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美学史特殊講義4

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令和2年度入学者 美学史特殊講義4
令和元年度以前入学者 美学史特殊講義4
教員名 高橋陽一郎
単位数    2 課程     開講区分 文理学部
科目群 哲学専攻
学期 後期 履修区分 選択必修
授業の形態 課題研究型による遠隔授業(15回)
Blackboard ID:火曜4限→20204095
授業概要 20世紀以降、世界の思想界をリードするいわゆる「フランクフルト学派」の代表的著作のひとつ、H. マルクーゼの『エロスと文明』(邦訳名は『エロス的文明』、ドイツ語名はTriebstruktur und Gesellschaft[衝動構造と社会])をテクストにしながら、現代社会における「抑圧」と、それを救う「美」との関係について学ぶ。後期では、本書第二部「現実性原理の彼岸」を扱う。
授業のねらい・到達目標 苛酷な労働を強いる現代社会にどのような人間的問題が生じたか。また、そうした問題を解決するために現代人はどのように生きるべきか。このような問題意識をもってマルクーゼの著作にふれることで、現代社会を批判的に考察する目を養うことができ、さらに現代社会を生きるうえで創造的な姿勢をもつことがいかに重要か、を学ぶことができる。F.シラーの「遊戯(Spiel)」概念が導入される後期の内容では、前期の授業内容以上に美や藝術の現代的意義がクローズアップされる。
授業の方法 第一回目のBlackboardへの配信において、前期授業の復習を担当者から配信するので、第二回目までの間にそれを閲覧しコメントを返信する。第二回目以降にマルクーゼのテキストに入るが、前期同様に毎回、授業実施日にその日の講読範囲を告げるので、翌週(締切もBlackboardで通知)までに数百字程度の短いリポートを、Blackboardを通じて提出していただく。提出されたものに対し、担当者はBlackboardを通じてコメントを返すので、各自、復習すること。また、そうしたやりとりのなかで疑問点や問題だと思われる点を書きとめておき、毎回のリポートとは別に担当者まで配信してもらってもよい(むしろそうした「議論」を期待する)。なお担当者からは、重要箇所のドイツ語テクストも、時折配信するので、併せて利用されたい。
授業計画
1 ガイダンス:前期授業の復習―ヨーロッパの思想史におけるH. マルクーゼの位置―(課題研究授業)
【事前学習】思想家としてのフロイトについて調べてくる。 (2時間)
【事後学習】担当者が配布したプリントを精読し、マルクーゼの思想上の位置についてメモをとる。 (2時間)
2 『エロスと文明』第二部「現実性原理の彼方」についての解説(課題研究授業)
【事前学習】フロイトと、同時期の他の思想家との比較考察を行う。 (2時間)
【事後学習】現実性原理についてメモを作成する。 (2時間)
3 『エロスと文明』第六章「現実性原理の歴史的限界」の講読と解釈(1)―抑圧なき社会への道―(課題研究授業)
【事前学習】脱抑圧について論じた思想家を、マルクーゼやフロイト以外に探す。 (2時間)
【事後学習】フロイトにもとづく快原理と現実性原理の概念についてメモを作成する。 (2時間)
4 『エロスと文明』第七章「想像力とユートピア」の講読と解釈(1)――想像力versus理性―(課題研究授業)
【事前学習】想像力に関する顕著な学説について各自調べる。 (時間)
【事後学習】理性に関する一般的な学説について1200字程度でまとめる。 (時間)
5 『エロスと文明』第七章「想像力とユートピア」の講読と解釈(2)――抑圧なき社会の原像―(課題研究授業)
【事前学習】現代のユートピア思想の代表的学説について調べる。 (2時間)
【事後学習】「理性の悪」という題名で小レポートを作成してみる。 (2時間)
6 『エロスと文明』第八章「オルフェウスとナルキッソス」の講読と解釈(1)―人間のギリシア的原像―(課題研究授業)
【事前学習】ギリシア神話におけるオルフェウス、ナルキッソス、プロメテウスについて調べる。 (2時間)
【事後学習】ギリシア神話に潜む深層心理という題名で小レポートを書き始める。 (2時間)
7 『エロスと文明』第八章「オルフェウスとナルキッソス」の講読と解釈(2)―人間と自然の融和―(課題研究授業)
【事前学習】ギリシア神話やギリシア悲劇における自然観について調べる。 (2時間)
【事後学習】感性的文明というテーマでメモを作成し始める。 (2時間)
8 『エロスと文明』第九章「美的次元」の講読と解釈(1)―感性と理性―(課題研究授業)
【事前学習】カントとシラーの美学について事典等で調べる。 (2時間)
【事後学習】マルクーゼにおける「遊戯」の意義についてレポートを作成し始める。 (2時間)
9 『エロスと文明』第九章「美的次元」の講読と解釈(2)―美的快について―(課題研究授業)
【事前学習】抑圧なき社会について、マルクーゼの観点から説明できるようにしておく。 (2時間)
【事後学習】美的快と遊戯の特色について小レポートを書く。 (2時間)
10 『エロスと文明』第九章「美的次元」の講読と解釈(3)―「遊戯」の本質について―(課題研究授業)
【事前学習】カント、シラーの「遊戯」概念について調べる。 (2時間)
【事後学習】「遊戯」がどのような意味で現代的意義を持ちうるのかについてメモを作成してみる。 (2時間)
11 『エロスと文明』第十章「エロスへの転換」の講読と解釈(1)―人間的な性の両義性について―(課題研究授業)
【事前学習】プラトンとフロイトの「エロス」理解について調べる。 (2時間)
【事後学習】マルクーゼのエロス論の独自性についてまとめる。 (2時間)
12 『エロスと文明』第十章「エロスへの転換」の講読と解釈(2)―昇華について―(課題研究授業)
【事前学習】創造的な職業について、その特徴を考察する。 (2時間)
【事後学習】昇華という考え方についてメモを作成する。 (2時間)
13 『エロスと文明』第十一章「エロスとタナトス」の講読と解釈(1)―理性の新概念について―(課題研究授業)
【事前学習】エロスとタナトスについて説明できるようにしておく。 (2時間)
【事後学習】新しい理性概念についてメモを作成する。 (2時間)
14 『エロスと文明』第十一章「エロスとタナトス」の講読と解釈(2)―ヨーロッパの死生観について―(課題研究授業)
『エロスと文明』「エピローグ」の講読と解釈(1)―修正的フロイト主義について―
【事前学習】エーリッヒ・フロムの修正的フロイト主義について調べる。 (2時間)
【事後学習】フロムとマルクーゼそれぞれによるフロイト理解の違いについて、メモを作成する。 (2時間)
15 『エロスと文明』「エピローグ」の講読と解釈(2)―まとめ―(課題研究授業)
【事前学習】ユートピア思想についてまとめる。 (2時間)
【事後学習】マルクーゼのユートピア思想の特徴について、レポートを作成し始める。 (3時間)
その他
教科書 H. マルクーゼ(南博訳) 『エロス的文明』 紀伊国屋書店 1958年
邦訳は現在絶版中なので、古書店で買い求めるか、担当者のコピーに頼るものとする。
参考書 使用しない
成績評価の方法及び基準 レポート:レポートはテーマと内容、提出状況を見て評価します。(50%)、授業参画度:授業参画度は、毎回のレポートや質問提出によって評価します。(50%)
オフィスアワー 授業終了後

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