極低濃度を扱う場合の容器の選択,洗浄について講義する。
【事前学習】スライド資料に目を通しておくこと (1時間)
【事後学習】課題を検討すること (3時間)
【授業形態】対面授業
9 試料前処理:分析装置にかける前の試料処理について講義する。原⼦スペクトル分析法は液体試料を導⼊するものであり,試料前処理は液化処理を意味する。
【事前学習】スライド資料に目を通しておくこと (1時間)
【事後学習】課題を検討すること (3時間)
【授業形態】対面授業
10 実試料分析例:工場排水の分析,太陽電池に用いるシリコンの不純物分析,鉄鋼,食品等についての分析例を紹介する。
【事前学習】スライド資料に目を通しておくこと (1時間)
【事後学習】課題を検討すること (3時間)
【授業形態】対面授業
11 環境汚染の問題:身近な環境汚染の例を紹介する。分析化学の知識を応用する。授業後半の時間を使って2回目の小テストを実施する。その場で回答を仕上げる。
【事前学習】原子スペクトル分析の資料に目を通しておくこと (1時間)
【事後学習】小テストの回答について再検討すること (3時間)
12 危険行為について:分析実験を実施するときの危険⾏為や危険な対象試料について説明する。原子吸光法の特殊な応用例としてカドミウムと亜鉛の分析例についても紹介する。前回の小テストについて解説することも予定している。
【事前学習】スライド資料に目を通しておくこと (1時間)
【事後学習】課題を検討すること (3時間)
【授業形態】対面授業
13 分析の失敗例:実際の現場における分析失敗例として⽑髪分析と天然⽔晶の分析について講義する。
【事前学習】スライド資料に目を通しておくこと (1時間)
【事後学習】課題を検討すること (3時間)
【授業形態】対面授業
14 分析の失敗例(2):分析失敗例として鉄鋼中のリン分析,⼟壌中の微量ヒ素分析について講義する。ウランとトリウムの原子スペクトル分析について紹介する。
【事前学習】スライド資料に目を通しておくこと (1時間)
【事後学習】課題を検討すること (3時間)
【授業形態】対面授業
15 分析結果を考える:社会問題を取りあげながら分析結果の重みについて考える。最終課題を提示する。
【事前学習】スライド資料に目を通しておくこと (1時間)
【事後学習】最終課題の回答を作成する (3時間)
その他
教科書 特に指定はなし。事前公開するスライド資料は板書の⼿間を省くためのもので,あくまでも参考に過ぎず,授業をよく聞いてノートをとること。
参考書 千葉光一 他 『ICP発光分析 (分析化学実技シリーズ4巻)』 共立出版 2013年
太田清久 他 『原子吸光分析 (分析化学実技シリーズ5巻)』 共立出版 2011年
田尾博明 他 『誘導結合プラズマ質量分析 (分析化学実技シリーズ17巻)』 共立出版 2015年
分析法の原理,装置構成について授業の参考になる。
成績評価の方法及び基準 レポート:最終試験に代えて提出する。(40%)、授業内テスト:1回はレポートとして,他の1回は授業内で実施する。(40%)、授業参画度:出席点(10%)、毎回の小課題(10%)
レポート:レポートとしての体裁,⽂章の出来不出来も内容と共に評価する。誤字脱字,意味不明の⽂章,期限後の提出などは厳しく減点する。授業内テスト:主として知識を問うものとする。覚えているかより考えているかを重点的にみる。授業参画度:毎回出席をとる。その他:毎回の⼩課題に対する回答を評価する。課題作⽂,レポートなどについて期限後の提出は減点対象とするが,必ず提出すること。対面授業に参加できない場合も,Blackboardを通じて毎回の課題,小テスト,最終課題を提示するのでオンラインで提出すること。
オフィスアワー 授業前後,あるいはメールにて随時対応する。

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