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歴史民俗学2

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令和2年度以降入学者 歴史民俗学2
令和元年度以前入学者 歴史民俗学2
教員名 岸本昌良
単位数    2 学年 2~4 開講区分 文理学部
科目群 史学科
学期 後期 履修区分 選択
授業の形態 対面型授業
BlackboardのコースID:20223637
授業概要 歴史民俗学とは歴史を民俗学の視点で考える学問です。後期ではムラや町会の構成単位であるイエ(家族の系譜的存在)について様々な角度から考察します。イエの現在形である家族の諸相を探り、家族を形成するうえで大きな役割を果たす結婚に関する民俗に焦点を当て、それがどのように形成されたかを史料をもとに考える。その際、婚姻論において重要な論文とみなされている「聟入考」(柳田国男 昭和3年)を検討し、民俗学と史学との関係を考察し、さらに日本歴史学において焦点の一つであった日本資本主義論へ民俗の視点から言及する。
授業のねらい・到達目標 民俗(「ならわし」)は生活に深く結びついています。民俗の視点で歴史を考察することにより、大きな歴史の動きとは関わらないが、日々の生活に関わる歴史があることを確認し、結果として、学生諸君にこれからの社会生活に役立つ知識も提供することも、この授業のねらいの一つである。

この科目は文理学部(学士(文学))のディプロマポリシーDP2,3及びカリキュラムポリシーCP2,3に対応しています。
学修から得られた豊かな知識と教養、及び、自己の倫理観に基づいて、人文学、歴史学の役割を説明することができる。(A-1-2)
日常生活に於ける現象に潜む人文学的問題を発見し、専門的知識に基づいて説明することができる。(A-4-2)
授業の方法 授業の形式:講義
対面授業。課題提示、提出物の送信はBlackboardを使用します。初回講義開始までにBlackboardのコース登録をすること。受講者への連絡はBlackboardのメールを使用します。
 水曜日早朝、授業資料をBlackboardの教材に掲示します。授業前に必ずダウンロードし、熟読し、印刷して受講願います。
 木曜日午後4時、BlackBoardに課題を掲示し、金曜日正午までにBbで提出してください。出席した方の課題のみ採点します。
  質問があれば、課題の最後に記入してください。メールでお答えいたします。
対面授業に参加できない場合
 出席できない理由を事前に連絡し、了解を得たうえで、授業資料を熟読し、課題を期限内に提出してください。
授業計画
1 ガイダンスとイエ(家)とは何か。後期の講義概要を説明する。そして、イエ(直系家族)とは何かを柳田国男の生涯をたどりながら例示する。また、現代の家族の特徴であるとされる「核家族」の概念は歴史的な制約を持って生まれたことを明らかにする。日常生活に於ける現象に潜む人文学的問題を発見し、専門的知識に基づいて説明することができる。(A-4-2)
【事前学習】配付資料を事前に熟読する事。 (2時間)
【事後学習】課題を期限内に提出する事。 (2時間)
2 家族の現状(地域性の確認)。日本は地理的には狭いが、人口は一億人を超え、地域により、異なる社会文化がある。家族も同じで、日本全体を同じ尺度で語るのは難しい。核家族が多い地域、三世代家族(直系家族・イエ)が多い地域など様々であり、それがどのような歴史のもとに生まれたかを考え、大家族の典型例と見做された、白川村の大家族と岩手の名子制家族についても言及する。日常生活に於ける現象に潜む人文学的問題を発見し、専門的知識に基づいて説明することができる。(A-4-2)
【事前学習】配付資料を事前に熟読する事。 (2時間)
【事後学習】課題を期限内に提出する事。 (2時間)
3 高齢者の現状(敬老の日の誕生)。高齢化も現代の家族の特徴である。ただ、これも日本の中では一様ではない。また、単身高齢者が増加し、その結果、孤独死も増加している。日本の家族構造が変化しているのは確かである。ただ、高齢者を祝う日、敬老の日もあるが、この祝日も、戦後の歴史社会変化の中で生まれた祝日であり、家族の法である民法の改正により生まれた祝日であることを明らかにする。日常生活に於ける現象に潜む人文学的問題を発見し、専門的知識に基づいて説明することができる。(A-4-2)
【事前学習】配付資料を事前に熟読する事。 (2時間)
【事後学習】課題を期限内に提出する事。 (2時間)
4 民法(家族関係法)成立史(「イエ」の観点から)。民法の改正はイエ制度の解体を目指していた。イエ制度は明治民法により構築されたと考えられているが、実態はどうなのかを明治民法前のボアソナード民法と比較し考察する。また、長子単独相続制度は明治民法制定時において世界的にどのような位置にあったかを示す。明治民法制定時に民法典論争があったが、民法制定当時に解釈と、日本資本主義論争時の解釈が異なっていることも明らかにし、資本主義論争時に、崩壊しつつあった名子制度を日本の「遅れた」イエの典型としたように、民俗学の成果が歴史学に取り込まれていることを示す。日常生活に於ける現象に潜む人文学的問題を発見し、専門的知識に基づいて説明することができる。(A-4-2)
【事前学習】配付資料を事前に熟読する事。 (2時間)
【事後学習】課題を期限内に提出する事。 (2時間)
