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美学演習2

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令和2年度以降入学者 美学演習2
令和元年度以前入学者 美学演習2
教員名 高橋陽一郎
単位数    1 学年 2~4 開講区分 文理学部
科目群 哲学科
学期 後期 履修区分 選択必修
授業の形態 Zoomによる同時双方向型の遠隔授業
BlackboardコースのID: 火曜3限→20223544
授業概要 アドルノ(Theodor Adorno, 1903-1969)の音楽論の代表的論文「音楽における物神的性格と聴取の退化」及び「伝統」を講読しながら、前期につづいて藝術と社会、藝術と歴史、藝術と政治等の問題を考える。
授業のねらい・到達目標 20世紀フランクフルト学派の美学思想は、藝術が政治や経済などの社会的動向によってどのように変質したかを歴史的に捉えようとする姿勢を濃厚にもっており、その点、藝術や美の自律性を強調する傾向の強かった18~19世紀の美学と著しく異なっている。アドルノの論文「音楽における物神的性格と聴取の退化」は、前期(美学演習1)に講読したベンヤミンの「複製技術時代の藝術作品」を意識して書かれた。受講者はアドルノの本論文および「伝統」を講読することによっても、藝術―ベンヤミンと異なりアドルノの場合はとくに音楽―を社会・歴史・政治との関係で捉える視座を養うことができるであろう。そしてそのことによって、(人間を幸福にするといった)肯定的・積極的要素のみに注目しがちな藝術が危険と隣り合わせにあること、さらには、藝術自体が人間性や社会に対して危険な要素を持ちうることについても種々気づくことができると思われる。このような藝術やそれを取り巻く状況への「気づき」を促進することが本授業のねらいである。なお、本授業は(前学期を受講せず)後学期からの受講でも十分に内容の理解が可能である。
・自他の主張や論証を論理的・批判的に考察して,既存の見解を問い直すことができる(A-3-3)。
・人間の生き方や現代社会のあり方を問い直し,自らの思想的課題を設定して,それに挑戦することができる(A-5-2)。
・自分の意見を他人に対してわかりやすく伝えることができる(A-6-2)。
・学修活動のみならず,日常生活においても,より良い成果を上げるために,お互いを尊重しながら協働することができる(A-7-2)。
・他者の評価を謙虚に受け止めながら,自分の学修経験を振り返り,分析していくことができる(A-8-2)。

