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書物文化研究

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令和2年度以降入学者 書物文化研究
令和元年度以前入学者 古筆研究1
教員名 久保木秀夫
単位数    2 学年 2~4 開講区分 文理学部
科目群 国文学科
学期 前期 履修区分 選択
授業の形態 ・対面授業。ただし一部、zoomを用いた同時双方向授業や、課題研究などをも組み込んでいく可能性がある(事前に相談・周知する)。
・履修者は、初回授業開始時までに必ず、Blackboardへの登録を済ませておくこと。BlackboardのコースIDは、20211457。
授業概要 ・日本古典文学のほとんどは、そもそもは写本に書写され、あるいは版本に印刷されるかたちで成立・流布し、読まれ、後代へと伝えられていった。本授業では、古典文学のいわば「器」とも言うべき「書物」――専門的には「古典籍」「原本資料」などと呼ぶ――そのものを対象として、見方・読み方・調べ方に関する知識や技術を学びつつ、書物というモノの、文学史・文化史等における役割や意義について考えていく。
・中でも、写本の場合は「奥書」(おくがき、写本内に記された、写本の成立に関する情報)と「識語」(しきご、同じく写本内に記された、写本の成立以外に関する諸情報)、版本の場合は「刊記」(かんき、版本内に刻された、版本の出版に関する情報)の解読が不可欠となるので、その解読方法をも実践的に学んでいく。
・またそうした過程で、室町時代までの古写資料をも多く取り上げる。古写資料における筆蹟は「古筆」とも呼ばれ、あるいは古写資料そのものが「古筆資料」とも呼ばれる。そうした古筆の研究方法をも、自ずと学んでいくこととなる。
授業のねらい・到達目標 ・原本資料や古筆に関する様々な専門知識を学修する。
・くずし字解読の基礎を学修する。
・書写・印刷内容を(活字テキストになるべく頼らず)読解できるようになる。
・奥書・識語・刊記を解読し、原本資料個々の性格や価値を解明していくための基礎を学修する。
・以上を通じて、原本資料や古筆の活用方法の基礎を学修し、研究資料としての価値や意義を明らかにしていけるようになる。

・この科目は文理学部(学士(文学))のディプロマポリシーDP6及びカリキュラムポリシーCP9に対応している。

・なお、新カリキュラム(令和2年度以降の入学者)では、この科目は文理学部(学士)のディプロマポリシーCP2,3,4,5,8及びカリキュラムポリシーCP2,3,4,5,8に対応している。
・日本文学・日本語学研究を学びながら,それらと深く関わる世界諸国の歴史や政治,経済,文化,価値観,信条などの現状および相互関係を,自己の世界観をもって説明できる。(A-2-2)
・日本文学・日本語学研究を中心としながら,仮説に基づく課題や問題を提示し,客観的な情報を基に,論理的・批判的に考察できる。日本文学・日本語学研究を中心としながら,仮説に基づく課題や問題を提示し,客観的な情報を基に,論理的・批判的に考察できる。(A-3-2)
・日本文学・日本語学研究に関わる問題の意味を理解し,助言を受けて複数の解決策を提示し説明できる。(A-4-2)
・日本文学・日本語学研究のスキルを身につけながら,新しい挑戦への計画を立て,準備することができる。(A-5-2)
・日本文学・日本語学研究の専門性を身につけながら,自己の学修に関する経験と考えを振り返り,分析できる。(A-8-2)
授業の方法 授業の形式:【講義,実習】

・さまざまな古典文学作品の古典籍、及び関連諸資料に基づきながら、講義形式で行っていく。
・原本資料の複製や画像はもちろんのこと、何百年も前に作られた実物をも毎回持参し、履修者にも実際に取り扱ってもらう。
・平仮名のみならず、片仮名や漢字のくずし字を解読し、かつ解釈するスキルも必要となるので、毎回その基礎的な練習(実習)をも行っていく。
・フィードバック方法等については、授業内で指示する。

