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歴史民俗学1

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令和2年度以降入学者 歴史民俗学1
令和元年度以前入学者 歴史民俗学1
教員名 岸本昌良
単位数    2 学年 2~4 開講区分 文理学部
科目群 史学科
学期 前期 履修区分 選択
授業の形態 対面型授業
BlackboardのコースID:20220695
授業概要 歴史民俗学とは歴史を民俗学の視点で考える学問です。授業では、民俗学の成立史をたどりながら、学問の基本的性格を明らかにします。また、日本民俗学の成立時に、英国のFolklore(民俗学)の影響があり、英国のFolkloreも講義の範囲となります。その際、英国の民俗(Fairyなど)にも言及します。日本民俗学の成立を確認後、日本が近代社会に入る際に、民俗が歴史とどうかかかわっていたのかを、村(ムラ)と都市(マチ)及び若者の民俗(社会のならわし・しきたり)に関連して考察し、生活における「しきたり・ならわし」の強さを確認します。
授業のねらい・到達目標 民俗(「ならわし」)は日常生活に深く結びついています。民俗の視点で歴史を考察することにより、大きな歴史の動きとは関わらないが、日々の生活に関わる歴史があることを確認させ、結果として、学生諸君にこれからの社会生活に役立つ知識も提供することも、この授業のねらいの一つです。

