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令和2年度以降入学者 | 民俗文化論 | ||||
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令和元年度以前入学者 | 民俗文化論 | ||||
教員名 | 斎藤弘美 | ||||
単位数 | 2 | 学年 | 3・4 | 開講区分 | 文理学部 |
科目群 | 社会学科 | ||||
学期 | 後期 | 履修区分 | 選択 |
授業の形態 | 対面授業 BlackboardコースID:20223912 |
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授業概要 | 民俗学は本来、過去の残存物を扱う学問ではなく、現在直面している課題について、その解決のための糸口を探ることを目的として成立した学問である。民俗文化論ではこのことを念頭に置いて、現代の日本社会が直面する課題に関して、民俗学の視点からアプローチしていく。 現在、私達が直面する最大の課題は新型コロナウィルスとの闘いであろう。期せずしてこのコロナ禍は日本社会の本質をさまざまな形で可視化した。この授業では民俗という視点からコロナに対応する日本社会を読み解いていく。 また2021年の東京オリンピック・パラリンピックで意識された「多様性」や最近特に関心を集めるSDG'sなど。グローバル化する現代社会において均質的、異文化に対して不寛容といわれる日本社会も変容の兆しを見せている。しかし歴史を振り返れば、日本文化は度重なる異文化受容と、その影響による変容の結果、形成されたものであったことがさまざまな事象から証明されている。均質的という幻想から自由になるために、授業を通して本来、日本の民俗文化が持っていた多様性と異文化受容、文化変容についても学んでいく。 なお授業では、専門である民俗学調査のほか、障がい者や在日外国人との交流の経験を活かした事例を活用し講義を進める。 |
授業のねらい・到達目標 | <知識><技能> ・コロナ禍当初、日本的な生活様式が感染拡大防止に役立ったのではないかとされた。ファクターXなどといわれた日本的生活様式について、その本質を理解し、現代の生活に活かしていけるようになる。 ・日本の民俗文化がさまざまな異文化の影響を受けたきわめて柔軟性のある文化であることを学び、自らそうした例を身近に発見することで日本文化についての正しい理解ができるようになる。 ・均質という幻想を抱きやすい日本文化について、東西・南北・中央と周辺といった地域的多様性を知り、その意味を説明できる。 ・民俗は過去のものではなく、「過去の総体」としての現在であり、今私たちが生きているWay of lifeそのものであることを理解し、今後の生き方に役立てることができる。 <能力> 上記の<知識><技能>の習得を経て,以下の<能力>を育むことが目標である。 多様なメディアによって形作られる現代社会におけるわたしたちの日常生活の中の諸課題について,社会学の専門領域の観点から説明し,その解決案を提示することができる。(A-4-3: 問題発見・解決力) この科目は文理学部(学士(社会学)のDP及びCP4に対応しています。 |
授業の方法 | 講義形式で進めますが、講義を聴くことで湧いてきた疑問には、毎回、リアクションコメントに答える形で双方向授業を行います。授業終了時に提出するリアクションコメントは出席確認とともに授業参画度の評価対象にもなります。疑問点だけでなく、気づき、発見、意見なども記入してください。 また、理解を助けるために授業内でのDVD視聴や関係資料の紹介等も適宜おこないます。 なお、授業中の板書では要点項目のみ記載するので、各自工夫をしながら講義内容をノートにまとめ、事後学習で必ずノートを整理し、復習しておきましょう。その方法で授業内容をさらに理解することができます。本授業の事前・事後学習は,各2時間の学習を目安とします。 授業を受け身で受けるだけでなく、実際に民俗を体験し、考えることが大切なので、授業の最後にレポートの提出を求めます。 授業で最も大切なのは「気づく」「考える」習慣。これを身につけられるよう重要な項目については繰り返し触れていきます。また事後学修に役に立つ参考文献なども適宜、紹介していく予定です。 原則として、対面授業に参加できることを条件としますが,対面授業に参加できない場合は担当教員に相談してください。 |