・なお社会情勢や、個別の状況・環境如何によって、zoomでのリアルタイム受講も可とする。希望者は原則として授業当日の午前9時までに、Blackboardのメール送信機能で連絡すること。
・通信環境のトラブルその他により、やむを得ずリアルタイムで受講できなかった場合も、メールで連絡すること。より詳細な代替方法に関しては、初回授業で説明する予定。
授業計画
1 スタートアップ:原本資料に関する概説/授業方法について/評価方法について 【対面】
【事前学習】シラバスをよく読み、履修者自身の関心の所在を検討してくること。 (2時間)
【事後学習】配布プリントに基づき学修内容を復習しておくこと。 (2時間)
2 講義:原本資料について01 写本とは 【対面】
【事前学習】事前に紹介した参考文献を読んでおく。 (2時間)
【事後学習】授業内で紹介した古典籍画像データベースを活用し、任意の写本を調べてみる。 (2時間)
3 講義:原本資料について02 版本とは 【対面】
【事前学習】事前に紹介した参考文献を読んでおく。 (2時間)
【事後学習】授業内で紹介した古典籍画像データベースを活用し、任意の版本を調べてみる。 (2時間)
4 講義:古写本の研究事例01 万葉集・古事記/実習:くずし字の解読01 万葉仮名・草仮名・平仮名 【対面】
【事前学習】万葉集・古事記について調べておく。 (2時間)
【事後学習】万葉集・古事記をくずし字で読んでみる。 (2時間)
5 講義:古写本の研究事例02 土左日記と作者自筆本の復元/実習:くずし字の解読02 平仮名・漢字 【対面】
【事前学習】土左日記について調べておく。 (2時間)
【事後学習】学修内容を復習しつつ、土左日記をくずし字で読んでみる。 (2時間)
6 講義:古写本の研究事例03 土左日記と作者自筆本の復元(続、その功罪)/実習:くずし字の解読03 平仮名・漢字 【対面】
【事前学習】土左日記の伝本について調べておく。 (2時間)
【事後学習】学修内容を復習しつつ、土左日記の奥書・識語をくずし字で読んでみる。 (2時間)
7 講義:古写本の研究事例04 古今集/実習:くずし字の解読04 平仮名・漢字 【対面】
【事前学習】古今集について調べておく。 (2時間)
【事後学習】学修内容を復習しつつ、古今集をくずし字で読んでみる。 (2時間)
8 講義:古写本の研究事例05 勅撰集・私撰集・私家集/実習:くずし字の解読05 平仮名・片仮名・漢字 【対面】
【事前学習】勅撰集・私撰集・私家集について調べておく。 (2時間)
【事後学習】学修内容を復習しつつ、私家集をくずし字で読んでみる。 (2時間)
9 講義:古写本の研究事例06 伊勢物語ほか/実習:くずし字の解読06 平仮名・片仮名・漢字 【対面】
【事前学習】伊勢物語について調べておく。 (2時間)
【事後学習】学修内容を復習しつつ、伊勢物語をくずし字で読んでみる。 (2時間)
10 講義:古写本の研究事例07 源氏物語/実習:くずし字の解読07 平仮名・片仮名・漢字 【対面】
【事前学習】源氏物語について調べておく。 (2時間)
【事後学習】学修内容を復習しつつ、源氏物語をくずし字で読んでみる。 (2時間)
11 講義:古写本の研究事例08 分割された古写本=古筆切(こひつぎれ)について/実習:くずし字の解読08 平仮名・片仮名・漢字 【対面】
【事前学習】古筆切について調べておく。 (2時間)
【事後学習】学修内容を復習しつつ、古筆切をくずし字で読んでみる。 (2時間)
12 講義:版本の研究事例01 古版本・古活字版/実習:くずし字の解読09 平仮名・片仮名・漢字 【対面】
【事前学習】古版本・古活字版について調べておく。 (2時間)
【事後学習】学修内容を復習しつつ、古活字版をくずし字で読んでみる。 (2時間)
13 講義:版本の研究事例02 整版本/実習:くずし字の解読09 平仮名・片仮名・漢字 【対面】
【事前学習】整版本について調べておく。 (2時間)
【事後学習】学修内容を復習しつつ、整版本をくずし字で読んでみる。 (2時間)
14 講義:時代の変化・書物の変化 【対面】
【事前学習】日本史上の画期について調べておく。 (2時間)
【事後学習】学修内容を復習しつつ、画期ごとの書物の変化を考察してみる。 (2時間)
15 講義:書物文化研究のこれから 【対面】
【事前学習】これまでの授業内容を総括的に復習しておく。 (2時間)
【事後学習】学期末レポートに取り組む。 (2時間)
その他
教科書 笠間影印叢刊刊行会 『字典かな―出典明記』 笠間書院 1972年
・PDF形式のプリントを毎回配布する。
・配布するプリントは、事前にOneDriveの共有フォルダに入れておくので、毎回確認し、印刷して持参すること。
参考書 国文学研究資料館 『古典籍研究ガイダンス 王朝文学をよむために』 笠間書院 2012年
その他、授業中に適宜紹介していく。
成績評価の方法及び基準 レポート:指定された原本資料(古写本)について、本文・奥書・識語などを解読しつつ、その資料的価値について考察し、レポートとしてまとめる。(40%)、授業参画度:講義に関わる積極的な発言や質問、実習に際しての取り組み・主体性・集中力・成果、及びスキルの定着度などを総合的に判断。(30%)、毎回提出してもらうコメントシートの充実度。(30%)
・対面受業に出席できない場合は、zoomでのリアルタイム参加をしてもらう。対面・遠隔といった履修形態の違いによて、成績評価に差を設けることはしない。
オフィスアワー 随時メールで受け付ける。対応までに時間を要することもある。
備考 原本資料の取り扱いに際しては、事前に手を洗うこと、爪も切っておくこと(マニキュアも不可)、鉛筆のみを使用すること、手首より先のアクセサリー類を外すこと、なるべく袖をまくること、といったマナーがある。これらを遵守すること。

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