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児童文学研究

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令和2年度以降入学者 児童文学研究
令和元年度以前入学者 児童文学・絵本論
教員名 柿原和宏
単位数    2 学年 2~4 開講区分 文理学部
科目群 国文学科
学期 前期 履修区分 選択
授業の形態 オンデマンド型(15回)【スライド教材配信】
BlackboardのコースID:20211449
授業概要 この授業では「少年探偵団」というモチーフを視座として、1930年代から現在までの児童文化について講義形式で学習します。少年探偵団は大正期ごろから児童文学の領域で流行し、現在も『名探偵コナン』など、人気のあるサブカルチャーに取り入れられています。しかし、このモチーフは各時代における理想の児童像を反映しており、団員のキャラクターや出身階層、捜査方法など、描かれ方が大きく変化しています。〈少年探偵団シリーズ〉を書いた探偵作家・江戸川乱歩の作品を中心に、各時代の少年探偵団の位置づけを示す代表的な作品を扱いながら、近現代日本における少年探偵団の役割について考えていきます。
授業のねらい・到達目標 この授業では、「少年探偵団」というモチーフを中心に1930年代から現代までの児童文化について理解したうえで、授業で得た知見を応用して現在のフィクション作品や児童文化を考察する態度を身につけることをねらいとしている。そこで、以下の到達目標を設定する。
・1930年代から現代までの少年探偵団をモチーフとする代表的な作品の表現の特徴とその社会・文化的背景の関わりについて説明できる。
・授業で扱ったテーマと関連する現在のフィクション作品や児童文化をとりあげ、比較しながら類似点と差異を説明できる。

この科目は、文理学部(学士(文学))のディプロマポリシーDP6及びカリキュラムポリシーCP9に対応している。
なお、新カリキュラム(令和2年度以降の入学者)では、この科目は文理学部(学士)のディプロマポリシーDP2,3,4,5,8及びカリキュラムポリシーCP2,3,4,5,8に対応している。
・日本文学・日本語学研究を学びながら,それらと深く関わる世界諸国の歴史や政治,経済,文化,価値観,信条などの現状および相互関係を,自己の世界観をもって説明できる。(A-2-2)
・日本文学・日本語学研究を中心としながら,仮説に基づく課題や問題を提示し,客観的な情報を基に,論理的・批判的に考察できる。(A-3-2)
・日本文学・日本語学研究に関わる問題の意味を理解し,助言を受けて複数の解決策を提示し説明できる。(A-4-2)
・日本文学・日本語学研究のスキルを身につけながら,新しい挑戦への計画を立て,準備することができる。(A-5-2)
・日本文学・日本語学研究の専門性を身につけながら,自己の学修に関する経験と考えを振り返り,分析できる。(A-8-2)
授業の方法 授業の形式:【講義】
各時代の少年探偵団の位置づけを示す代表的な作品とその背景について学習します。