5 結婚式の現状①(全国・式の種類)。結婚式がどのような形式なのかを明らかにし、挙式の種類、日取り、費用や仲人がどうなっているかを示す。そして、挙式種類別の模擬挙式のDVDを上映する。日常生活に於ける現象に潜む人文学的問題を発見し、専門的知識に基づいて説明することができる。(A-4-2)
【事前学習】配付資料を事前に熟読する事。 (3時間)
【事後学習】課題を期限内に提出する事。 (2時間)
6 結婚式の現状②(結婚式の費用・出席者の全国比較)。都道府県別の結婚式費用の列席者数を比較し、違いがあることを示す。そして、特徴的な県の結婚式の実態を示し、結婚式が家族にかかわる行事である事を明らかにする。
【事前学習】配付資料を事前に熟読する事。 (2時間)
【事後学習】課題を期限内に提出する事。 (2時間)
7 結婚式の現状③(結婚式の構成要素 日取り・結納・仲人・挙式・式場)。現代の結婚式を構成する要素、仲人、結納、日取り、神前結婚式、結婚式場、会費制などの歴史を明らかにし、結婚式も変遷があることを確認する。日常生活に於ける現象に潜む人文学的問題を発見し、専門的知識に基づいて説明することができる。(A-4-2)
【事前学習】配付資料を事前に熟読する事。 (2時間)
【事後学習】課題を期限内に提出する事。 (2時間)
8 「聟入考」考① 史学対民俗学。柳田国男の論文「聟入考」がどのような過程を経て成立したかを考察し、当時の東京帝国大学史学科の性格を探り出し、文献資料だけでは解明できない歴史を民俗資料を活用することで明らかにできることを示す。学修から得られた豊かな知識と教養、及び、自己の倫理観に基づいて、人文学、歴史学の役割を説明することができる。(A-1-2)
【事前学習】配付資料を事前に熟読する事。 (2時間)
【事後学習】課題を期限内に提出する事。 (2時間)
9 「聟入考」考②。大正の内縁。「聟入考」が発表された当時、昭和初期・大正期は内縁の問題が社会問題であった。柳田は「聟入考」第二章で、このような家族問題は当時の国史学・文献史学では検討されておらず、それを解明できるのは民俗学であると主張した。民俗学には経世済民の性格がある事を示す。日常生活に於ける現象に潜む人文学的問題を発見し、専門的知識に基づいて説明することができる。(A-4-2)
【事前学習】配付資料を事前に熟読する事。 (2時間)
【事後学習】課題を期限内に提出する事。 (2時間)
10 「聟入考」考③ 明治のイエ(『不如帰』を中心に)。「聟入考」第三章で、柳田は「日本の花嫁」を元に明治の婚姻を考察した。授業では、明治の婚姻について、明治期のベストセラー、家庭小説『不如帰』を題材に考える。そして、小説の背景となった三島家・大山家の関係についても言及し、明治の婚姻実態に迫る。
【事前学習】配付資料を事前に熟読する事。 (2時間)
【事後学習】課題を期限内に提出する事。 (2時間)
11 「聟入考」考④ 聟入から嫁入。平安時代の婚姻は『源氏物語』などから明らかなように、男性が相手の女性と文通し、拒まれないと判断すれば男の方から訪問していたが、鎌倉時代に入れば、女性が親の意思により、男のところに嫁入りする。この変化を詳しく史料をもとに明らかにする。
【事前学習】配付資料を事前に熟読する事。 (2時間)
【事後学習】課題を期限内に提出する事。 (2時間)
12 「聟入考」考⑤ 研究の出発点・柳田の原体験。柳田「聟入考」で、若者組が婚姻に関与していることを指摘している。そこには柳田自身の恋愛経験が反映されている事を示し、西南日本の海村における婚姻の特徴を示す。
【事前学習】配付資料を事前に熟読する事。 (2時間)
【事後学習】課題を期限内に提出する事。 (2時間)
13 「聟入考」考⑥ ムラの結婚式。山村における結婚式はどのようなものかを映像を通じて明らかにする。
【事前学習】配付資料を事前に熟読する事。 (2時間)
【事後学習】課題を期限内に提出する事。 (2時間)
14 英国の結婚式(日英比較)。英国の結婚式の様子を紹介し、日本との違いを指摘し、日本の婚姻の特徴を明らかにする。
【事前学習】配付資料を事前に熟読する事。 (2時間)
【事後学習】課題を期限内に提出する事。 (2時間)
15 孤独死と無縁仏。「イエ」とは対極にある「おひとりさま」。孤独死、無縁仏の諸相を明らかにし、イエの特質を考えます。
【事前学習】配付資料を事前に熟読する事。 (2時間)
【事後学習】課題を期限内に提出する事。 (2時間)
その他
教科書 使用しない
参考書 柳田国男 『聟入考 (定本柳田国男集第15巻)』 筑摩書房 1969年
『不如帰(岩波文庫) (徳冨蘆花)』 岩波書店
「聟入考」はブラックボードに掲載予定。上記以外は授業中に指示する
成績評価の方法及び基準 授業内テスト(50%)、授業参画度(50%)
授業内テストとは授業の中で適宜実施するテスト(小レポート)です。その内容で成績評価をします。
授業参画度は、授業ごとに提出する課題報告の内容で成績評価をします。
授業内テストと授業参画度を総合して成績付けをするので、毎回の評価は明示しません。
その代わり、課題の回答例及び授業内テストの全体的な講評を毎回受講生全員にメールで伝えます
オフィスアワー 質問のある方は毎回の課題に記入してください。
メールでお答えします。

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