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令和2年度以降入学者 | 哲学演習6 | ||||
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令和元年度以前入学者 | 哲学演習6 | ||||
教員名 | 長綱啓典 | ||||
単位数 | 1 | 学年 | 2~4 | 開講区分 | 文理学部 |
科目群 | 哲学科 | ||||
学期 | 後期 | 履修区分 | 選択必修 |
授業の形態 | 対面授業 BlackboardコースID: 20223542 |
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授業概要 | 20世紀フランスの哲学者ミシェル・フーコー(Michel Foucault, 1926-1984)は、自分が常識だと思い込んでいることから、あるいは自分自身から、自らを解き放つことが哲学の目的のひとつであると考えていました。さて私たちの「常識」のひとつに、セクシュアリティ(性欲・性生活)に正常(ノーマル)なものと異常(アブノーマル)なものとがあり、異常なものについてはこれを正常なものにするよう治療、矯正あるいは管理すべきだ、という考えがあるように思われます。フーコーの言う「正常化=規範化=規格化の権力」のはたらきの一端をここに見て取ることができるでしょう。この授業では、フーコーの1974‐75年度コレージュ・ド・フランス講義『異常者たち』を参考にしながら、どのようにしてセクシュアリティが「異常性」の領野に組み込まれることになるのか、つまりどのようにしてセクシュアリティについて「正常‐異常」ということが語られるようになるのかを検討したいと思います。この作業によって私たちも自分が生きているこの社会の、あるいは自分自身の「常識」に揺さぶりをかけてみましょう。そこで、本授業の最初の5回では、フーコーのコレージュ・ド・フランス講義1974‐1975年度『異常者たち』の議論を概観することによってフーコー的な議論の仕方を身につけます。次の5回では近代日本における「異常(変態)性欲」言説を分析します(一次文献を含む)。最後の5回では、学生各自が授業内容に関連する問題を見つけ、それについて最終的にひとつのレポートを完成させます。 |
授業のねらい・到達目標 | ・学生は自分が調査したことをレポートにまとめることができる。(A-3-3)(A-3-5) ・学生は研究に必要な文献を収集することができる。(A-3-3)(A-3-5) ・学生は文献の内容を分析することができる。(A-3-3)(A-3-5) ・学生は他者を尊重しながら質疑応答することができる。(A-6-3) ・学生は自身の学修について振り返ったうえで今後の研究構想を立てることができる。(A-8-3) この科目は文理学部(学士(文学))のDP3,5,6,8及びCP3,5,6,8に対応しています。 |
授業の方法 | 授業の形式:【演習】 上でも述べましたが、この授業では学生各自が授業内容に関連する問題を見つけ、それについて調査し、その調査結果をレポートにまとめます。 教員はすべての提出物(とくにポートフォリオ)に対してコメントを付しフィードバックし、レポート作成の手助けをします。 対面授業に参加できない場合、課題をBlackboardに提出してください。添削してフィードバックします。 |
授業計画 | |
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1 |
「正常化=規範化=規格化(normalisation)の権力」と近代日本【対面】(A-3-3)(A-5-3)
【事前学習】各種フーコー入門書を入手し、「正常化」の概念についてレジュメにまとめる。 (1時間) 【事後学習】授業を踏まえてレジュメを改善する。 (0.5時間) |
2 |
改悛と精神指導―快楽と欲望の肉体―【対面】(A-3-3)(A-5-3)
【事前学習】『異常者たち』1975年2月19日講義の内容をレジュメにまとめる。 (1.5時間) 【事後学習】授業を踏まえてレジュメを改善する。 (0.5時間) |
3 |
悪魔憑き―痙攣する身体―【対面】(A-3-3)(A-5-3)
【事前学習】『異常者たち』1975年2月26日講義の内容をレジュメにまとめる。 (1.5時間) 【事後学習】授業を踏まえてレジュメを改善する。 (0.5時間) |
4 |
自慰する子どもたち―家族空間の再編―【対面】(A-3-3)(A-5-3)