履修条件 | 第1回授業の受講希望者が100名を越えた場合は、抽選によって定員100名にします。 |
授業計画 | |
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1 |
イントロダクション:「当たり前を疑う」ことから始めよう。コロナと日本的生活様式について。ファクターXについての解説とともに「民俗学」とはどのような学問か説明する。(A-4-3)
【事前学習】シラバスを事前に確認し、授業全体の流れを理解しておく。 (1時間) 【事後学習】第2回以降の授業に備え、自らのノートを整理するとともに民俗学についての理解を深めておく。 (1時間) |
2 |
コロナと日本的生活様式:マスクの謎。なぜ日本人はマスクをするのか。ケガレというキーワードで民俗学の視点から読み解く。(A-4-3)
【事前学習】いわゆるファクターXといわれたコロナ対策に関しての情報を確認し、自分なりにその意味を考えておく。 (2時間) 【事後学習】ある事象が現れるときにはその背景となる民俗文化が存在することを理解し、コロナに関して他の事例を考えてみる。 (2時間) |
3 |
コロナと日本的生活様式:日本家屋のあり方を含め、日本人にとってコロナウィルスはどのような存在だったかを理解するとともに、民俗学的な視点でのものの見方を理解する。(A-4-3)
【事前学習】授業に登場した事例以外のファクターXについても考えてみる。 (2時間) 【事後学習】「無意識の意識」に気付くことの大切さを知り、自分の中の「無意識の意識」を発見してみる。 (2時間) |
4 |
オリンピック・パラリンピックと多様性:「日本人」という幻想に気づく。オリンピック、ワールドカップなどの事例から近代国家の枠組みを問い直す。国という枠組みが絶対的なものではないことを学ぶ。(A-4-3)
【事前学習】授業内容の理解を深めるため、オリンピックの歴史を自ら予習しておく。 (2時間) 【事後学習】「国家」「国民」「人種」「民族」などの用語を正しく理解しているか、用語について整理しておく。 (2時間) |
5 |
日本社会の多様性:ジェンダー、民族の視点から日本社会における多様性について考える。男女の性差をどのように捉えてきたか、在留外国人がどのように定借し、地域社会に影響を与えているかを民俗学の視点から考える。(A-4-3)
【事前学習】日本各地に形成されている外国人コミュニティについての情報を集めてみる。そのうえで在留外国人社会の異文化との出会いが地域にもたらす影響について考えてみる。 (2時間) 【事後学習】異文化をどのように捉え、対応していくべきか、授業を復習することで自ら考えてみる。 (2時間) |
6 |
障がいという異文化①瞽女文化を知ることにより視覚障がい者の文化を異文化として考え、その可能性と新たな共生の方向性を見出す。(A-4-3)
【事前学習】視覚障がいについての一般的な知識を得ておき、授業に臨む。 (2時間) 【事後学習】授業から得られた障がいを文化と捉える考え方を復習し、理解する。 (2時間) |
7 |
障がいという異文化②聴覚障がい者、とくに手話言語を母語とする人びとの存在を知り、これを異文化と考えることで、新たな可能性と共生の方向性を見出す。(A-4-3)
【事前学習】聴覚障がいに関する一般的な知識を得ておき、授業に臨む。 (2時間) 【事後学習】言語と文化の密接な関係について復習しておく。 (2時間) |
8 |
障がいという異文化③民俗学が対象としてきた障がい者の事例をもとに、異文化としての障がい者について考え、新たな共生の方向性を見出す。(A-4-3)
【事前学習】授業で触れた以外の障がい者文化に関しても知識を得て、理解を深める。 (2時間) 【事後学習】民俗学の対象となった障がい者文化について、自分の考えを整理しておく。 (2時間) |
9 |
マツリと日本人:日本人にとってマツリとは何か。基本的な知識を身に付けるとともに、祭りの要素は多くの異文化受容によって成り立っていることを知る。宗教を超えた日本的マツリとしてのハロウィンやクリスマスの意味を読み解く。そこから日本人の異文化受容の特性と今日的意味を考える。(A-4-3)
