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現代社会学理論1

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令和元年度以前入学者 現代社会学理論1
教員名 河合恭平
単位数    2 学年 3・4 開講区分 文理学部
科目群 社会学科
学期 前期 履修区分 選択
授業の形態 Zoomを用いた同時双方向型の遠隔授業(15回)によって行う。最終レポート試験については、第15回のまとめ授業後に各自でレポート作成を行い、期限までに提出する形とする。

BlackboardコースID: 20211952
授業概要 皆さんは、1・2年次でヴェーバーやデュルケムの社会学理論・社会学史を学習してきたことと思います。では、現代ではそれら理論はどのように発展させられているのでしょうか。そして、AIなどの科学技術、SNS、外国人差別など、まさに今日の社会で起こっていることに直接照準した最先端の理論にはどのようなものがあるのでしょうか。また、私たちは、どういう社会に身を置いており、それに対しどういう考えを持つことができるでしょうか。この授業では、主に1990年代以降から今日に至って展開している現代社会学理論について、毎回設定されたトピックごとに学習します。

 各トピックは、第1~3回が、現代社会の前提としての近代化論、第4~6回が、近代化の結果もたらされた諸問題、第7~11回が、近代化の問題を考え対処するための現代規範理論、第12~14回が、今日の科学技術とコミュニケーションへの照準、という4つのパートによる特徴と流れから成っています。これにより、各回で1つずつ現代社会学理論を学習できるだけでなく、「現代社会の前提→問題→規範理論→今日の科学技術とコミュニケーションを考える」、という一連の発展を通じてコース全体で理論を学習することができます。
授業のねらい・到達目標 〈知識〉〈技能〉
①現代社会に関する社会学理論の要点を理解し、その内容を説明できる。
②学習した社会学理論を用いて、現代社会の抱える諸問題を把握し、具体的事例とともにその問題の論理を説明できる。
③講義での学習内容を通じて自身の問題関心を形成し、それを論じることができる。

