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令和元年度以前入学者 | 中国現代文学研究4 | ||||
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教員名 | 山口守 | ||||
単位数 | 2 | 学年 | 2~4 | 開講区分 | 文理学部 |
科目群 | 中国語中国文化学科 | ||||
学期 | 後期 | 履修区分 | 選択 |
授業の形態 | 主として同時双方向型授業(URLはBbで事前に告知されるので、「連絡事項」を確認すること) Blackboard ID: 20201565 |
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授業概要 | 1945年の中華民国復帰と国民党軍事支配,その後の民主化まで,台湾社会は日本植民地統治の記憶と抗日戦争の記憶の接合・非接合を中心に,多様で多元的な社会へと変化してきた。文学もその動きと連動しながら,中国語創作が主流になるが、植民地統治期の日本語文学との合流まで、台湾文学概念は未定のディシプリンであった。文学史的には1950年代反共郷愁文学、1960年代モダニズム文学、1970年代郷土文学と簡単化されがちだが、実は各作家の自立的な文学活動はしだいに多元的な台湾文学概念の成立へと向かいつつあった。本講義では、白先勇、黄春明、リグラヴ・アウの三人の作家を取り上げて、具体的な作品のケーススタディを通じて、その契機や経緯を学習する。 |
授業のねらい・到達目標 | 中国語創作が主流になる中で,エスニシティと個人の両レベルで様々な実践が展開された台湾文学について、ここでは主として言語における主体性と,言語による主体性の両方を,モダニズム作家の白先勇、郷土文学派の黄春明、原住民族作家のリグラヴ・アウの作品を通して学習し、その理解を深めることができる。 この科目は文理学部(学士(文学))のディプロマポリシーDP2,DP6及びカリキュラムポリシーCP9に対応している。 |
授業の方法 | 講義授業だが、反転授業形式による学生の事前事後レポート作成や翻訳作業を活用する。具体的にはパワーポイント等を使用する講義と映画等表象芸術の読み解き学習、及び中国語テキストの講読を組み合わせて授業を行う。最初は1945年以降の台湾文学の流れを概説する。その後、1960年代モダニズムの代表的作家白先勇について講義しながら、映画『孤恋花』の中国語シナリオを読む。さらに郷土文学派として分類されることの多い黄春明の小説を映画化した『坊やの人形』へと進む。そして台湾原住民族の文化と歴史を概説した後、パイワン族作家リグラヴ・アウの中国語作品「歌をうたうアミ族の女性」等を読む。提出レポートは採点後にフィードバックする。 これ以外の課題の提出方法、フィードバック方法等については、授業開始時に提示する。 本授業の事前・事後学習は,各2時間の学習を目安とする。 |
履修条件 | 中国学入門4及び2年次前期までの中国語必修科目をすべて修得している。 |
授業計画 | |
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1 |
1945年以降の台湾文学の流れを概観できるようにする。また授業のテーマや到達目標の設定、及びそれを達成する方法についても明確に理解する。
【事前学習】シラバスを読んで授業計画を把握し、学習計画を立てる。 (0.5時間) 【事後学習】台湾文学における「戦後」の意味をノートにまとめる。 (1時間) |
2 |
「白先勇小説中的現代主義:『台北人』的記憶與郷愁」前半に基づき、白先勇のニューヨーカーシリーズにおける空間のノスタルジアのメカニズムを学ぶ。
【事前学習】「白先勇小説中的現代主義:『台北人』的記憶與郷愁」p.1-9までを読んでおく。 (2時間) 【事後学習】モダニズムの定義と各国の実践例をノートにまとめる。 (2時間) |
3 |
「白先勇小説中的現代主義:『台北人』的記憶與郷愁」後半に基づき、白先勇の台北人シリーズにおける時間のノスタルジアのメカニズムを学ぶ。
【事前学習】「白先勇小説中的現代主義:『台北人』的記憶與郷愁」p.9-17までを読んでおく。 (2時間) 【事後学習】白先勇の作品における記憶の描き方をノートにまとめる。 (2時間) |
4 |
白先勇の短編小説「孤恋花」を原作とする映画『孤恋花』についてアウトラインを理解したうえで、シナリオ冒頭2頁を日本語訳して、小説と映画のインターテクスチュアリティについて理解を深める。
【事前学習】短篇小説「孤恋花」を読んでおく。さらにシナリオ冒頭2頁を日本語訳して指定ノートに書く。 (2時間) 【事後学習】シナリオ冒頭2頁の日本語訳を提出できるよう準備する。 (2時間) |
5 |
「孤恋花」シナリオ3-4頁を日本語訳すると共に、映画『孤恋花』はノスタルジアをどのように処理しているか検証する。