【事前学習】マツリとは何か、自分が知っているマツリに関して調べておく。 (2時間) 【事後学習】マツリの文化変容とともに日本人の宗教観についても検討する。 (2時間) |
10 |
食の異文化受容:日本人のソウルフードは和食か?ラーメン、カレーライスと日本人。食生活における外国文化の受容法を学ぶ。(A-4-3)
【事前学習】ハレの日の食べ物、マツリを食文化の視点から検討してみる。 (2時間) 【事後学習】日本的な食生活が、かつての異文化受容によって形成されたことを再認識し、授業で触れたもの以外の例も考えてみる。 (2時間) |
11 |
異文化としての食:稲作を選んだ日本人。麦の文化、雑穀の文化との比較による社会のあり方を考える。さらに日本文化における「肉食」を歴史的な文化変容、あるいは異文化との関連で読み解く。(A-4-3)
【事前学習】日本が固有の文化を持つ背景に稲作と米食が関係することを、自身の食生活からも考えてみる。 (2時間) 【事後学習】文化の基層に食生活が深くかかわっていることを知り、日本社会にある異文化としての食生活を再確認する。 (2時間) |
12 |
異文化としてのアイヌ:アイヌ民族理解のための国立施設が4月にオープン。あらためてアイヌ民族について正しく理解し、異文化としてのアイヌ文化を知るとともに日本文化との交流の歴史を知る。(A-4-3)
【事前学習】アイヌ民族に関して自分の知識を整理しておき、事前に関連する本や資料などを読んでおく。 (2時間) 【事後学習】アイヌ文化の固有性についての知識を得ることで、日本における文化の多様性と、アイヌ文化からあらたな思考を学ぶ。 (2時間) |
13 |
異文化としての琉球:琉球という文化に出会う。沖縄はなぜ観光地として魅力的なのか。異文化としての琉球について理解するとともに、ヤマトとの交流の歴史から日本文化との関係を探る。(A-4-3)
【事前学習】授業をより深く理解するために、沖縄と日本との関係を歴史的な視点でまとめておく。 (2時間) 【事後学習】琉球文化についての総合的な知識を得るとともに、沖縄が日本あるいはアメリカとの交流により形成された新たな文化について考えることで、異文化との出会いがもたらす社会変化について認識する。 (2時間) |
14 |
在日という異文化:「在日朝鮮・韓国人」の文化を知る。歴史的に日本社会と深くかかわってきた「在日」と呼ばれる人々について、とくに文化的交流の側面に焦点を当てて理解する。(A-4-3)
【事前学習】授業をより深く理解するために、韓国と日本との関係について基礎的な知識を復習しておく。 (2時間) 【事後学習】これまでの授業を振り返って期末レポートを仕上げる。疑問点等は最終授業で確認する。 (4時間) |
15 |
まとめ:日本文化の多様性。これまでの授業から単一民族による国家、国民という考え方が幻想であること、さらに文化という視点から考えると日本社会は多様性に満ちていることを理解する。(A-4-3)
【事前学習】政治的な側面だけではなく、文化的側面からの日韓関係や在日の人びとの文化に関しての知識を得る。 (3時間) 【事後学習】後期授業を通して、日本の民俗文化が異文化との出会いによって変容し、形成されていったことを改めて認識し、今後、グローバル化していく社会においてどのような対応をしてけばいいかの理解 (2時間) |
その他 | |
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教科書 | 使用しない |
参考書 | 参考書については適宜、授業中に紹介する。 |
成績評価の方法及び基準 | レポート:自ら「調べ」「考え」「記述する」ことが重要なので、授業中に関心を持ったテーマについて資料を調べ、聞き取り調査等により実態に即した理解を深め、レポートとして決められた形式にのっとってきちんと説明できているかどうかによって評価します。(40%)、授業参画度:毎回の授業終了後に提出するリアクションコメントにより、授業の理解度だけでなく、自らの考え、気づきなどが的確に記述されているかどうかにより参画度を評価します。(60%) 以上を踏まえ、A-4-3(問題発見・解決力)の修得状況を評価します。 対面授業に参加できない場合の成績評価については個別に説明します |
オフィスアワー | 授業時間の前後。質問はメールでも対応します。 |