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総合研究1~8(メメント・モリ!―21世紀の死生学)

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令和2年度以降入学者 総合研究1~8(メメント・モリ!―21世紀の死生学)
令和元年度以前入学者 総合研究1~8(メメント・モリ!―21世紀の死生学)
教員名 紅野謙介
単位数    2 学年 1~4 開講区分 文理学部
科目群 総合教育科目
学期 前期 履修区分 選択
授業の形態 対面授業(一部遠隔授業あり) 。
Blackboard ID: 20220133
授業概要 医学部と文理学部の双方の学生を対象とする特別授業。
「メメント・モリ」とは、死を忘れるなかれという意味のラテン語の言葉である。人は必ず死ぬ。死があるからこそ生もまた意味をもつ。死と生を考えることは、言葉をもち、時間の概念をもった人間の歴史においてつねに大きな課題であった。そのなかでも医学は死の到来を最大限引き延ばすことを目指して発達してきたが、ついに死を解消することはできていない。一方、人間は社会的動物であるだけに愛するものや家族・友人の死によって深い喪失感を味わう。その傷を癒やすべくさまざまな思想や表現、技術が生み出されてきた。あらためてこの授業を通して死と生をめぐる人間の知恵をふりかえってみよう。現代の最先端医療のなかで人間の生と死に向き合う医学の課題と、高齢化社会の到来や生命観の変容に向き合う人文科学・社会科学の課題を接続し、医学部と文理学部双方の学生にとっても知的な刺激と新たな思索へと導いていきたい。
複数の教員がオムニバス形式で登壇。哲学、日本文学、社会学、社会福祉学、心理学、情報科学を専門とするそれぞれの教員1人が2回、授業を担当し、そのリレーのなかで講義とディスカッションを交互に行っていく。最後の第15回は複数の教員と学生とでディスカッションする予定。
授業のねらい・到達目標 ・文理学部と医学部の違いを超えて文系・理系学問を複合した知の世界を体験し、人生や社会に密接した「教養」(考える力)を身につける(A-1-1、A-2-1、A-4-1)。
・領域横断的な「知」を学び、それぞれの関心に応じた視点を切り口にして、議論を組み立てることができるようにする(A-3-1、A-5-1)。
・グループ・ディスカッションに自主的かつ対話的に参加できるようにする(A-6-1、A-7-1)。
・論理的な思考と他者への想像力をもって、自分の言葉でレポートを作成できるようにする(A-8-1)。

この科目は文理学部のディプロマポリシーDP及びカリキュラムポリシーCPの1、2に対応しています。
授業の方法 授業の形式:【講義】
講義方式およびグループ・ディスカッション、調べ学習などを組み合わせて行う。
⽇本に⼊国できない留学⽣、遠⽅に居住している学⽣の場合のみ、Zoomでの参加を認める。初回に担当教員の許可を取って下さい。
対⾯授業に参加できない場合は、まず①Zoom で参加し、Blackboard に配信する課題を提出するパターンと、②対⾯授業終了後にBlackboard に配信する動画を期⽇までに視聴し、課題を提出するパターンのどちらかになる。どちらになるかはつねにBlackboardで分かるようにするので、各自で確認してください。
フィードバック方法等については、授業内で指示する。
履修条件 履修希望者が多い場合は、グループ・ディスカッションの欠かせない授業であるため、人数調整を行う。50人程度を限度とする。
授業計画
1 ガイダンス(講義)。
Blackboardで事前に配布した資料を読みながら、これから何を学ぶかを説明します。あわせて死生学について思い浮かぶ課題や問題点をまずディスカッションして浮かび上がらせます(A-1-1)。
担当:紅野謙介・国文学科【対面授業+必要に応じて同時双方向授業】
【事前学習】事前資料を読み,この講義で何を学びたいかを考えてくること。 (2時間)
【事後学習】説明内容と議論した内容をまとめ,今後の学びに備えて整理しておくこと。  (2時間)
2 21世紀の死生学について(講義)。
20世紀は戦争による大量死がもたらされる一方、多くの病が克服された時代です。それに対して21世紀のこの20年間に何が起きていたか。100年前のスペイン風邪とコロナ禍の共通点と差異をふりかえり、現代における病と死の諸相を考えます(A-2-1)。
担当:紅野謙介・国文学科【この回だけはオンデマンド型授業で行い、対面授業は行いません】
【事前学習】事前資料を読み、感想をまとめておくこと。 (2時間)
