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令和2年度以降入学者 | 美学史特殊講義2 | ||||
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教員名 | 高橋陽一郎 | ||||
単位数 | 2 | 課程 | 前期課程 | 開講区分 | 文理学部 |
科目群 | 哲学専攻 | ||||
学期 | 後期 | 履修区分 | 選択必修 |
授業の形態 | Zoomによる同時双方向型の遠隔授業(15回) BlackboardコースのID: 火曜4限→20213657 |
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授業概要 | 今年度は、「生の哲学(Lebensphilosophie)」の代表者ゲオルグ・ジンメル(Georg Simmel, 1858-1918)の『ショーペンハウアーとニーチェ』を読みながら、「生」と「藝術」との関係を探究する。後期(美学史特殊講義2)は本書第五講義「ショーペンハウアー:藝術の形而上学」の一部、第六講義「ショーペンハウアー:道徳および意志の自己救済」、第七講義「ニーチェ:人類の諸価値とデカダンス」、第八講義「ニーチェ:高貴性の道徳」を扱う。 |
授業のねらい・到達目標 | 本書『ショーペンハウアーとニーチェ』を読むことで、藝術の本質を哲学的・美学的に理解することがこの授業の目標である。具体的には、ジンメルの立てる「生」の概念を基軸に、受講者に「模倣」と「表現」の問題を考えてもらうことが授業のねらいとなる。本書はショーペンハウアー哲学やニーチェ哲学の単なる解説ではなく、「生の哲学」の立場を代表する著作でもある。したがってその問題圏は、ディルタイやオルテガの「生の哲学」やフロイトの「無意識の心理学」に接続するとともに、同時代の「表現主義」やその後の「シュルレアリスム」の藝術を理解するための鍵も与えてくれるはずである。なお、後期でのテーマは倫理学的・宗教哲学的な傾向を増すが、ジンメルを含めた三者の「生の哲学」が備えている藝術性は一貫しており、その要素を汲み取ることも後期授業での主要なねらいとなろう。 |
授業の方法 | 授業の方法:【演習】 ①毎回、参加者で日本語訳されたテキストを輪読してゆく。数ページごとに担当者が問題を指摘し、その後、参加者の問題提起と合わせて議論を重ねる。 ②Blackboardのメールを通して、質問の機会を設ける。参加者間のやり取りはZoomでの授業中に行っていただく。 ③学期末に1500字前後のレポートを課すが、そのほかに学期中にニーチェ哲学に関する小レポートを1~2度提出いただく。 |
履修条件 | なし |
授業計画 | |
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1 |
ガイダンス:ショーペンハウアー哲学の基本的性格について:前期授業の復習【同時双方向型】
【事前学習】「生の哲学」の系譜について、哲学史の本などで予備知識を得ておく。 (2時間) 【事後学習】担当者が配布したプリントを精読し、ショーペンハウアーとドイツ観念論哲学との関係について整理しておく。 (2時間) |
2 |
『ショーペンハウアーとニーチェ』第五講義「ショーペンハウアー:藝術の形而上学」―ジンメルの藝術観―【同時双方向型】
【事前学習】テキストの第五講義を通して、ショーペンハウアーの藝術理解を知っておく。 (2時間) 【事後学習】第2回授業で問題となった点を復習し、自分なりの解答をメモしておく。 (2時間) |
3 |
『ショーペンハウアーとニーチェ』第四講義「ショーペンハウアー:ペシミズム」―仏教との共通点―
【事前学習】仏教の解脱観について、事典などで調べておく。 (2時間) 【事後学習】ショーペンハウアーと仏教それぞれの解脱観の異同についてメモをつくる。 (2時間) |
4 |
『ショーペンハウアーとニーチェ』第六講義「ショーペンハウアー:道徳および意志の自己救済」―「倫理的」とはいかなることか―【同時双方向型】
【事前学習】カントの道徳観について調べておく。 (2時間) 【事後学習】ショーペンハウアーとカントそれぞれにおける道徳性の特質を理解する。 (2時間) |
5 |
『ショーペンハウアーとニーチェ』第六講義「ショーペンハウアー:道徳および意志の自己救済」―「同情=同苦」について―【同時双方向型】