【事前学習】「孤恋花」シナリオ3-4頁を日本語訳して指定ノートに書いておく。 (2時間) 【事後学習】第4,5回で翻訳したノートを整理して提出する。またノスタルジアに関するレポートを作成し、翻訳ノートと共に指定された日時と場所に提出する。 (3時間) |
6 |
「作為契機的郷土文学」に基づき、戦後台湾文学における郷土文学について学ぶ。特に黄春明に焦点を当てて郷土概念について理解を深める。
【事前学習】「作為契機的郷土文学」を読んでおく。 (2時間) 【事後学習】黄春明の生涯と作品を年表にする。 (2時間) |
7 |
黄春明の短編小説「坊やの人形」を原作とする映画『坊やの人形』についてアウトラインを理解したうえで、シナリオ冒頭2頁を日本語訳する。またこの映画自体が台湾語映画の先駆的な実験なので、台湾映画全体の概観ができるようする。
【事前学習】黄春明の短編小説「坊やの人形」を読んでおく。またシナリオ冒頭2頁を日本語訳して指定ノートに書いておく。 (2時間) 【事後学習】シナリオ冒頭2頁の日本語訳を提出できるよう準備する。 (2時間) |
8 |
映画『坊やの人形』のシナリオ3-4頁を日本語訳すると共に、この映画が郷土台湾への帰属や庶民の実像をどのように描いているか検証する。
【事前学習】シナリオ3-4頁を日本語訳して指定ノートに書いておく。 (2時間) 【事後学習】第7,8回で翻訳したノートを整理して提出する。また郷土文学に関するレポートを作成し、翻訳ノートと共に指定された日時と場所に提出する。 (2時間) |
9 |
「アフター・バベル」前半に基づき、華語語系文学の概念がどのようなものであるか、またなぜこうした概念による研究に意義があるか学ぶ。
【事前学習】「アフターバベル」前半を読んでおく。 (2時間) 【事後学習】文学における声と文字の関係をノートにまとめる。 (2時間) |
10 |
「アフター・バベル」後半に基づき、華語語系文学の理論を具体的な文学作品を通して学ぶ。焦点を当てるのは文学における文字と音の機制である。中国の非漢族作家やマレーシア華人作家の例も検証する。
【事前学習】「アフターバベル」後半を読んでおく。 (2時間) 【事後学習】華語語系文学に関するレポートを作成し、指定された日時と場所に提出する。 (3時間) |
11 |
反転授業を行う。受講生の事前レポートの中から討論ポイントを含んでいるものを提示して、原住民族文学の歴史について学びながら、エスニシティとアイデンティティに関して受講生間で検討を加える。
【事前学習】原住民族文学に関する事前レポートを作成し、指定された日時と場所に提出する。 (2時間) 【事後学習】フィードバックされたレポートの内容を確認して整理する。 (2時間) |
12 |
1930年の霧社事件について学んだ後に、パイワン族の作家リグラヴ・アウ「歌をうたうアミ族の女性」の前半部を日本語訳しながら、大陸の非漢族漢語作家と台湾の原住民族作家の違いについて学ぶ。
【事前学習】「歌をうたうアミ族の女性」前半部を日本語訳し、指定ノートに書いておく。 (2時間) 【事後学習】「歌をうたうアミ族の女性」前半部の日本語訳を提出できるように準備しておく。時間があれば『祖霊被遺忘的孩子』序文に目を通しておく。 (2時間) |
13 |
「歌をうたうアミ族の女性」後半部を日本語訳しながら、リグラヴ・アウの関心がエスニシティだけでなく、ジェンダーや障がい者にも向いていること、またカテゴライズを拒否していることを検証する。
【事前学習】「歌をうたうアミ族の女性」後半部を日本語訳し、指定ノートに書いておく。 (2時間) 【事後学習】第12,13回で翻訳したノートを整理して、指定された日時と場所に提出する。 (3時間) |
14 |
第1-13回の内容を再検証しながら、戦後台湾文学の多様化について学習する。
【事前学習】第1回から第13回までのノートを復習しておく。 (2時間) 【事後学習】最終レポートを作成し、指定された日時と場所に提出する。 (3時間) |
15 |
反転授業を行う。受講生の事前レポートの中から討論ポイントを含んでいるものを提示して、戦後台湾文学の全体像をどう描くか、全員で確認する。
【事前学習】提出したレポート内容を復習しておく。 (1.5時間) 【事後学習】フィードバックされたレポートの内容を確認して整理する。 (1時間) |
その他 | |
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教科書 | 教材はブラックボード(Bb)からダウンロードする。 |
参考書 | 山口守 『講座台湾文学』 国書刊行会 2003年 白先勇 『台北人』 国書刊行会 2008年 黄春明 『鹿港からきた男』 国書刊行会 2001年 これらの参考書は予習復習やレポート作成に大いに役立つので、教科書に準じる。 |
成績評価の方法及び基準 | 授業参画度(100%) 授業参画度にはレポート提出と翻訳課題の実践を含む。 |
オフィスアワー | 随時。Bbにあるメールアドレスを使って事前予約すること。 |