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令和2年度以降入学者 | 哲学演習5 | ||||
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令和元年度以前入学者 | 哲学演習5 | ||||
教員名 | 長綱啓典 | ||||
単位数 | 1 | 学年 | 2~4 | 開講区分 | 文理学部 |
科目群 | 哲学科 | ||||
学期 | 前期 | 履修区分 | 選択必修 |
授業の形態 | 対面授業 BlackboardコースID: 20220603 |
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授業概要 | 私たちは「ふつうとは何か、よく分からない」と言います。しかし、その一方で、私たちの社会は、いたるところに「ふつう」(正常・ノーマル)と「ふつうじゃない」(異常・アブノーマル)を見分けています。そしてさらに後者をある場合には社会から排除し、ある場合には社会に再同化しようとします。このようなことは一体どのようにして可能となっているのでしょうか。この問題にアプローチするためにこの授業では、フランスの哲学者フーコー(Michel Foucault, 1926-1984)の言う「正常化=規格化=規範化」(normalisation)という力のはたらきに注目したいと思います。そこで、本授業前半では、下記のフーコーの著作および講義録のうち「正常化=規格化=規範化」について述べられている箇所を概観し、彼の言う「正常化=規格化=規範化」の力とはどのようなものか確認します。授業後半ではフーコーの議論を参考にしながら近代日本の、とくに子どもの心身の健康に関わる言説を取り上げ、そこにどのような仕方で「正常化=規格化=規範化」の力が現れているか、分析します。こうした作業によって、私たち自身が生きているこの社会の一側面の特徴を明らかにしたいと思います。 |
授業のねらい・到達目標 | ・学生は自分が調査したことをレポートにまとめることができる。(A-3-3)(A-3-5) ・学生は文献の内容を分析することができる。(A-3-3)(A-3-5) ・学生は他者を尊重しながら質疑応答することができる。(A-6-3) この科目は文理学部(学士(文学))のDP3,5,6,8及びCP3,5,6,8に対応しています。 |
授業の方法 | 授業の形式:【演習】 この授業では学生各自が授業における分析結果をレポートにまとめます。 教員はすべての提出物に対してコメントを付しフィードバックします。 対面授業に参加できない場合、課題をBlackboardに提出してください。添削してフィードバックします。 |
授業計画 | |
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1 |
イントロダクション―「異常」と「正常」を分割する社会―【対面】(A-3-3)(A-5-3)
【事後学習】私たちの社会における「異常‐正常」の分割の例を挙げる。 (2時間) |
2 |
フーコーの入門書における「正常化=規格化=規範化」の説明の確認①【対面】(A-3-3)(A-5-3)
【事前学習】フーコーの入門書を入手し、その範囲内で「正常化」の概念についてレジュメにまとめる。 (1.5時間) 【事後学習】授業を踏まえてレジュメを改善する。 (0.5時間) |
3 |
フーコーの入門書における「正常化=規格化=規範化」の説明の確認②【対面】(A-3-3)(A-5-3)
【事前学習】フーコーの入門書(前回とは別のもの)を入手し、その範囲内で「正常化」の概念についてレジュメにまとめる。 (1.5時間) 【事後学習】授業を踏まえてレジュメを改善する。 (0.5時間) |
4 |
『処罰社会』における「正常化=規格化=規範化」の概念【対面】(A-3-3)(A-5-3)
【事前学習】『処罰社会』1973年3月21日および28日講義の内容をレジュメにまとめる。 (1.5時間) 【事後学習】授業を踏まえてレジュメを改善する。 (0.5時間) |
5 |
『精神医学の権力』における「正常化=規格化=規範化」の概念【対面】(A-3-3)(A-5-3)(A-8-3)
【事前学習】『精神医学の権力』1973年11月21日講義の内容をレジュメにまとめる (1.5時間) 【事後学習】授業を踏まえてレジュメを改善する。 (0.5時間) |
6 |
『監獄の誕生』における「正常化=規格化=規範化」の概念【対面】(A-3-3)(A-5-3)