【事前学習】法律と道徳の違いについてメモを作っておく。 (2時間) 【事後学習】「同情」の基本を理解し、第5回授業で問題となった箇所を復習する。 (2時間) |
6 |
『ショーペンハウアーとニーチェ』第六講義「ショーペンハウアー:道徳および意志の自己救済」―「意志の否定」について―【同時双方向型】
【事前学習】直観的理解と概念的理解の違いについて、自分の理解を記しておく。 (2時間) 【事後学習】「意志の否定」を理解し、第6回授業で問題となった箇所を復習する。 (2時間) |
7 |
『ショーペンハウアーとニーチェ』第七講義「ニーチェ:人類の諸価値とデカダンス」―再び「生」について―【同時双方向型】
【事前学習】ニーチェ哲学の藝術性について、自分の意見を言えるようにしておく。 (2時間) 【事後学習】ジンメルがニーチェ思想のなかに見出す「生」を理解する。 (2時間) |
8 |
『ショーペンハウアーとニーチェ』第七講義「ニーチェ:人類の諸価値とデカダンス」―ニーチェの根本問題―【同時双方向型】
【事前学習】キリスト教の長所・短所についてメモを作成する。 (2時間) 【事後学習】ニーチェのキリスト教理解についてメモを作成し、第8回授業で問題となった箇所を復習する。 (2時間) |
9 |
『ショーペンハウアーとニーチェ』第七講義「ニーチェ:人類の諸価値とデカダンス」―ニーチェのショーペンハウアー批判―【同時双方向型】
【事前学習】人類の諸価値について自分の意見を形成してくる。 (2時間) 【事後学習】ニーチェのショーペンハウアー批判の当否について省察する。 (3時間) |
10 |
『ショーペンハウアーとニーチェ』第七講義「ニーチェ:人類の諸価値とデカダンス」―ジンメルが読むニーチェの社会学―【同時双方向型】
【事前学習】社会学者としてのジンメルについて調べておく。 (2時間) 【事後学習】ジンメルの社会学的ニーチェ解釈を理解する。 (2時間) |
11 |
『ショーペンハウアーとニーチェ』第七講義「ニーチェ:人類の諸価値とデカダンス」―民主主義と個人主義―【同時双方向型】
【事前学習】オルテガの『大衆の反逆』の大意を言えるようにしておく。 (2時間) 【事後学習】ニーチェの精神貴族主義的傾向とジンメルのニーチェ解釈について理解する。 (2時間) |
12 |
『ショーペンハウアーとニーチェ』第八講義「ニーチェ:高貴性の道徳」―「高貴」とは何か―【同時双方向型】
【事前学習】ニーチェの『道徳の系譜』の大意を言えるようにしておく。 (2時間) 【事後学習】ニーチェにおける「高貴さ」の概念を理解し、第12回授業で問題となった箇所を復習する。 (2時間) |
13 |
『ショーペンハウアーとニーチェ』第八講義「ニーチェ:高貴性の道徳」―ジンメルの「超人」理解―【同時双方向型】
【事前学習】ニーチェの『ツァラトゥストラ』の大意を言えるようにしておく。 (2時間) 【事後学習】『ツァラトゥストラ』の藝術作品としての要素をメモしておく。 (2時間) |
14 |
『ショーペンハウアーとニーチェ』第八講義「ニーチェ:高貴性の道徳」―ジンメルの「永劫回帰」理解―【同時双方向型】
【事前学習】「永劫回帰」の思想について事典等で調べておく。 (2時間) 【事後学習】「超人」と「藝術」との関係について復習しておく。 (2時間) |
15 |
『ショーペンハウアーとニーチェ』第八講義「ニーチェ:高貴性の道徳」―ショーペンハウアーとニーチェ―【同時双方向型】
【事前学習】ニーチェの「権力意志」概念について事典等で調べておく。 (2時間) 【事後学習】ジンメルのニーチェ解釈の独自性について理解する。 (3時間) |
その他 | |
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教科書 | G. ジンメル(吉村博次訳) 『ショーペンハウアーとニーチェ (ジンメル著作集(第5巻))』 白水社 2004年 現在、本書は品切れなので、各自古書を購入いただくか、授業で扱う部分のコピーをご用意いただきたい。なお、岩波文庫に古い藤野渉訳があるが(『ショウペンハウエルのニイチェ』)、旧漢字・旧仮名遣いなので、白水社版を探してご用意いただきたい。 |
参考書 | 『道徳の系譜 (ちくま学芸文庫、岩波文庫ほか)』 |
成績評価の方法及び基準 | レポート:レポートは求めるテーマと内容、提出状況を見て評価します。(50%)、授業参画度:授業参画度は、出席状況や質問の頻度、議論への参画等によって評価します。。(50%) |
オフィスアワー | Blackboardを通じ、またはZoomでの授業終了後に随時行う。 |