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令和元年度以前入学者 | 中国現代文学概説2 | ||||
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教員名 | 山口守 | ||||
単位数 | 2 | 学年 | 2~4 | 開講区分 | 文理学部 |
科目群 | 中国語中国文化学科 | ||||
学期 | 後期 | 履修区分 | 選択 |
授業の形態 | 主として同時双方向型授業(URLはBbで事前に告知されるので、「連絡事項」を確認すること) Blackboard ID: 20201558 |
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授業概要 | 中国現代文学と台湾文学の全体像を把握し、個別作家論を学習する。具体的には、前期学んだ中華民国期文学の基礎知識の上に立って、1930-40年代に黄金期を迎えた中国現代文学が、日本の侵略戦争や内戦を経験して、中華人民共和国文学へと移行していく経緯をまずたどる。社会主義文学が商業主義の波を受けながらも21世紀の新しい文学へと変容していく様態も学ぶことになる。一方、中華民国文学が国民党によって歪曲されながら移入された台湾では、日本の植民地期からすでに文学におけるモダニティはかなり成立していた。日本語或いは中国語の台湾文学を考察するにあたって一番肝要なのは、台湾人アイデンティティの問題であるが、それは作品自体を読み解くことから見えてくる。最終的には中国や台湾や香港という地域を超えた華語語系文学まで視野に入れることになる。 |
授業のねらい・到達目標 | 中国現代文学や台湾文学の全体像を把握しながら,個別作家の作品を読み解く道筋を探索する。単に文学史的に作家や作品を羅列して文学潮流をトレースするのでなく,まず近代という時代に生き,同時に近代そのものの実質を構築して行った個々の作家の優れた作品をどのように読むかを考えながら,近代や文学の概念そのものへ思考を深めることができる。また文学言語の多様性や多元性についても理解することができる。 世界に氾濫している様々な情報を自ら収集し、分類・整理し、論理的・批判的に説明することができる。(A-3-2) この科目は文理学部(学士(文学))のDP及びCPの3に対応しています。 |
授業の方法 | 講義形式である。教材はブラックボード(Bb)からダウンロードし、毎回予習復習することが必要となる。また指示された時にサブノートを提出することが求められる。これは授業参画度の一部となる。さらに学期末に最終レポートを作成して提出する。なお提出されたサブノートやレポートは事後にフィードバックする。また授業進度は学生の学習状況に合わせて適宜調整することがある。 これ以外の課題の提出方法、フィードバック方法等については、授業開始時に提示する。 本授業の事前・事後学習は,各2時間の学習を目安とする。 |
履修条件 | 前期に開講される「中国現代文学概説1」と連続して受講することを推奨する。 |
授業計画 | |
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1 |
中華民国期の文学の立ち上がりから1930年代までを概観する。歴史的経緯だけでなく、中国現代文学を考察するどのようなトピックがあったかを検証することで、後期の授業へと接続できる。
【事前学習】シラバスを読んで授業計画を把握し、学習計画を立てる。 (0.5時間) 【事後学習】清末民初から1930年代までの文学の流れをノートに整理する。 (1時間) |
2 |
中華民国期最後、最大の作家と呼ばれる巴金の生涯と作品を学ぶ。今回はまず中国アナーキズムとナショナリズムの歴史を概観したうえで、1920代に巴金たちが直面していた思想的問題に焦点を当てて考える。
【事前学習】教材p.39ー45を読んで理解する。 (1.5時間) 【事後学習】中国アナキズムの歴史をノートに整理する。 (1.5時間) |
3 |
巴金の初期作品『滅亡』や『愛情三部曲』における愛と革命の相克について、それがどのような思想的苦悩と結びついているか理解する。そして初期の代表作『家』における愛と革命の相克の問題が、登城人物の”敗北”を経て自立志向へと進んでいく様態を探る。
【事前学習】教材p.46ー48を読んで理解する。 (1.5時間) 【事後学習】巴金『家』を読んで、学んだことをノートにまとめる。 (5時間) |
4 |
小説『家』が演劇や映画へとテクスト変容する過程を追って、各時代各人のテクストの読みを分析する。さらに抗日戦争を経て『憩園』や『寒夜』において究極の愛と挫折を描く巴金の成熟した姿を考察する。同時にそれが社会主義中国への幻想を招いたことも検証する。
【事前学習】教材p.49ー59を読んで理解する。 (1.5時間) 【事後学習】巴金の生涯と作品をノートにまとめる。第1-4回のノートを整理して、提出の準備をする。 (3時間) |