【事前学習】『監獄の誕生』第三部第二章中「規格化をおこなう制裁」の内容をレジュメにまとめる。 (1.5時間) 【事後学習】授業を踏まえてレジュメを改善する。 (0.5時間) |
7 |
『異常者たち』における「正常化=規格化=規範化」の概念【対面】(A-3-3)(A-5-3)
【事前学習】『異常者たち』1975年1月15日講義の内容をレジュメにまとめる。 (1.5時間) 【事後学習】授業を踏まえてレジュメを改善する。 (0.5時間) |
8 |
『社会は防衛しなければならない』における「正常化=規格化=規範化」の概念【対面】(A-3-3)(A-5-3)
【事前学習】『社会は防衛しなければならない』最終講義の内容をレジュメにまとめる。 (1.5時間) 【事後学習】授業を踏まえてレジュメを改善する。 (0.5時間) |
9 |
近代日本における「正常化=規格化=規範化」の力①【対面】(A-3-3)(A-5-3)
【事前学習】元森ほか、『多様な子どもの近代 稼ぐ・貰われる・消費する年少者たち』序章「子ども観の近代性と多様性への視覚」の内容をレジュメにまとめる。 (1.5時間) 【事後学習】授業を踏まえてレジュメを改善する。 (0.5時間) |
10 |
近代日本における「正常化=規格化=規範化」の力②【対面】(A-3-3)(A-5-3)(A-8-3)
【事前学習】田中聡、『衛生展覧会の欲望』Ⅳ「健康人形と集団身体」の内容をレジュメにまとめる。 (1.5時間) 【事後学習】授業を踏まえてレジュメを改善する。 (0.5時間) |
11 |
近代日本における「正常化=規格化=規範化」の力③【対面】(A-3-3)(A-5-3)
【事前学習】『全日本より選ばれたる健康児三百名』「日本一健康児童」および「健康児審査概説」の内容をレジュメにまとめる。 (1.5時間) 【事後学習】授業を踏まえてレジュメを改善する。 (0.5時間) |
12 |
近代日本における「正常化=規格化=規範化」の力④【対面】(A-3-3)(A-5-3)
【事前学習】兵頭晶子、『精神病の日本近代 憑く心身から病む心身へ』第7章「未然の危機をめぐって」の内容をレジュメにまとめる。 (1.5時間) 【事後学習】授業を踏まえてレジュメを改善する。 (0.5時間) |
13 |
近代日本における「正常化=規格化=規範化」の力⑤【対面】(A-3-3)(A-5-3)
【事前学習】後藤城四郎「白痴及び低能者と其救済」(『精神異常者と社会問題』所収)の内容をレジュメにまとめる。 (1.5時間) 【事後学習】授業を踏まえてレジュメを改善する。 (0.5時間) |
14 |
レポートの発表①【対面】(A-3-3)(A-5-3)(A-6-3)
【事前学習】レポートを途中まで書く。 (2時間) |
15 |
レポートの発表②【対面】(A-3-3)(A-5-3)(A-6-3)(A-8-3)
【事前学習】レポートを完成させる。 (2時間) |
その他 | |
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教科書 | ミシェル・フーコー著 八幡恵一訳 『処罰社会(コレージュ・ド・フランス講義1972‐73年度)』 筑摩書房 2017年 ミシェル・フーコー著 慎改康之訳 『精神医学の権力(コレージュ・ド・フランス講義1973‐74年度)』 筑摩書房 2006年 ミシェル・フーコー著 田村俶訳 『監獄の誕生 ―監視と処罰―』 新潮社 2020年 ミシェル・フーコー著 慎改康之訳 『異常者たち(コレージュ・ド・フランス講義1974‐75年度)』 筑摩書房 2002年 ミシェル・フーコー著 石田英敬/小野正嗣訳 『社会は防衛しなければならない(コレージュ・ド・フランス講義1975‐76年度)』 筑摩書房 2007年 教科書は購入する必要ありません。 |
参考書 | 田中聡 『衛生展覧会の欲望』 青弓社 1994年 『全日本より選ばれたる健康児三百名』 朝日新聞社 1930年 元森絵里子ほか 『多様な子どもの近代 稼ぐ・貰われる・消費する年少者たち』 青弓社 2021年 『精神異常者と社会問題』 中央慈善協会 1918年 参考書も購入する必要ありません。 |
成績評価の方法及び基準 | レポート(30%)、授業参画度(70%) ・「レポート」では、①形式面、②内容面(文献に対する言及の豊富さや文献から引き出される見解の適切さなど)を評価します。 ・「授業参画度」として、①レジュメの出来、②授業中の質問や感想などを評価します。 対面授業に参加できない方についても、Blackboardに提出された課題の結果に基づいて評価します。 |
オフィスアワー | 質問や相談のある方は、いつでも構いませんので、STUメールでその旨ご連絡ください。 |