【事後学習】オンデマンド録画に出ている課題を提出すること。 (2時間)
3 死と人生の意味(講義)
人は死に直面にするとき、しばしば自分の人生にどんな意味があるのかという問いに悩みます。他方でそもそも「人生に意味がある」とはどういうことなのかはそれほどはっきりしません。この授業では、まずは現代の哲学において典型的な「人生の意味」の理解を紹介し、そこに含まれる課題を考えることで、人生の意味について考える手がかりとします。(A-1-1, A-3-1)
担当:鈴木生郎・哲学科【対面授業】
【事前学習】人生に意味があるとはどういうことであり、(その意味で)具体的にどんな人の人生に意味があると自分が考えるのかについて、意見をまとめる。 (2時間)
【事後学習】典型的な人生の意味の理解と、その問題点について整理する。 (2時間)
4 人生がもつ多様な「意味」(講義)
人生が「意味」をもつということについてより広い視野から考えるために、人生を物語として捉える一つの考え方を紹介します。さらに、こうした考え方を使いながら、人生に含まれるさまざまな意味・価値をみなさんと一緒に探求していきます。(A-1-1, A-3-1)
担当:鈴木生郎・哲学科【対面授業】
【事前学習】人生が意味をもつということについて、自分でも他の捉え方ができないかを考えてみる。 (2時間)
【事後学習】授業内容をまとめた上で、自分の人生がどのような意味をもちうるかについて具体的に考える。 (2時間)
5 文学の中の「死」―田辺聖子「ジョゼと虎と魚たち」より(講義)
映画化もされた田辺聖子の短編小説「ジョゼと虎と魚たち」を取り上げ、文学表現として描かれる「死」の両義性とともに、この死が主人公である障害者女性のどのような生のあり方を意味しているかを考えます。(A-1-1,A-3-1)
担当:武内佳代・国文学科【対面授業】
【事前学習】「ジョゼと虎と魚たち」を読み、ヒロインの性格を中心に感想をまとめておくこと。 (2時間)
【事後学習】障害とジェンダーの問題について知識と考えを整理すること。 (2時間)
6 哀悼されない死の傍らで――村上春樹「レキシントンの幽霊」より(講義)
教科書にも採用されたことのある村上春樹の「レキシントンの幽霊」を取り上げ、死をめぐる語りに隠された歴史性を把握するとともに、死を語ることそれ自体の意味を考えます。(A-1-1,A-2-1, A-3-1)
担当:武内佳代・国文学科【対面授業】
【事前学習】「レキシントンの幽霊」を読み、「幽霊」と何か?を中心に感想をまとめておくこと。 (2時間)
【事後学習】病と哀悼の問題について知識と考えを整理すること。 (2時間)
7 社会学から考える死と生(講義)
 人間の死とは、「個体の心肺機能が永久に停止する」という、生物学的な生の終焉だけを意味するものではありません。それはまた、死亡届の提出や葬儀の実施といった社会的手続きを伴いつつ、確定化されていくものです。本講義では医療社会学の知見を紹介しながら、biological life(生物学的生)/biographical life(生活史的生)の二重性が織り成す形で展開する、現代社会における死と生について考えます。
担当:石岡丈昇・社会学科【対面授業+必要に応じて同時双方向授業】
【事前学習】事前に配布された資料を読み、その資料の巻末に記された「問い」に対する応答案を考えてくる。 (2時間)
【事後学習】講義内容を振り返り、リアクションペーパーを作成する。 (2時間)
8 生という不治の病:死生学をめぐる社会学的記述(講義)
本講義では、担当教員(石岡)による“父の看取り”の経験とその省察について、話をします。担当教員は、父の長年の闘病に伴走しながら「病とは何か」について考えることになりました。病から完全に解放された生を想定するのではなく、生とは病を抱えて(それと付き合って)進むものであるという見解を深めてみること。この点を「生という不治の病」(医療人類学者R.マーフィーの言葉)という視座から考えます。
担当:石岡丈昇・社会学科【対面授業+必要に応じて同時双方向授業】
【事前学習】事前に配布された資料を読み、その資料の巻末に記された「問い」に対する応答案を考えてくる。 (2時間)
【事後学習】中間レポートを作成し、提出する。 (3時間)
9 人の話を「きかない」から見えてくる(講義)
人の話を「きかない」を受講生同士で体験しながら、話を「きく」とはどういうことか、それが相手に何をもたらすのかを学びます。そこから人とのかかわりについて考えます (A-6-2)。 
担当:河野千佳・心理学科【対面授業】
【事前学習】人の話をきかないようにするにはどうしたらよいか、あらゆる手段を考えておく。 (2時間)