5 |
中華人民共和国期の文学へと学習を進める。人民文学理論の元となった毛沢東の「文芸講話」の理論的立場を検証し、実践例として趙樹理の小説を分析する。
【事前学習】教材p.68ー74を読んで理解する。 (1.5時間) 【事後学習】毛沢東の「文芸講話」の内容をノートにまとめる。 (1.5時間) |
6 |
提出されたノートをレヴューして学習内容の確認を行う。(A-3-2)その後、文革期の文学を簡単にトレースしてから、文革後の新時期文学のトピックを学ぶ。具体的には傷痕文学・尋根文学・文化熱・朦朧詩など。
【事前学習】教材p.75ー85を読んで理解する。 (1.5時間) 【事後学習】文革後の新時期文学の流れを、トピックに注目しながらノートにまとめる。 (1.5時間) |
7 |
文学後の新時期文学の作家の中で最も内的言語に関心を払う作家、史鉄生について具体的作品を分析しながら、その文学的自立性を考える。
【事前学習】史鉄生の資料を読んで理解する。 (1時間) 【事後学習】史鉄生の作品を読んで、学んだことをノートにまとめる。 (3時間) |
8 |
フランスに亡命して2000年度ノーベル文学賞を受賞した高行健(Gao Xingjian)の文学を、ポリフォニー理論を援用して学ぶ。
【事前学習】高行健(Gao Xingjian)の資料を読んで理解する。 (1時間) 【事後学習】高行健(Gao Xingjian)の『霊山』、『ある男の聖書』の内容をまとめ、批評をノートに書く。また第5-8回のノートを整理して、提出の準備をする。 (3時間) |
9 |
新時期文学では非漢族漢語作家の登場が目立つ。代表的な作家はザシダワやアーライなど、チベットにルーツを持つ作家だが、その作品を母語概念を援用しながら分析する。
【事前学習】アーライの資料を読んで理解する。 (1時間) 【事後学習】アーライの作品を読んで、学んだことをノートにまとめる。 (3時間) |
10 |
提出されたノートをレヴューして学習内容の確認を行う。(A-3-2)その後、21世紀にも活躍する莫言、余華、閻連科らについて、その物語叙述の新しさと体制に対する批評性について考える。
【事前学習】莫言、余華、閻連科の資料を読んでおく。 (1時間) 【事後学習】余華の作品を読んで、学んだことをノートにまとめる。 (3時間) |
11 |
台湾文学の基礎知識を学ぶ。まず台湾史の学習を行い、そのうえで台湾文学とはどのようなディシプリンなのか理解を深める。
【事前学習】「越境する文学と言語」を読んで理解する。 (1.5時間) 【事後学習】台湾文学について自分の定義をノートにまとめる。 (1時間) |
12 |
「ここ二十年の台湾文学研究」に基づき、日本における台湾文学の先行研究をトレースしたうえで、個別作家を扱う方法論や理論を学ぶ。
【事前学習】「ここ二十年の台湾文学研究」を読んで理解する。 (1.5時間) 【事後学習】台湾文学史について主なトピックをノートに整理する。また第9-12回のノートを整理して、提出の準備をする。 (3時間) |
13 |
郷土文学をキーワードとして、日本統治期の日本語文学から戦後台湾文学のリアリズムへと学習を進める。
【事前学習】郷土文学に関する教材を読んで理解する。 (1.5時間) 【事後学習】台湾における郷土文学の意義をノートにまとめる。 (2時間) |
14 |
提出されたノートをレヴューして学習内容の確認を行う。(A-3-2)その後、戦後台湾のモダニズム文学の中心的作家、白先勇について学ぶ。
【事前学習】「白先勇と1960年代モダニズム」を読んで理解する。 (1.5時間) 【事後学習】白先勇『台北人』から一篇選んで読み、学んだことをノートにまとめる。 (3時間) |
15 |
第1-14回の内容を踏まえ、国家や民族や言語のディシプリンにとらわれない華語語系文学の理論と実践を学ぶことで、中国・台湾・香港の文学に対する客観的な見方を習得する。
【事前学習】「アフターバベル」を読んで理解する。 (1.5時間) 【事後学習】これまでの学習内容を踏まえ、最終レポートを完成させ、指定された日時と場所に提出する。 (6時間) |
その他 | |
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教科書 | 教材はブラックボード(Bb)からダウンロードする。 |
参考書 | 尾崎文昭 『規範からの離脱』 山川出版社 2006年 山口守 『講座台湾文学』 国書刊行会 2003年 『規範からの離脱』は文革後から21世紀の文学を、『講座台湾文学』は台湾文学を学ぶうえで参考になる。 |
成績評価の方法及び基準 | レポート(40%)、授業参画度(60%) 授業参画度にはサブノート提出を含む。指示された時にサブノートを提出してない者は最終レポートの提出資格がない。最終レポートは学期末に提出する。 |
オフィスアワー | 随時。Bbにあるメールアドレスを使って事前予約すること。 |