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令和2年度以降入学者 | 哲学演習8 | ||||
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令和元年度以前入学者 | 哲学演習8 | ||||
教員名 | 長綱啓典 | ||||
単位数 | 1 | 学年 | 2~4 | 開講区分 | 文理学部 |
科目群 | 哲学科 | ||||
学期 | 後期 | 履修区分 | 選択必修 |
授業の形態 | 同時双方向型授業(Zoomによるライブ中継) BlackboardコースID: 20211187 |
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授業概要 | 20世紀フランスの哲学者ミシェル・フーコーは、その著書『性の歴史』第二巻『快楽の活用』の序文で次のように述べています。「哲学が思索の思索自体への批判作業でないとすれば、今日、哲学とはいったい何であろう? 自分がすでに知っていることを正当化するかわりに、別の方法で思索することが、いかに、どこまで可能であるかを知ろうとする企てに哲学が存立していないとすれば、哲学とは何であろう?」このように、フーコーは、自分が常識だと思い込んでいることから、あるいは自分自身から、自らを解き放つことが哲学の目的のひとつであると考えていました。そのための方法が彼のいわゆる「考古学」あるいは「系譜学」です。1976年のその著書『性の歴史』第一巻『知への意志』において、フーコーはそれらの方法を用いながら「セクシュアリティ」(性現象、性行動、性的欲望)の問題について分析を試みています。それによってフーコーはセクシュアリティの自明性に揺さぶりをかけます。これこそ、フーコー的な哲学の営みに他なりません。そこでとくに考察の対象とされているのは①女性の身体のヒステリー化、②子どもの性の教育化、③生殖行為の社会的管理、④倒錯的快楽の精神医学への組み込みという四つの歴史的事象です。哲学演習8では、これら四つの領域のうちとくに②の問題、つまり子どものセクシュアリティの問題に焦点を当てます。その際、『知への意志』を出発点としながらそれ以外のフーコーの著作も参照しつつ、この問題に関するフーコーの見解をできるかぎり明確にします。また、フーコーの考古学的・系譜学的方法を私たち自身で実践してみることも試みます。つまり、子ども、とくにその自慰を中心とするセクシュアリティに関して近代日本においてどのような言説が発せられてきたのか、調査したいと思います。そこで、最初の7回の授業では、『知への意志』とその関連テキストにおけるフーコーの議論を概観することによって彼の考古学あるいは系譜学という方法を身につけます。第8・9回授業では、先行研究を参考にしながら、子どものセクシュアリティに関する近代日本における言説について調査します。残りの6回の授業では、学生各自がセクシュアリティに関連するテーマを見つけ、それに対して考古学的あるいは系譜学的にアプローチしながら、最終的にひとつのレポートを完成させます(子どものセクシュアリティの問題でなくても構いません)。 |
授業のねらい・到達目標 | 学生は指定された事柄についてその概要を調べることができる。 学生は調べたことをレジュメにまとめることができる。 学生はレジュメにもとづきながら自分の調べたことについて発表および質疑応答することができる。 学生は授業で扱われた内容についてさらに調べることの可能なテーマを見つけることができる。 学生はそのテーマについて調べたことをレポートにまとめることができる。 この科目は文理学部(学士(文学))のディプロマポリシーDP3,5,6,7,8及びカリキュラムポリシーCP3,5,6,7,8に対応しています。 ・自他の主張や論証を論理的・批判的に考察して,既存の見解を問い直すことができる(A-3-3)。 ・自らの思想的課題に取り組むために必要な情報を収集し,それを分析して用いることができる(A-5-2)。 ・さまざまな人とコミュニケーションをとり,傾聴力と発表力に基づいて,合理的な議論を推進することができる(A-6-2)。 ・さまざまな集団活動において,より良い成果を上げるために,指導者として他者と協働し,作業を行う姿勢を示すことができる(A-7-2)。 ・自分の学修経験を振り返り分析して,今後の改善計画を立てることができる(A-8-2)。 |
授業の方法 | 授業の形式:【演習】 第1回~第7回:フーコーの『性の歴史』第一巻『知への意志』の内容を概観します。 第8回~第9回:子どものセクシュアリティに関して近代日本において発せられた言説を調査します。 第10回~第15回:セクシュアリティに関連するテーマ(子どものセクシュアリティの問題でなくても構いません)を見つけ、最終的にそれをレポートにまとめます。 毎回の授業前にBlackboardをとおしてレジュメを提出してもらいます。 すべてのレジュメに対してBlackboard上で採点・添削し、フィードバックします。 |
授業計画 | |
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1 |
「セクシュアリティ」の概念(A-3)【同時双方向型】
【事前学習】入門書等で『知への意志』のおおよその内容を調べる(A-5)。 (1.5時間) 【事後学習】テキストの該当箇所を読み直す(A-8)。 (0.5時間) |