【事後学習】人の話を傾聴するとはどういうことか、まとめる。 (2時間)
10 防衛機制 自身の思考パターンについて知る(講義)
防衛機制の代表的なものとその内容について、さらにバーンアウトとその対処方法について学ぶことで、ストレス下にある時の自身の思考パターンについて気づき、理解します。そこから、人は身近な人の死をどのように考えるかについても触れていきます(A-4-1)。
担当:河野千佳・心理学科【対面授業】
【事前学習】これまでにストレスがかかると自身はどのような反応をすることが多かったかについて考えておく。 (2時間)
【事後学習】自身の思考パターンについて知り、ストレスの対処方法を身につける。 (2時間)
11 わたしの死生観とは?(講義)
死とは何か、人は死んだらどうなるかについて、グループディスカッションを行います。
それを踏まえた上で、各国における様々な死生観を紹介し、死生観の多様性を学びます。(A-2-1, A-6-2)
担当:金子絵里乃・社会福祉学科【対面授業】
【事前学習】これまでの講義の復習と事前に配布するレジュメを読んで、自分なりの死生観を考察する。 (2時間)
【事後学習】講義の前後で、自分の死生観が変化したか、変化したのであればどのように変化したかについて考察する。 (2時間)
12 グリーフケアとは?(講義)
グリーフやグリーフケアとは何か、またその実践について講義します。
それを踏まえた上で、自らの体験を照らし合わせながら、どのようなグリーフを抱えやすいかについて考察してもらいます。(A-1-1, A-8-2, A-6-2)
担当:金子絵里乃・社会福祉学科【対面授業】
【事前学習】事前に配布するレジュメを読んで、グリーフやグリーフケアの基礎的な知識を学ぶ。 (2時間)
【事後学習】グリーフケアには、どのようなことがたいせつであるかについて考察する。 (2時間)
13 人工知能と死生学(講義)
人工知能研究は役に立つ道具を生み出す工学として注目されてきたが、知能を「作ってみて理解する」という構成論的な科学的アプローチとも捉えられます。つまり「生物に死がない世界」をコンピュータの中で再現することができうるのです。本講義では、人工知能を題材とすることで見えてくる死が生命に与える価値を議論していきます。(A-3-1)
担当:大澤正彦・情報科学科【対面授業+必要に応じて同時双方向授業】
【事前学習】これまでの授業を振り返り、死生学に関する自身の考えをまとめておく。 (2時間)
【事後学習】説明内容と議論した内容をまとめ、今後の学びに備えて整理しておくこと。 (2時間)
14 人工知能と心と死生学(講義)
ロボットが壊れることは、「ロボットの死」と言えるでしょうか。この問題は、そのロボットと関わった人の存在なしには議論ができません。例えばロボットを心から愛していた人からすれば、それは死に匹敵する体験であり、ロボットを単なる道具と捉えている人にとっては、単に故障と捉えられるでしょう。Human-Agent Interaction (HAI)という研究領域で明らかにされつつある「ロボットに感じる心」について議論し、死生学の観点から考察していきます(A-2-1)
担当:大澤正彦・情報科学科【対面授業+必要に応じて同時双方向授業】
【事前学習】これまでの授業を振り返り、死生学に関する自身の考えをまとめておく。 (2時間)
【事後学習】説明内容と議論した内容をまとめ、今後の学びに備えて整理しておくこと。 (2時間)
15 総括とオープンダイアローグ(講義)
これまでの授業をふりかえり、あらためて問題点を整理します。そして人間はどうやって病や死を受け入れていくのか。現代において死はどのように意味を変え、変容していくのかについてオープンなかたちで議論していきます。
担当:紅野・鈴木・石岡・河野・金子・大澤
【事前学習】これまでの授業をふりかえり、自分なりの問題点を整理する。 (2時間)
【事後学習】期末レポートを作成し、提出する。 (3時間)
その他
教科書 使用しない
参考書 使用しない
成績評価の方法及び基準 レポート:中間レポートと期末レポート(60%)、授業参画度:出席・議論参加・リアクションペーパー(40%)
対⾯授業に参加できない学生に対しては、Zoomなどで必ず参加し、ブレイクアウトルームなどを開設するので議論に加わっていれば、リアクションペーパー、中間・期末のレポートをもとに、他の学生と同じように評価する。
オフィスアワー 授業後の昼休みに講師室にて。またメールやBlackboardでの問い合わせは随時受けつける。

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