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美学課題研究4

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令和2年度以降入学者 美学課題研究4
令和元年度以前入学者 美学課題研究4
教員名 高橋陽一郎
単位数    1 学年 2~4 開講区分 文理学部
科目群 哲学科
学期 後期 履修区分 選択必修
授業形態 対面授業
授業の形態 原則として遠隔対応はしない。
Blackboard ID 20233528
授業概要 (1)「藝術が分かるとはどのようなことか」という問題について、藝術学者ダゴベルト・フライ(Dagobert Frey, 1883-1962)の論文Zur Deutung des Kunstwerks (1958、未訳)の読解を通じて考える。フライは、マックス・ドヴォルシャックの流れを汲む美術史のウィーン学派に属し、日本では比較藝術学(vergleichende Kunstwissenschaft)の先駆者として知られている。藝術の「分かり方」にはさまざまな様態がありうるが、ここではDeutungすなわち意味解明的な分かり方を中心に上記の問題を考える。読解に際し、フライと比較的近い立場から同種の問題に応えたハインリッヒ・ヴェルフリン(Heinrich Wölfflin, 1864-1945)の論文Das Erklären von Kunstwerken (1940、邦訳あり)を適宜参照する。なお、今年度は前年度の続きの部分を読んでゆく。
(2)受講者各自が専門とする美学藝術学研究のプレゼンテーションを行ってもらい、受講者間で議論する。
授業のねらい・到達目標 翻訳のない上記ドイツ語原典を読解することを通じて、外国語文献の翻訳に習熟すること、同時に、日本語訳では伝わらない用語のニュアンスに至るまで理解できるようになることが、本授業の第一の目的である。また、本テキストは多かれ少なかれ藝術研究をする者が共通していだく問題意識に応えていると思われるので、本論文を読解することにより、受講者各自が自己の研究を深めてもらうことが本授業の第二の目的である。
・自他の主張や論証を論理的・批判的に考察して,既存の見解を問い直すことができる(A-3-3)。
・自らの思想的課題に取り組むために必要な情報を収集し,それを分析して用いることができる(A-5-3)。
・さまざまな人とコミュニケーションをとり,傾聴力と発表力に基づいて,合理的な議論を推進することができる(A-6-3)。
・さまざまな集団活動において,より良い成果を上げるために,指導者として他者と協働し,作業を行う姿勢を示すことができる(A-7-3)。
・自分の学修経験を振り返り分析して,今後の改善計画を立てることができる(A-8-3)。

