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心理療法特論

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令和2年度以降入学者 心理療法特論
教員名 倉光修
単位数    2 課程     開講区分 文理学部
科目群 心理学専攻
学期 集中 履修区分 選択必修
授業の形態 対面授業(実習)
必要に応じて、同時双方型授業(Zoomによる)を行う可能性もある
授業概要 心理療法にはさまざまな学派やアプローチがあるが、実際の臨床場面においては、多くのセラピストやカウンセラーが、クライエントの内的・外的状況と、セラピストのオリエンテーションや個性に合わせて、さまざまな理論や技法を統合したり折衷したりしている。この授業では、講師が臨床心理士としての経験を踏まえて実践している統合的アプローチ(AIO)の理論と技法について実習を通して学ぶ。
授業のねらい・到達目標 この授業の到達目標は、AIOの理論と技法のエッセンスについて、すなわち、①症状や問題行動と関連する心の傷やストレスを表現しやすい場を設定する、②クライエントの自己表現や種々の反応を通して、心の傷と関連する基本的欲求の著しい不満を推測する、③それらの欲求が部分的・代理的・代償的・象徴的に満たされる場を提供する、④より高次の欲求を満たす個人的当為を共に探究する、⑤個人的当為の実行を見守る、といった関与について、学生たちが体得することである。
授業の方法 1)私が実践している統合的アプローチについて理論的に説明し、そのあと、個々の学生の質問に答える。
2)学生たちに、「絵の中の登場人物とのカウンセリング」をイメージし、その対話を発表する機会を与え、それについてAIOを取り入れた視点からコメントする
3)紙粘土を用いた造形活動を行い、心の中から自然に浮かび上がってくるイメージを形にする機会を与え、さらに、個々人の作品の制作過程や自分の心理的課題を言語化して、作品と内界の関連について、実習を通して体験的に理解させる。
4)心理療法の事例研究をとりあげ、講師がそのプロセスについてAIOの立場からコメントし、受講生と質疑応答する。
【対面授業に参加できない学生については、Zoomを通しての参加を認める。また、やむを得ぬ事情で何時間かを欠席する場合には、「絵の中の登場人物とのカウンセリング」や「粘土造形」に相当する作業を課し、学んだことを指定された期日までにレポートで提出することで代替できるものとする】
履修条件 臨床心理学コースの学生のみが履修できるものとする。