①授業時間までにBlackboardを通じてスライド教材を配信しますので、受講者はそれを学修してください(オンデマンド型学修)。
②各回のスライド教材の最後に課題を設定しますので、指定された期日までに解いて提出してください。
③授業の節目に授業内容に関する小レポート(1000字程度)を5回課し、15回の授業後には学期末レポートを作成してもらいます。レポート類のフィードバックは原則として翌週に行います。質問にはできるだけ回答するとともに、代表的なコメントをとりあげて講評も行います。
授業計画
1 第1回:現代における少年探偵団とそのルーツについて 『名探偵コナン』と江戸川乱歩〈少年探偵団シリーズ〉の関わりを学ぶ(A-2)(A-4)【オンデマンド型】
【事前学習】『名探偵コナン』を鑑賞したうえで、作中の少年探偵団の特徴を整理しておくこと。 (2時間)
【事後学習】第1回の授業資料をふりかえり、『名探偵コナン』と江戸川乱歩〈少年探偵団シリーズ〉の影響関係をまとめること。(A-8) (2時間)
2 第2回:江戸川乱歩〈少年探偵団シリーズ〉の特徴について1 乱歩の少年探偵団の背景と独自性を学ぶ(A-2)(A-3)(A-4)【オンデマンド型】
【事前学習】江戸川乱歩『怪人二十面相』『少年探偵団』を読んだうえで、作中の少年探偵団の特徴を整理しておくこと。 (2時間)
【事後学習】第2回の授業資料をふりかえり、乱歩の少年探偵団の背景と独自性をまとめること。(A-8) (2時間)
3 第3回:江戸川乱歩〈少年探偵団シリーズ〉の特徴について2 怪人二十面相と変身問テーマを学ぶ(A-2)(A-3)(A-4)【オンデマンド型】
【事前学習】江戸川乱歩『怪人二十面相』『少年探偵団』を読んだうえで、怪人二十面相による変身の描き方について整理しておくこと。 (2時間)
【事後学習】第3回の授業資料をふりかえり、怪人二十面相による変身の背景と独自性をまとめること。(A-8) (2時間)
4 第4回:江戸川乱歩〈少年探偵団シリーズ〉の特徴について3 怪人二十面相のキャラクターを学ぶ(A-2)(A-3)(A-4)【オンデマンド型】
【事前学習】江戸川乱歩『怪人二十面相』『少年探偵団』を読んだうえで、怪人二十面相というキャラクターの特徴を整理しておくこと。 (2時間)
【事後学習】第2回~第4回の授業内容をふまえて、各自の意見を小レポート(第1回)にまとめる。(A-5)(A-8) (3時間)
5 第5回:少年探偵の系譜について 森下雨村と小酒井不木における少年探偵の特徴を学ぶ(A-2)(A-3)(A-4)【オンデマンド型】
【事前学習】森下雨村〈富士夫少年シリーズ〉と小酒井不木〈塚原俊夫シリーズ〉について調べたうえで、少年探偵の特徴についてまとめておくこと。 (2時間)
【事後学習】第5回の授業資料をふりかえり、少年探偵の歴史と特徴をまとめること。(A-8) (2時間)
6 第6回:少女探偵の系譜について 乱歩〈少年探偵団〉における少女探偵の特徴を学ぶ(A-2)(A-3)(A-4)【オンデマンド型】
【事前学習】江戸川乱歩『妖人ゴング』を読んだうえで、作中の少女探偵の特徴についてまとめておくこと。 (2時間)
【事後学習】第5回~第6回の授業内容をふまえて、各自の意見を小レポート(第2回)にまとめる。(A-5)(A-8) (3時間)
7 第7回:戦時下の少年探偵団について1 江戸川乱歩『新宝島』とアジア・南方進出の関わりを学ぶ(A-2)(A-3)(A-4)【オンデマンド型】
【事前学習】江戸川乱歩『新宝島』を読んだうえで、その特徴についてまとめておくこと。 (2時間)
【事後学習】第6回の授業資料をふりかえり、乱歩『新宝島』と日本のアジア・南方政策の関係をまとめること。(A-8) (2時間)
8 第8回:戦時下の少年探偵団について2 児童文学とオリエンタリズム、コロニアリズムの関わりを学ぶ(A-2)(A-3)(A-4)【オンデマンド型】
【事前学習】戦時期の児童文学における〈冒険もの〉というジャンルについて調べたうえで、その特徴についてまとめておくこと。 (2時間)
【事後学習】第7回~第8回の授業内容をふまえて、各自の意見を小レポート(第3回)にまとめる。(A-5)(A-8) (3時間)
9 第9回:戦後の少年探偵団について1 江戸川乱歩『青銅の魔人』と戦争孤児の描かれ方を学ぶ(A-2)(A-3)(A-4)【オンデマンド型】
【事前学習】江戸川乱歩『青銅の魔人』を読んだうえで、戦争孤児の描き方についてまとめておくこと。 (2時間)
【事後学習】第9回の授業資料をふりかえり、乱歩『青銅の魔人』と戦後の孤児政策の関係をまとめること。(A-8) (2時間)
10 第10回:戦後の少年探偵団について2 江戸川乱歩『虎の牙』と機動警察の描かれ方を学ぶ(A-2)(A-3)(A-4)【オンデマンド型】
【事前学習】江戸川乱歩『虎の牙』を読んだうえで、作中の少年探偵団の捜査の方法についてまとめておくこと。 (2時間)
【事後学習】第10回の授業資料をふりかえり、乱歩『虎の牙』と機動警察の関係をまとめること。(A-8) (2時間)
11 第11回:戦後の少年探偵団について2 江戸川乱歩『電人M』と通信機器の描かれ方を学ぶ(A-2)(A-3)(A-4)【オンデマンド型】
【事前学習】江戸川乱歩『電人M』を読んだうえで、作中の少年探偵団の捜査の方法についてまとめておくこと。 (2時間)
【事後学習】第9回~第11回の授業内容をふまえて、各自の意見を小レポート(第4回)にまとめる。(A-5)(A-8) (3時間)
12 第12回:冷戦期の少年探偵団について1 乱歩『宇宙怪人』と空飛ぶ円盤ブームの関わりを学ぶ(A-2)(A-3)(A-4)【オンデマンド型】
【事前学習】江戸川乱歩『宇宙怪人』を読んだうえで、空飛ぶ円盤の描き方についてまとめておくこと。 (2時間)
【事後学習】第10回の授業資料をふりかえり、乱歩『電人M』との関係をまとめること。(A-8) (2時間)
13 第13回:冷戦期の少年探偵団について2 乱歩『宇宙怪人』と児童雑誌『少年』の関わりを学ぶ(A-2)(A-3)(A-4)【オンデマンド型】
【事前学習】江戸川乱歩『宇宙怪人』を読んだうえで、四十面相による犯罪の問題点について考え、まとめておくこと。 (2時間)
【事後学習】第12回~第13回の授業内容をふまえて、各自の意見を小レポート(第5回)にまとめる。(A-5)(A-8) (3時間)
14 第14回:現代の少年探偵団について1 『名探偵コナン』とバブル経済崩壊の関わりを学ぶ(A-2)(A-3)(A-4)【オンデマンド型】
【事前学習】『名探偵コナン』を鑑賞し、これまで学習した乱歩の少年探偵団の特徴と比較しながら、少年探偵団の独自性について考えておくこと。 (2時間)
【事後学習】第14回の授業資料をふりかえり、『名探偵コナン』における少年探偵団の特徴をまとめること。(A-8) (2時間)
15 第15回:現代の少年探偵団について2 現代サブカルチャーにおける『TRICKSTER』の位置づけと、コミュニケーションというテーマについて学ぶ(A-2)(A-3)(A-4)【オンデマンド型】
【事前学習】アニメ『TRICKSTER』を鑑賞したうえで、作中の少年探偵団の特徴についてまとめておくこと。 (2時間)
【事後学習】第15回の授業資料をふりかえり、『TRICKSTER』の特徴をまとめること。(A-8) (2時間)
その他
教科書 なし。