この科目は文理学部(学士(文学)のDP3,DP5-8及びCP3, CP5-8に対応しています。
授業の方法 授業の形式:【演習】
藝術の現代化に伴って生じた功罪両面のテーマをめぐって、演習形式で授業を行う。テーマに関連した種々の文献を参考にしながら、討論を通じて指導を行う。前期の全授業の最後に課題を出すので、1500字前後の前期総括レポートとして提出していただく。
受講者は復習にも時間を十分にかけ、学修成果を獲得するするよう努められたい。
なお、授業計画は学修者の能力や関係する講義の進捗状況に応じて、変更されることがある。
授業計画
1 ガイダンス:アドルノの哲学と美学について。および前期の復習(Zoomによる同時双方向型授業)
【事前学習】哲学事典等でアドルノとフランクフルト学派について調べ、メモを作る。 (2時間)
【事後学習】担当者の配布するプリントを熟読し、疑問点を明記する。 (2時間)
2 「音楽における物神的性格と聴取の退化」17頁~20頁の講読と解釈―アドルノの問題意識について―(Zoomによる同時双方向型授業)
【事前学習】アドルノの問題意識の背景となった現代アメリカの大衆文化について調べる(A-5)。 (2時間)
【事後学習】「物神化」概念に関するメモを作成する。 (2時間)
3 「音楽における物神的性格と聴取の退化」20頁~23頁の講読と解釈―音楽批判の歴史について―(Zoomによる同時双方向型授業)
【事前学習】哲学史上の音楽批判についてテキストの予定箇所を読んでまとめる。 (2時間)
【事後学習】当日のテキストに対する他人の発表について理解し、批判的考察を加えてみる(A-5, A-6, A-7, A-8)。 (2時間)
4 「音楽における物神的性格と聴取の退化」23頁~30頁の講読と解釈―音楽と娯楽について―(Zoomによる同時双方向型授業)
【事前学習】藝術音楽と娯楽音楽との関係についてメモを作成する(A-3, A-5) (2時間)
【事後学習】当日のテキストに対する他人の発表について理解し、批判的考察を加えてみる。 (2時間)
5 「音楽における物神的性格と聴取の退化」30頁~38頁の講読と解釈―音楽の物神化について―(Zoomによる同時双方向型授業)
【事前学習】「物神化」概念に留意しながらテキストの予定箇所を通読する。 (2時間)
【事後学習】当日のテキストに対する他人の発表について理解し、批判的考察を加えてみる。 (2時間)
6 「音楽における物神的性格と聴取の退化」39頁~48頁の講読と解釈―音楽の市場価値と藝術について―(Zoomによる同時双方向型授業)
【事前学習】前回の授業をもとに「文化産業」についてのノートを作成する(A-5)。 (2時間)
【事後学習】当日のテキストに対する他人の発表について理解し、批判的考察を加えてみる。 (2時間)
7 「音楽における物神的性格と聴取の退化」48頁~54頁の講読と解釈―娯楽音楽の歴史について―(Zoomによる同時双方向型授業)
【事前学習】藝術のなかに潜む娯楽性について、自分の考えをまとめておく(A-8)。 (2時間)
【事後学習】当日のテキストに対する他人の発表について理解し、批判的考察を加えてみる。 (2時間)
8 「音楽における物神的性格と聴取の退化」54頁~62頁の講読と解釈―聴取の退化について―(Zoomによる同時双方向型授業)
【事前学習】娯楽と聴取の退化という観点からテキストの予定箇所を読解し、メモを取っておく(A-3, A-5)。 (2時間)
【事後学習】当日のテキストに対する他人の発表について理解し、批判的考察を加えてみる。 (2時間)
9 「音楽における物神的性格と聴取の退化」62頁~67頁の講読と解釈―アマチュアについて―(Zoomによる同時双方向型授業)
【事前学習】アマチュアと「未開」性についてテキストの予定箇所を読んだうえでメモする(A-5, A-8)。 (2時間)
【事後学習】当日のテキストに対する他人の発表について理解し、批判的考察を加えてみる。 (2時間)
10 「音楽における物神的性格と聴取の退化」67頁~76頁の講読と解釈―放送の功罪について―(Zoomによる同時双方向型授業)
【事前学習】ベンヤミンの「映画」とアドルノの「放送」の比較を試みる。 (2時間)
【事後学習】当日のテキストに対する他人の発表について理解し、批判的考察を加えてみる。 (2時間)
11 「音楽における物神的性格と聴取の退化」76頁~84頁の講読と解釈―文化産業下における新しい聴取の可能性について―(Zoomによる同時双方向型授業)
【事前学習】マーラーの音楽について聴いたり、文献で調べたりしておく。 (2時間)
【事後学習】当日のテキストに対する他人の発表について理解し、批判的考察を加えてみる。 (2時間)
12 「伝統」225頁~230頁の講読と解釈―伝統と革新について―(Zoomによる同時双方向型授業)
【事前学習】ヘーゲル哲学の基本性格について各自で調べておく。 (2時間)
【事後学習】当日のテキストに対する他人の発表について理解し、批判的考察を加えてみる(A-3, A-6, A-7, A-8) (2時間)
13 「伝統」231頁~239頁の講読と解釈―伝統の概念について―(Zoomによる同時双方向型授業)
【事前学習】アドルノが考える(真の)「伝統」概念に留意しながらテキストの予定箇所を読解し、メモを作成しておく。 (2時間)
【事後学習】当日のテキストに対する他人の発表について理解し、批判的考察を加えてみる。 (2時間)
14 「伝統」239頁~245頁の講読と解釈―伝統主義批判について―(Zoomによる同時双方向型授業)
【事前学習】アドルノの伝統主義批判の根拠について、自分の意見をまとめておく。(A-3, A-5, A-8) (2時間)
【事後学習】他人からどのような批判や批評を受けたかについてノートを作成する。(A-6, A-7, A-8)。 (2時間)
15 「伝統」245頁~254頁の講読と解釈―歴史意識と教育について―(Zoomによる同時双方向型授業)
【事前学習】ふたたび伝統と革新という観点からテキストの予定箇所を読解する。 (2時間)
【事後学習】「文化産業と現代の危機」というテーマでレポートを書き始める(A-3, A-5, A-8)。 (2時間)
その他
教科書 Th. W. アドルノ(三光長治・高辻知義訳) 『不協和音 (平凡社ライブラリー)』 平凡社
本訳書は現在品切れの可能性がある。その場合には極力、古書で入手いただきたい(当該論文だけでなく、本書所収の別論文への講読に移る可能性もあるため)。
参考書 使用しない
成績評価の方法及び基準 レポート:レポートは求めるテーマと内容、提出状況をみて評価します。(50%)、授業参画度:授業参画度は、毎回の小レポートや質問等の度合いで評価します。(50%)
授業中のディスカッションにおける自他の主張に対する論理的な批判力を見てA-3、A-6の到達度を評価する。
授業中のディスカッションとレポートの双方において、学習したことをどれほど現代の人間や社会を考察する際に役立たせているか(A-5)の到達度を評価する。
ディスカッションにおいて、どれほど自分が他人の意見を公正に評価できるか、またどれほど自分の意見を他人の意見によって客観的に分析できるか(A-7、A-8)の到達度を評価する。
オフィスアワー Blackboard上で随時機会を設けます。

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