この科目は文理学部(学士(文学))のディプロマポリシーDP2,3及びカリキュラムポリシーCP2,3に対応しています。
・学修から得られた豊かな知識と教養及び、自己の倫理観に基づいて人文学・歴史学の役割を説明することができる。(A-1-2)
・日常生活における現象に潜む人文的問題を発見し、専門知識に基づいて説明することができる(A-4-2)
授業の方法 授業の形式:講義
対面授業。課題提示、提出物の送信はBlackboardを使用します。初回講義開始までにBlackboardのコース登録をすること。受講者への連絡はBlackboardのメールを使用します。
 水曜日早朝、木曜日の授業資料をBlackboardの教材に掲示します。授業前に必ずダウンロードし、熟読して、木曜日の講義に持参してください。ダウンロードできるのは金曜日深夜までです。
 課題は授業時に明示します。提出は金曜日深夜までです。質問への回答はメールでいたします。
対面授業に参加できない場合
 授業終了後、授業内容を映像化し、URLをBbに掲示します。なお、視聴できるのは金曜日の最終までです。
授業計画
1 ガイダンス及び民俗とは何か。授業の概要を説明する。また、民俗というと僻地に見られる行事などと考え易いが、近代そのものと思える大工場の中でも、民俗が生きていることを映像で示し、民俗の基本的性格を明らかにする。(オンデマンド授業)
【事前学習】配付資料を事前に熟読する事。 (2時間)
【事後学習】課題提出に取り組んでください。 (2時間)
2 Folkloreの成立。民俗学とは英語「Folklore」の翻訳語である。Folkloreは英国人W.J.Thomsが19世紀中頃に作った用語であり、それは英国のPopular Antiquites(古代からのならわし)の言い換えでもあった。また、Thomsは英国の伝統あるAntiqurian Society(古物研究家協会)の会員でもあった。
【事前学習】配付資料を事前に熟読する事。 (2時間)
【事後学習】課題提出に取り組んでください。 (2時間)
3 Folklore以前。Thoms(トムズ)は英国のFairy(妖精)に関心があり、そこからFolkloreの研究を開始しようとした。ただ、それは、Thomsの属していた伝統あるAntiqurian Society(古物研究家協会)と深く関わっていた。そして、ThomsはFolklore研究の場として雑誌「Notes & Queries」(問いかけ雑誌)を創刊する。それは、Thomsが伝統ある古物研究家協会から別れる第一歩でもあった。
【事前学習】配付資料を事前に熟読する事。 (2時間)
【事後学習】課題提出に取り組んでください。 (2時間)
4 英国民俗学会の成立。Thomsは晩年になってようやくFolklore研究の同志をつのり、19世紀後半にFolklore Society(民俗学会)を設立し、民俗学研究は格段に進む。
【事前学習】配付資料を事前に熟読する事。 (2時間)
【事後学習】課題提出に取り組んでください。 (2時間)
5 日本民俗学会(第一次)の成立。明治(19世紀後半)になり、日本では人類学研究が坪井正五郎の提唱で始まり、『人類学雑誌』が創刊される。坪井は英国留学の経験もあり、『人類学雑誌』において、徐々にFolkloreの紹介がされ、坪井の影響力のもと、明治45年に日本民俗学会(第一次)が生まれる。なお、その場に柳田国男の名前はなかった。
【事前学習】配付資料を事前に熟読する事。 (2時間)
【事後学習】課題提出に取り組んでください。 (2時間)
6 柳田国男と民俗学。柳田国男は一般的には日本民俗学の父とみなされているが、元来は、詩人であり、経世済民を願う国家官僚であった。ただ、旅行でたまたま立ち寄った椎葉村で、柳田は民俗世界を引き込まれ、英国帰りの南方熊楠からFolkloreの紹介を受け、民俗学研究を志し、雑誌『郷土研究』を創刊する。
【事前学習】配付資料を事前に熟読する事。 (2時間)
【事後学習】課題提出に取り組んでください。 (2時間)
7 ムラ(村)とは何か。明治22年、町村制の施行のため町村の合併が実施された。行政組織の最終端末として行政村が成立する。そのため、従来の生活の共同の場としてのムラと行政村の違いを明らかにする。
【事前学習】配付資料を事前に熟読する事。 (2時間)
【事後学習】課題提出に取り組んでください。 (2時間)
8 ムラ(村)の変化(地方改良運動)。柳田と南方の交際の元となった神社合祀とはどのような事件であったかを解明し、地方改良運動の一環であったことを指摘し、行政村と自然村の関係を考え、ムラという存在は、歴史社会的な存在であり、でも、その中に民俗が生きている事を示す。
【事前学習】配付資料を事前に熟読する事。 (2時間)
【事後学習】課題提出に取り組んでください。 (2時間)
9 ムラ(村)のしきたり(共同・協力・村法)。地方改良運動では、行政村の中の共有地の処分も課題の一つであった。共有地は、ムラ(村落共同体・自然村)にとり必要なものであった。そして、ムラの土地を管理するためには、協同作業が必要であり、決まりが必要となる。法律で定められていない、互いの決まり、シキタリが日本においては中世から存在していた。
【事前学習】配付資料を事前に熟読する事。 (2時間)
【事後学習】課題提出に取り組んでください。 (2時間)
10 ムラ(村)のしきたり(ムラハチブ)。ムラのシキタリを守るためには、互いの理解が必要になるが、ぶつかり合うときもあり、ムラの中では物理的な暴力をふるうことが出来ず、ムラハチブという形の制裁が生まれ、それは現代的な課題にもなっている。日常生活における現象に潜む人文学的問題を発見し、専門的知識に基づいて説明することができる。(A-4-2)
【事前学習】配付資料を事前に熟読する事。 (2時間)
【事後学習】課題提出に取り組んでください。 (2時間)
11 マチ(都市)のしきたり・仕組み①(町会)。都市の基礎社会集団である町会がどのようにして形成されたかを考え、その機能は何かを考察する。日常生活における現象に潜む人文学的問題を発見し、専門的知識に基づいて説明することができる。(A-4-2)
【事前学習】配付資料を事前に熟読する事。 (2時間)
【事後学習】課題提出に取り組んでください。 (2時間)
12 マチ(都市)のしきたり。仕組み②(マンション)。最近、都市において急激に共同住宅に住み、生活をする人々が増えている。マンションの特性、その歴史、法的特性などを考える。日常生活における現象に潜む人文学的問題を発見し、専門的知識に基づいて説明することができる。(A-4-2)
【事前学習】配付資料を事前に熟読する事。 (2時間)
【事後学習】課題提出に取り組んでください。 (2時間)
13 マチ(都市)のしきたり、仕組み③(火消)。江戸は当時世界最大規模の都市であった。ただ、日本の建造物は、木造のため、火災に弱い欠点があった。そして、江戸は大火が多く、その消防を担った火消(町鳶)は歌舞伎などに取り上げられる人気者でもあった。現在、町鳶は火消としての役割はなくなってしまったが、町の中で、都市の民俗で大きな役割と果たしていることを映像を使って伝えます。
【事前学習】配付資料を事前に熟読する事。 (2時間)
【事後学習】課題提出に取り組んでください。 (2時間)
14 町鳶は火消を円滑に実施するために厳格な階層構造を有しています。また、農村地域において火消の役割は「若者組」が担っていました。現在ではなじみのない組織ですが、かつて地域社会に置いて大きな役割を果たしていました。また、現在においても民俗芸能の担い手として存続しています。若者組とはどうのうな組織であったかを、映像により明らかにします。
【事前学習】配付資料を事前に熟読すること (2時間)
【事後学習】授業内容を復習しておくこと (2時間)
15 大正期に入るとムラ単位で組織されていた若者組は行政尊単位の青年団に変化していきます。青年団がどのような活動をしていたかを、鎌倉青年団を題材に詳しく説明し、文化財行政においても役割を果たしていたことを明らかにします。
【事前学習】配付資料を事前に熟読すること (2時間)
【事後学習】課題提出に取り組んでください。 (2時間)
その他
教科書 使用しない
参考書 毎回のブラックボードに掲載します。
成績評価の方法及び基準 授業内テスト(50%)、授業参画度(50%)
授業内テストとは授業の中で適宜実施視するテスト(小レポート)です。その内容で成績評価をします。
授業参画度は、授業ごとに提出する課題の内容で成績評価をします。
授業内テストと授業参画度を総合して成績付けをするので、毎回の評価は明示しません。
対面授業に参加できない方はBbに掲示してある課題を期日内に提出してください。対面授業でも同じです。
オフィスアワー 分からないところ、質問などがあれば、毎回提出する課題の文末に記入してください。受講者全員、もしくは個別にメールでお答えします。

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