授業内で配信する資料を教材として用います。長編作品を扱う場合はカット版を配信します。各回で扱う作品はシラバスに記載したとおりですので、必ず事前に読んでから授業に参加してください。
参考書 黄金髑髏の会〔著〕 『少年探偵団読本―乱歩と小林少年と怪人二十面相』 情報センター出版局 1994年
江戸川乱歩〔著〕、森英俊・野村宏平〔編〕 『吸血鬼の島 (江戸川乱歩からの挑戦状―SF・ホラー編)』 まんだらけ出版部 2017年
・『少年探偵団読本』は乱歩の〈少年探偵団シリーズ〉のポイントや各作品の内容をおさえるのに便利です。
・『吸血鬼の島』は乱歩の〈少年探偵団シリーズ〉の代作を集めた短編集です。〈少年探偵団シリーズ〉の周辺を理解するのに便利です。
成績評価の方法及び基準 レポート(50%)、授業参画度:授業内課題(小レポート)を含む(50%)
A:学期末レポート B:授業参画度(授業内課題含む)を合わせて総合的に評価します。

A:学期末レポートでは、授業内容の理解度を評価します。レポートのテーマを提示しますので、授業資料を参照しながら必要な要素を取捨選択して適切にまとめてください。
B:授業内課題として、授業の節目に小レポート(1000字程度)を5回課します。小レポートでは、授業で扱ったテーマをとりあげて考察してもらいます。現在のフィクション作品や児童文化と比較しながらその類似点と差異について考察を展開できているかを評価します。
オフィスアワー Blackboardやメールを通して随時行います。

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