授業計画
1 講師が実践している統合的アプローチ(AIO)の理論についてパワーポイントを用いて解説する(対面)
【事前学習】プリントアウトした教材「心理療法の個性的統合」の理論部分を精読し、感想や疑問点ををまとめておく (2時間)
【事後学習】授業で感じたこと,考えたこと、疑問に感じたことなどをまとめる。さらに、AIOを含めた統合的心理療法の理論について参考書などで学ぶ (2時間)
2 学生たちに、AIOの理論について感じたことや疑問に思ったことを述べる機会を与え、個々の学生の感想にコメントし、質問に答えていく。(対面)
【事前学習】AIOの理論について、参考書などを読んで感じたこと、疑問に思ったことなどをまとめておく (2時間)
【事後学習】授業で感じたこと,考えたことなどをまとめる。また、統合的心理療法の理論について種々の文献を通して学ぶ (2時間)
3 AIOの技法についてパワーポイントを用いて解説する(対面)
【事前学習】プリントアウトした教材「心理療法の個性的統合」の技法部分を精読し、感想や疑問点ををまとめておく (2時間)
【事後学習】授業で感じたこと,考えたこと、疑問に感じたことなどをまとめる。 (2時間)
4 学生たちに、AIOの技法について感じたことや疑問に思ったことを述べる機会を与え、個々の学生の感想にコメントし、質問に答えていく。(対面)
【事前学習】AIOの技法について、参考書などを読んで、感じたこと、疑問に思ったことなどをまとめておく (2時間)
【事後学習】授業で感じたこと,考えたことなどをまとめる。また、統合的心理療法の技法について種々の文献を通して学ぶ (2時間)
5 AIOの理論と技法を取り入れて「絵の中の登場人物とのカウンセリング」を試行する。(対面)
【事前学習】カウンセリングの一般的技法について参考書などを通して学んでおく (2時間)
【事後学習】授業で感じたこと,考えたこと等を振り返る。また,授業でわからなかったこと,もっと知りたいと思ったこと等について文献などを通して学習する。 (2時間)
6 学生たちの一人が、自分が行った「絵の中の登場人物とのカウンセリング」を発表し、対話の生成過程や自分が直面している葛藤やカウンセリングについての疑問について語り、講師のコメントを受ける。(対面)
【事前学習】カウンセリング過程で起こりやすいカウンセラーの葛藤について参考書などを通して学ぶ (2時間)
【事後学習】授業で感じたこと,考えたこと等を振り返る。また,授業でわからなかったこと,もっと知りたいと思ったこと等について諸文献を通して学習する。 (2時間)
7 学生たちがこれまで読んだ事例研究のなかで、AIOと関連のあるものを一つ選び、そのタイトルと要約を皆に紹介し、どこに関心が惹かれたかを述べる。そして、学生たちの選んだ事例のなかで第8回で取り上げる事例を選ぶ。(対面)
【事前学習】これまで読んだ事例研究のなかからこの授業で検討してほしい事例を選び、その要約をしておく。 (2時間)
【事後学習】授業で最終的に選ばれた事例のテーマやアプローチについて調べる。 (2時間)
8 第7回で最終的に選ばれた事例研究について、その事例の紹介者が面接経過を詳細に提示し、講師がAIOの立場からコメントする。(対面)
【事前学習】第7回で選ばれた事例研究をできるだけ精読しておく。 (2時間)
【事後学習】授業で感じたこと,考えたこと等を振り返り、感想や疑問点をまとめる。 (2時間)
9 第8回で選ばれた事例について全員でディスカッションする。(対面)
【事前学習】第8回で取り上げられた事例のテーマやアプローチについて調べておく。 (2時間)
【事後学習】授業で感じたこと,考えたこと等を振り返る。また,授業でもっと知りたいと思ったこと等について諸文献を通して調べる。 (2時間)
10 紙粘土を用いて、心の中に浮かんでくるイメージを形にしはじめる。(対面)
【事前学習】内界の言語的表現と非言語的表現について、遊戯療法や芸術療法一般について、諸文献に当たって学ぶ (2時間)
【事後学習】制作過程で心の中に浮かび上がってきたイメージを記憶しておく (2時間)
11 紙粘土造形に箱庭のアイテムを置くなどして作品を完成させ、作品にタイトルをつけ、さらに、その作品の写真を数枚撮っておく。(対面)
【事前学習】自由連想や夢分析の技法などを参考に、心の中に浮かび上がるイメージの動きを捉える練習をしておく。 (2時間)
【事後学習】粘土作品を作成する過程で浮かんできたイメージや感情を振り返り、完成した作品がそのイメージとどれほど一致しているかをまとめる。 (2時間)
12 学生たちは他者の作品を鑑賞し、その作品に自分の視点からタイトルをつけ、作者の心理的課題や潜在的願望について考えてみる(対面)
【事前学習】遊戯療法や芸術療法、夢分析や自由連想などで顕現したイメージと、クライエントの心の傷や心理的課題との関連を、参考書や他の文献で調べてみる。 (2時間)
【事後学習】授業で感じたこと,考えたこと等を振り返る。また,授業でわからなかったこと,もっと知りたいと思ったこと等について諸文献によって学習する。 (2時間)
13 授業に参加したすべての参加学生は、自分の作品とタイトルを皆の前で提示し、制作過程で浮かんでいたイメージや、作品と自分の心理的課題や願望との関連について、無理のない範囲で解説し、講師のコメントを受けることができる(自分の作品やタイトルをを提示しなくても良いし、それについて語らなくてもよい)。(対面)
【事前学習】箱庭療法や夢分析において取り上げられる元型的イメージについて学んでおく (2時間)
【事後学習】授業で感じたこと,考えたこと等を振り返る。また,授業でわからなかったこと,もっと知りたいと思ったこと等について文献を通して学習する。 (2時間)
14 すべての粘土作品に対する作者の解説と講師のコメントについて、質疑応答する。質問はパスしても良いし、質問には答えなくても良い。また、作者の内界について推測したことを述べても良いが、作品に対して審美的な評価をしたり、作者の人格ついて非難したり、作者の意図を否定したりするような言動は避けること。(対面)
【事前学習】心理療法において、内界表現に伴う葛藤や倫理的配慮について文献を読んで調べておく (2時間)
【事後学習】授業で感じたこと,考えたこと等を振り返る。また,授業でわからなかったこと,もっと知りたいと思ったこと等について文献などによって調べる (2時間)
15 AIOを含む心理療法の個性的統合について、相互に見解を述べ、ディスカッションする(対面)
【事前学習】この授業全体を振り返り,感じたことや考えたこと、さらに、疑問に思っていることなどを整理しておく。 (2時間)
【事後学習】この授業全体を振り返り,自分が学んだこと、感じたこと、考えたことについて、レポートにまとめる (2時間)
その他
教科書 なし
参考書 倉光 修 『 カウンセリングと教育 ―現場に役立つ統合的アプローチ』 誠信書房 2011年 第1版
倉光 修 『臨床心理学概論』 放送大学教育振興会 2020年 第1版
倉光 修 『学校臨床心理学特論』 放送大学教育振興会 2021年 第1版
東 斉彰・加藤 敬・前田泰宏 『統合・折衷的心理療法の実践 ―見立て・治療関係・介 入と技法.』 金剛出版  2014年 第1版
成績評価の方法及び基準 レポート:レポートは、求めるテーマと内容、提出状況を見て評価します(60%)、授業参画度:発表・発言・話し合いへの取り組み・授業参加の様子などで評価します(40%)
対面授業に出席できない学生は、Zoomでの参加態度、あるいは、レポートの内容によって評価する。
オフィスアワー 全授業終了後、教室にて質問等を受ける(20分)対面で授業に参加できない学生からの質問はメールで受け取る(対応する)

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