〈能力〉
上記の〈知識〉〈技能〉の習得を経て、以下の〈能力〉を育むことが目標である。
・日常生活から国際社会に至る現代社会の多層性と多様性を理解し,グローバル化する現代社会が抱える矛盾について,社会学における専門領域の観点から説明することができる。
 (A-2-3: 世界の現状を理解し,説明する力)
この科目は文理学部(学士(社会学))のDP2及びCP2に対応しています。
授業の方法 ●授業の形式:【講義】 Zoomを用いた同時双方向型のオンライン授業
●前期の授業実施期間中に、Blackboardを通して各回で用いる次の教材と課題を授業前に配信するので、各自で受講前にダウンロードをして授業に臨むこと。
・毎回の配信教材は、①パワーポイントの授業スライドをpdf化したもの、②課題の解答が主である。
・また、毎回の課題として、①穴埋め式の板書ノート、②〇×形式の確認問題、③リアクションペーパーに取り組んでもらう。
・課題①についてはBlackboardにて配布する。②と③は所定の方法で提出すること。(詳しい提出方法については、第1回目にて指示する。)
●以上の課題のうち①と②については次の回で解答を配布し、③については授業冒頭で書かれた内容を紹介するとともに応答することで、フィードバックを行う。
授業計画
1 ●イントロダクション(授業概要の詳細説明・導入):近代と現代はどう違うのか?(同時双方向)
 社会学を学んでいると、近代という言葉をよく耳にする。これはなぜか? 解きほぐして、現代という似た語との異同とともに説明する。
【事前学習】これまでの学科の授業で、近代という言葉がどういう意味で使われていたか振り返る。 (2時間)
【事後学習】シラバスおよび第1回の配布資料を読み返し、自分なりにメモやノートを作る。 (2時間)
2 ●近代化の歴史から現代社会へ(同時双方向)
 私たちは歴史上、どのような近代化を経験してきたのだろう。そして、現代社会において社会学を学ぶ意義とは何か。主に、事例として第一次・第二次世界大戦の悲劇に至る近代化の歴史を学ぶ。
【事前学習】フランス革命から第二次世界大戦に至るまでの歴史を、教科書、参考書、年表等を参照しながら大まかに振り返る。 (2時間)
【事後学習】第2回配布資料を読み返し、自分なりにメモやノートを作る (2時間)
3 ●近代化論の展開と自己(同時双方向)
 現代社会学理論の前提として、社会の近代化はどう展開しているのか。そして、そのなかで私たちは……キャラ作りに悩み、SNSにハマる…?
【事前学習】これまでの学科の授業で、M・ヴェーバーの理論、近代化論、社会変動論のいずれかについて学習していると思うので、これらについて、適宜、参考書等を参照して振り返る。 (2時間)
【事後学習】第3回配布資料を読み返し、自分なりにメモやノートを作る (2時間)
4 ●ナショナリズム論(同時双方向)
 私たちは、なぜ○○人であるのか。そして、国家およびナショナリズムをめぐる争いや対立はなぜ起こってしまうのか。
【事前学習】国家という言葉は、普段どういう意味で用いられているか考えておく。また、自分が○○人であることを強く意識する場面を思い浮かべておく。 (2時間)
【事後学習】第4回配布資料を読み返し、自分なりにメモやノートを作る (2時間)
5 ●大衆社会論(同時双方向)
 なぜ、周りと同じでないと不安なときがあり、ハロウィンのようにみんなで無茶をしてしまうのはなぜなのか。群衆・公衆・大衆の違いをつかむ。
【事前学習】普段、どういう人を指して大衆という言葉を用いているか考えておく。また、自分は大衆だと思うか考えておくこと。 (2時間)
【事後学習】第5回配布資料を読み返し、自分なりにメモやノートを作る (2時間)
6 ●悪の凡庸さ(同時双方向)
 ナチスによるユダヤ人虐殺への加担者は普通の人なのか? どのようにして虐殺の状況が生じたのか?
【事前学習】「悪の凡庸さ」という言葉から受けるイメージとその意味について、これまでの講義で学習した内容を総振り返りして考えておく。 (2時間)
【事後学習】第6回配布資料を読み返し、自分なりにメモやノートを作る (2時間)
7 ●フランクフルト学派の批判理論(同時双方向)
 ナチス政権によって迫害された思想家たちは、ナチスの経験をどのように考え、それ以降の社会をどう考えようとしたのか。
【事前学習】「アウシュヴィッツのあとで詩を書くことは野蛮である」の意味について、適宜、参考書を参照しながら考えておく。 (2時間)
【事後学習】第7回配布資料を読み返し、自分なりにメモやノートを作る (2時間)
8 ●人間の尊厳と人権(同時双方向)(A-2-3)
 紛争、難民、ブラック企業など、残酷な状況があるなかで、そうした残酷さを回避するために持っているべき考え方は何なのだろうか? 尊厳と人権の歴史的展開を学び、この概念の現代的な理解を深める。
【事前学習】人間の尊厳や人権とは何か、これまでの講義を振り返りながら自分なりに考える。 (2時間)
【事後学習】第8回配布資料を読み返し、自分なりにメモやノートを作る (2時間)
9 ●リベラル・コミュニタリアン論争(同時双方向)(A-2-3)
 社会学は、どのようにして善き社会を論じる「べき」なのか? 社会哲学における思考実験(もし、自分が社会的に有利・不利いずれの立場にあるかわからないとき、あなたはどういう社会を望ましいと考えるか?)を学ぶ。
【事前学習】「もし、自分が社会的に有利・不利いずれの立場にあるかわからないとき、あなたはどういう社会を望ましいと考えるか?」に対する回答を用意しておく。 (2時間)
【事後学習】第9回配布資料を読み返し、自分なりにメモやノートを作る (2時間)
10 ●福祉国家論(同時双方向)
 税金、保険料、権力、排除……。私たちの生活の助けになるはずの福祉国家はこれらとどのような関係にあり、今日ではどのような問題があるのか?
【事前学習】税や社会保障について新聞やニュースを参考に問題であると思うことを考えておく。 (2時間)
【事後学習】第10回配布資料を読み返し、自分なりにメモやノートを作る (2時間)
11 ●リスク社会論(同時双方向)
 科学技術が発展するほど便利で、身を守る手段も豊富になっている。にもかかわらず、リスクは増えている? なぜ?
【事前学習】スマートフォンなど最先端の科学技術を使っていて、どういうときに、どういうリスクを感じるか考えておく。 (2時間)
【事後学習】第11回配布資料を読み返し、自分なりにメモやノートを作る (2時間)
12 ●公共性とプライベートの変容(同時双方向)(A-2-3)
 SNSを使っていると、公共性もプライベートも区別がつかなくなってこないだろうか。思想史の方法によって公とプライベートの区別を考え、現代社会の問題をつかむ。
【事前学習】公また公共性という言葉の意味(複数)について調べてくる。また、自分にとってのプライベートが何かを考えてくる。 (2時間)
【事後学習】第12回配布資料を読み返し、自分なりにメモやノートを作る (2時間)
13 ●SNSと集団分極化の理論(同時双方向)(A-2-3)
 なぜ、SNSは炎上するのか? キャス・サンスティーンのメディア論を学習する。
【事前学習】テレビやインターネットが社会で果たしている効果や役割を、自身の経験とともに考えておく。 (2時間)
【事後学習】第13回配布資料を読み返し、自分なりにメモやノートを作る (2時間)
14 ●熟議(同時双方向)(A-2-3)
 話し合いは重要だと思うけど、面倒くさいし、話すだけムダ? 問題への対処として熟議というあり方とその意義に関する社会学理論を学ぶ。
【事前学習】第13回の講義を振り返り、インターネット上の経験なども踏まえながら、「話し合うこと」の利点・欠点を考えておく。 (2時間)
【事後学習】第14回配布資料を読み返し、自分なりにメモやノートを作る (2時間)
15 ●全体のまとめ解説とレポートの書き方(同時双方向 & 課題研究)
 これまでの授業全体のまとめと最終レポート試験の説明を行う。
【事前学習】れまでの配布プリントを見直す。授業内で解説したポイントに基づき試験勉強をする。 (2時間)
【事後学習】最終レポート試験課題と配布資料の関連箇所を見直し、あらためて解答を書き出してみる。 (2時間)
その他
教科書 教科書は指定しません。
参考書 長谷川公一・浜日出夫・藤村正之・町村敬志 『社会学 新版』 有斐閣 2019年
盛山和夫・金明秀・佐藤哲彦・難波功士編 『社会学入門』 ミネルヴァ書房 2017年
出口剛司 『大学4年間の社会学が10時間でざっと学べる』 KADOKAWA 2019年
小川(西秋)葉子、是永論、太田邦史 『モビリティーズのまなざし――ジョン・アーリの思想と実践』 丸善出版 2020年
成績評価の方法及び基準 レポート:最終レポート試験(60%)、授業参画度:穴埋め式板書ノート・○×課題、リアクション・ペーパー(40%)
A-2-3の達成度は、毎回の穴埋め式板書ノート作成・○×問題課題、リアクション・ペーパー、最終レポート試験にて判定する。
オフィスアワー 授業開講時に指示する。
備考 初回講義開始までに、当該授業のBlackBoardのコース登録を行うこと。

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