この科目は文理学部(学士(文学))のDP及びCPの3,5-8に対応しています。
授業の形式 ゼミ
授業の方法 授業の形式:【ゼミ】
(1)毎回当番がテキストの訳読案や文法の説明を全員に配布(配信)・共有し、議論しながら授業を進めてゆく。
(2)各自の自由研究を後学期に一度、発表していただく。他の参加者は発表内容に基づいて質疑応答する(コロキアム形式)。
・(1)については、発表者以外の受講者もテキストを熟読して参加し、当番の訳読呈示に対し積極的に質疑応答し、理解を深める。また受講者は、復習にも時間を十分にかけ、フライの思想やそこに使われているドイツ語の学修に努める。
・(2)においては、他のゼミ生の研究の個性を認め、互いに質疑応答し合うことを通じて、自分の研究の進展に役立てる。
なお、本授業の事前・事後学習は、合わせて4時間を目安とします。
履修条件 履修を許可された者に限る。
授業計画
1 ガイダンス:美的体験論および前年度内容の復習(A-3-3)
【事前学習】1年生時に履修した「美学概論」前期の内容を復習しておく。 (2時間)
【事後学習】美的体験と異なる藝術の知的理解について、ノートを作成する。 (2時間)
【授業形態】対面授業
2 D. Frey, Zur Deutung des Kunstwerks、88-89頁の読解(1)―「正しい解明」への問題提起―(A-5-3)
【事前学習】テキスト88-89頁の単語と文法を調べた上で、問題の所在をノートする。 (2時間)
【事後学習】テキスト88-89頁の単語と文法を復習し、要旨のメモを作る。 (2時間)
【授業形態】対面授業
3 D. Frey, Zur Deutung des Kunstwerks、89頁の読解(2)―イコノロジーの検討(1)―(A-3-3)
【事前学習】テキスト89頁の単語と文法を調べた上で、問題の所在をノートする。 (2時間)
【事後学習】テキスト89頁の単語と文法を復習し、要旨のメモを作る。 (2時間)
【授業形態】対面授業
4 D. Frey, Zur Deutung des Kunstwerks、90頁の読解(3)―イコノロジーの検討(2)―(A-5-3)
【事前学習】テキスト90頁の単語と文法を調べた上で、問題の所在をノートする。 (2時間)
【事後学習】テキスト90頁の単語と文法を復習し、要旨のメモを作る。 (2時間)
【授業形態】対面授業
5 D. Frey, Zur Deutung des Kunstwerks、91頁の読解(4)―イコノロジーの検討(3)―(A-3-3)
【事前学習】テキスト91頁の単語と文法を調べた上で、問題の所在をノートする。 (2時間)
【事後学習】テキスト91頁の単語と文法を復習し、要旨のメモを作る。 (2時間)
【授業形態】対面授業
6 D. Frey, Zur Deutung des Kunstwerks、92頁の読解(5)―イコノロジーの検討(4)―(A-5-3)
【事前学習】テキスト92頁の単語と文法を調べた上で、問題の所在をノートする。 (2時間)
【事後学習】テキスト92頁の単語と文法を復習し、要旨のメモを作る。 (2時間)
【授業形態】対面授業
7 受講者の研究発表会とディスカッション(1)―二年生―(A-6-3)
【事前学習】事前学習はなし。
【事後学習】二年生受講者の発表内容と自分の専門研究との関係について説明できるようにしておく。 (2時間)
【授業形態】対面授業
8 受講者の研究発表会とディスカッション(1)―二年生―(A-6-3)
【事前学習】前回の授業時に質問できなかった研究発表の内容についての疑問点を述べられるようにしておく。 (2時間)
【事後学習】二年生受講者の発表内容と自分の専門研究との関係について説明できるようにしておく(A-5, A-6, A-7, A-8) (2時間)
【授業形態】対面授業
9 受講者の研究発表会とディスカッション(1)―三年生―(A-7-3)
【事前学習】前回の授業時に質問できなかった研究発表の内容についての疑問点を述べられるようにしておく。 (2時間)
【事後学習】三年生受講者の発表内容と自分の専門研究との関係について説明できるようにしておく。 (2時間)
【授業形態】対面授業
10 受講者の研究発表会とディスカッション(1)―三年生―(A-7-3)
【事前学習】前回の授業時に質問できなかった研究発表の内容についての疑問点を述べられるようにしておく。 (2時間)
【事後学習】三年生受講者の発表内容と自分の専門研究との関係について説明できるようにしておく。 (2時間)
【授業形態】対面授業
11 H. Wölfflin, Das Erklären von Kunstwerkenの読解(1)―ヴェルフリンの立場について―(A-5-3)
【事前学習】ヴェルフリンの代表作『美術史の基礎概念』などを紐解き、その美術史学上の特徴を把握しておく。 (2時間)
【事後学習】ウィーン学派の「様式」概念について簡単なメモを作成する。 (2時間)
【授業形態】対面授業
12 H. Wölfflin, Das Erklären von Kunstwerkenの読解(2)―本論文の中心的主張―(A-5-3)
【事前学習】邦訳で本論文を通読して、特徴と思われる点を列記する。 (2時間)
【事後学習】本論文の重要部分の語彙や文法を復習し、主旨をノートする。 (2時間)
【授業形態】対面授業
13 H. Wölfflin, Das Erklären von Kunstwerkenの読解(3)―作品の「説明」とは何か―(A-5-3)
【事前学習】鑑賞(観照)と学問的態度の異同について考察し、メモを作成する。 (2時間)
【事後学習】本論文の重要部分の語彙や文法を復習し、主旨をノートする。 (2時間)
【授業形態】対面授業
14 H. Wölfflin, Das Erklären von Kunstwerkenの読解(4)―フライとの異同―(A-8-3)
【事前学習】フライとの異同に留意しながら、ヴェルフリンの論の特徴についてまとめる。 (2時間)
【事後学習】藝術作品の説明というテーマで小レポートを作成する。 (3時間)
【授業形態】対面授業
15 授業のまとめ―藝術作品の理解について―(A-8-3)
【事前学習】作品に対する藝術学的なアプローチの可能性と限界についてノートを作成する。 (2時間)
【事後学習】藝術作品の理解に関するレポート作成に着手する。 (3時間)
【授業形態】対面授業
その他
教科書 教科書なし。プリントを配布します。
参考書 なし
成績評価の方法及び基準 授業参画度:ディスカッションへの参加の度合いで評価します。(50%)、後期に一度行っていただく研究発表の完成度で評価します。(50%)
レポートと自由研究のプレゼンテーションによって、自己の思想的課題をどれほど発見し、またそれにどれほど答えているか、また自他の主張や論証に対してどれほど論理的・批判的に考察できているかの到達度を評価する。
自由研究のプレゼンテーションによって、コミュニケーション能力やディスカッション能力の到達度を評価する。
テキストの共同翻訳作業によって、学問的な協働の到達度を評価する。
テキスト読解と自由研究プレゼンテーションの双方を通じて、当該テキストをいかに自己の研究課題に生かしているか、またその見通しを持っているかを到達度の観点から評価する。
なお、自分が当番に当たっている授業に参加できない回がある場合は、可能なかぎり、当該箇所の文法説明と訳文を前もって作成し(原典訳解の場合)、もしくは発表原稿をBlackboard等を通じて提出し代読することをもって参加に代える。
オフィスアワー 授業後(またはBlackboardを通じて)随時設ける。

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