2 |
抑圧の仮説(A-6)(A-7)【同時双方向型】
【事前学習】抑圧の仮説が依拠しているマルクーゼの思想を調べる(A-3)(A-5)。 (1.5時間) 【事後学習】テキストの該当箇所を読み直す(A-8)。 (0.5時間) |
3 |
正常化=規範化のプロセスという発想(A-6)(A-7)【同時双方向型】
【事前学習】ノルムと正常化=規範化の問題に関するカンギレムの思想を調べる(A-3)(A-5)。 (1.5時間) 【事後学習】テキストの該当箇所を読み直す(A-8)。 (0.5時間) |
4 |
「肉」に関する言説(A-6)(A-7)【同時双方向型】
【事前学習】17世紀のキリスト教(カトリック)において「肉」の概念がどのような意味を持っているか調べる(A-3)(A-5)。 (1.5時間) 【事後学習】テキストの該当箇所を読み直す(A-8)。 (0.5時間) |
5 |
「自慰」に関する言説(A-6)(A-7)【同時双方向型】
【事前学習】18世紀のヨーロッパにおける自慰撲滅運動の例としてどのようなものがあったか調べる(A-3)(A-5)。 (1.5時間) 【事後学習】テキストの該当箇所を読み直す(A-8)。 (0.5時間) |
6 |
「性本能」に関する言説(A-6)(A-7)【同時双方向型】
【事前学習】19世紀の性的精神医学においてどのようなことが倒錯として挙げられているか調べる(A-3)(A-5)。 (1.5時間) 【事後学習】テキストの該当箇所を読み直す(A-8)。 (0.5時間) |
7 |
生権力(A-6)(A-7)【同時双方向型】
【事前学習】中世ヨーロッパの封建制における主従関係の特徴がどのようなものか調べる(A-3)(A-5)。 (1.5時間) 【事後学習】テキストの該当箇所を読み直す(A-8)。 (0.5時間) |
8 |
子どものセクシュアリティに関する近代日本における言説①(A-6)(A-7)【同時双方向型】
【事前学習】近代日本における子どものセクシュアリティに関する言説の例としてどのようなものがあるか調べる①(A-3)(A-5)。 (1.5時間) 【事後学習】授業の記録をプロトコルにまとめて提出する(A-8)。 (0.5時間) |
9 |
子どものセクシュアリティに関する近代日本における言説②(A-6)(A-7)【同時双方向型】
【事前学習】近代日本における子どものセクシュアリティに関する言説の例としてどのようなものがあるか調べる②(A-3)(A-5)。 (1.5時間) 【事後学習】指摘や議論を踏まえて、レポートのトピックを改善する(A-8)。 (0.5時間) |
10 |
レポートのテーマと使用文献(資料)の発表(A-6)(A-7)【同時双方向型】
【事前学習】レポートのテーマと使用文献(資料)の書誌データをレジュメにまとめる(A-3)(A-5)。 (1.5時間) 【事後学習】指摘や議論を踏まえて、文献リストを改善する(A-8)。 (0.5時間) |
11 |
研究ノートの作成と発表①(A-6)(A-7)【同時双方向型】
【事前学習】一週間分の調査内容をレジュメにまとめる①(A-3)(A-5)。 (1.5時間) 【事後学習】指摘や議論を踏まえて、レジュメを改善する(A-8)。 (0.5時間) |
12 |
研究ノートの作成と発表②(A-6)(A-7)【同時双方向型】
【事前学習】一週間分の調査内容をレジュメにまとめる②(A-3)(A-5)。 (1.5時間) 【事後学習】指摘や議論を踏まえて、レジュメを改善する(A-8)。 (0.5時間) |
13 |
レポートのアウトラインの発表(A-6)(A-7)【同時双方向型】
【事前学習】レポートのアウトラインを作成する(A-3)(A-5)。 (1.5時間) 【事後学習】指摘や議論を踏まえて、アウトラインを改善する(A-8)。 (0.5時間) |
14 |
未完成レポートの発表(A-6)(A-7)【同時双方向型】
【事前学習】途中まででよいので、レポートを作成する(A-3)(A-5)。 (1.5時間) 【事後学習】指摘や議論を踏まえて、レポートを改善する(A-8)。 (0.5時間) |
15 |
完成レポートの発表(A-6)(A-7)【同時双方向型】
【事前学習】レポートを完成させる(A-3)(A-5)。 (1.5時間) 【事後学習】指摘や議論を踏まえて、レポートを改善する(A-8)。 (0.5時間) |
その他 | |
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教科書 | ミシェル・フーコー著 渡辺守章訳 『知への意志 (『性の歴史』第一巻)』 新潮社 1986年 |
参考書 | 参考書は非常に多いので、授業中に適宜紹介します。 |
成績評価の方法及び基準 | レポート(20%)、授業参画度(80%) 授業参画度の評価基準は以下の通りです。 ・レジュメの出来によって「論理的・批判的思考力」(A-3)、「挑戦力」(A-5)を評価します。 ・レジュメに基づく発表および質疑応答の出来によって「論理的・批判的思考力」(A-3)、「コミュニケーション力」(A-6)、「協働力」(A-7)を評価します。 ・レポートによって「論理的・批判的思考力」(A-3)、「挑戦力」(A-5)、「省察力」(A-8)を評価します。 |
オフィスアワー | メールやBlackboardを用いて質疑応答を行います。 |