【事前学習】『異常者たち』1975年3月5日講義の内容をレジュメにまとめる。 (1.5時間) 【事後学習】授業を踏まえてレジュメを改善する。 (0.5時間) |
5 |
性的精神病理学―逸脱したセクシュアリティ―【対面】(A-3-3)(A-5-3)(A-8-3)
【事前学習】『異常者たち』1975年3月12日講義の内容をレジュメにまとめる。 (1.5時間) 【事後学習】ポートフォリオを作成する。 (0.5時間) |
6 |
近代日本における「異常(変態)性欲」言説①【対面】(A-3-3)(A-5-3)
【事前学習】川村邦光『オトメの行方』(第1章 オトメの願い)の内容をレジュメにまとめる。 (1.5時間) 【事後学習】授業を踏まえてレジュメを改善する。 (0.5時間) |
7 |
近代日本における「異常(変態)性欲」言説②【対面】(A-3-3)(A-5-3)
【事前学習】吉屋信子『返らぬ日』の内容をレジュメにまとめる。 (1.5時間) 【事後学習】授業を踏まえてレジュメを改善する。 (0.5時間) |
8 |
近代日本における「異常(変態)性欲」言説③【対面】(A-3-3)(A-5-3)
【事前学習】谷崎潤一郎『卍』の内容をレジュメにまとめる。 (1.5時間) 【事後学習】授業を踏まえてレジュメを改善する。 (0.5時間) |
9 |
近代日本における「異常(変態)性欲」言説④【対面】(A-3-3)(A-5-3)
【事前学習】『娘と妻と母の衛生読本』の内容のうち、「同性の愛」に関する箇所をレジュメにまとめる。 (1.5時間) 【事後学習】授業を踏まえてレジュメを改善する。 (0.5時間) |
10 |
近代日本における「異常(変態)性欲」言説⑤【対面】(A-3-3)(A-5-3)(A-8-3)
【事前学習】羽田・沢田『変態性欲論』の内容のうち、「同性の愛」に関する個所をレジュメにまとめる。 (1.5時間) 【事後学習】ポートフォリオを作成する。 (0.5時間) |
11 |
調査テーマの発表【対面】(A-3-3)(A-5-3)
【事前学習】研究計画書を作成する。 (1.5時間) 【事後学習】指摘や議論を踏まえて研究計画書を改善する。 (0.5時間) |
12 |
調査内容の発表【対面】(A-3-3)(A-5-3)
【事前学習】一週間分の調査内容をレジュメにまとめる。 (1.5時間) 【事後学習】指摘や議論を踏まえてレジュメを改善する。 (0.5時間) |
13 |
レポートのアウトラインの発表【対面】(A-3-3)(A-5-3)
【事前学習】レポートのアウトラインを作成する。 (1.5時間) 【事後学習】指摘や議論を踏まえてレジュメを改善する。 (0.5時間) |
14 |
未完成レポートの発表【対面】(A-3-3)(A-5-3)(A-6-3)
【事前学習】レポートを途中まで作成する。 (1.5時間) 【事後学習】指摘や議論を踏まえてレポートを改善する。 (0.5時間) |
15 |
完成レポートの発表【対面】(A-3-3)(A-5-3)(A-6-3)(A-8-3)
【事前学習】レポートを完成させる。 (1.5時間) 【事後学習】ポートフォリオを作成する。 (0.5時間) |
その他 | |
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教科書 | ミシェル・フーコー著 慎改康之訳 『異常者たち』 筑摩書房 2002年 教科書は購入する必要ありません。 |
参考書 | 川村邦光 『オトメの行方』 紀伊國屋書店 2003年 吉屋信子 『返らぬ日 吉屋信子少女小説選〈2〉』 ゆまに書房 2003年 谷崎潤一郎 『卍』 新潮文庫 1951年 『娘と妻と母の衛生読本 主婦の友8月号附録』 主婦之友社 1937年 羽田鋭治 沢田順次郎 『変態性欲論』 春陽堂 1921年 参考書も購入する必要ありません。 |
成績評価の方法及び基準 | レポート(30%)、授業参画度(50%)、ポートフォリオ(20%) ・「レポート」では、①形式面、②内容面(文献に対する言及の豊富さや文献から引き出される見解の適切さなど)を評価します。 ・「授業参画度」として、①レジュメの出来、②授業中の質問や感想などを評価します。 ・「ポートフォリオ」では、①自身が何をどのように学修したかに対する省察、②自身が何をどのように研究するかに対する構想を評価します。 対面授業に参加できない方についても、Blackboardに提出された課題の結果に基づいて評価します。 |
オフィスアワー | 質問や相談のある方は、いつでも構いませんので、STUメールでその旨ご連絡ください。 |