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令和元年度以前入学者 | 歴史学2 | ||||
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教員名 | 後藤秀和 | ||||
単位数 | 2 | 学年 | 1~4 | 開講区分 | 文理学部 |
科目群 | 総合教育科目 | ||||
学期 | 後期 | 履修区分 | 選択 |
授業の形態 | オンデマンド授業(音声付きPower pointの配信) Blackboard ID: 20200111 |
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授業概要 | 明治期、ヨーロッパは日本の近代化モデルだった。そのため、日本国内では議会制民主主義や国民国家などの政治制度、工業化や資本主義的分業などの経済システムに偏ってヨーロッパの知識が蓄積され、それに基づくヨーロッパ像が創られてきた。しかしヨーロッパ史を大きく捉えてみると、農村社会を基盤とする時代が長く続き、その地理的環境に適合した生産や交換のしくみがヨーロッパ的結婚パターンと呼ばれる独特の人口再生産構造と相互に連関しあってヨーロッパ社会の構成要素となってきたことに気づく。 本講義ではそうした要素に着目し、日常生活史を中心とする社会史的な切り口からヨーロッパ社会を歴史的に捉え直す。ヨーロッパの人々はいつごろからパンを常食するようになったのか、豚肉食が広がり馬肉食が広まらなかった理由はなにか、結婚年齢が高く、独身のまま一生を終える人が多かったのはなぜか。そのような問いを立て、仮説を構築し、限られた材料から暫定的な解を提示するといった人文知の基礎を身につけよう。 |
授業のねらい・到達目標 | ヨーロッパの地理的環境について概要を理解した上で、そこに成立した農業や土地制度、食文化の特徴を説明できること(文理学部のCP1・DP1)。さらに北西ヨーロッパ社会に特徴的な人口再生産、すなわち世帯形成やその人員構成の独自性と、歴史的な諸条件との連関に気づき、これを説明できること(同CP・DP1およびCP・DP3)。西洋における食の近代化の諸断面を把握(同CP1・DP1)し、解決すべき問題の所在を認識・提示すること(CP・DP3)。 この科目は文理学部(学士(文学))のディプロマポリシー・カリキュラムポリシーDP・CP1,3に対応しています。 ・経験や学修から得られた豊かな知識と教養に基づいて,倫理的な課題を理解し説明することができる。(A-1-1) ・仮説に基づく課題や問題を提示し,客観的な情報を基に,論理的・批判的に考察することの重要性を説明できる。(A-3-1) |
授業の方法 | Blackboardを通じて配付された資料と動画を閲覧・視聴し、それぞれの回での指示に従い、小レポートを提出していただく。回によっては小レポートに代わり、掲示板において資料解釈案の提示等を行っていただくこともある。よって授業開始前までに各自でBlackboardにコース登録すること。 *履修者は初回講義開始までにBlackboardのコース登録をすること。また受講者への連絡もBlackboardの「連絡事項」欄に掲示する場合があるので、随時確認すること。 |
授業計画 | |
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1 |
農と食に注目してヨーロッパ史を捉え直す意義
【事前学習】シラバスに目を通し、現代の食や農にかかわる問題をリストアップする。 (2時間) 【事後学習】食や農に注目して地域の歴史を考える意義を文章にまとめる。 (2時間) |
2 |
ヨーロッパはどこにある?ミリュー(自然環境)を考える
【事前学習】地図帳等を用いてヨーロッパの地形や気候、アジアとの違いを調べる。 (2時間) 【事後学習】ヨーロッパの環境条件を整理し、その条件下で生じる問題を推測する。 (2時間) |
3 |
「食べてはいけない」を考えてみる:宗教と食の禁忌の捉え方
【事前学習】ユダヤ教やイスラーム教、ヒンドゥー教における食生活の規範を百科事典等で調べる。 (2時間) 【事後学習】食の禁忌が成立する諸条件で自分にかけていた視点が何だったかをまとめる。 (2時間) |
4 |
「食べてはいけない」を考えてみる:ウマを食べずブタを食べるヨーロッパ
【事前学習】第2回・第3回講義内容を復習し、馬肉食が禁止される理由について仮説を立ててみる。 (2時間) 【事後学習】講義内容をもとにヨーロッパ中世社会におけるウマの位置づけを文章に整理する。 (2時間) |
5 |
水車と鉄製農具が変えた中世の農と食
【事前学習】百科事典等でコムギ、オオムギ、ライムギ、エンバクについて調べる。 (2時間) 【事後学習】12~14世紀ヨーロッパの人口増大を文章で説明する。 (2時間) |
6 |
大交易時代と変わるヨーロッパの食
【事前学習】概説書等で「長い16世紀」というキーワードを調べてみる。 (2時間) 【事後学習】ヨーロッパの域外進出がもたらした食生活の変化を一つ挙げて小レポートを作成する。 (2時間) |
7 |
記録を残さぬ人の結婚と出産を知るには:歴史人口学の誕生
【事前学習】日本の国勢調査が始まった時期を調べる。 (0.5時間) 【事後学習】国勢調査開始以前の社会の人口を調べる方法を文章で説明する。 (2時間) |
8 |
農家に誰が住んでいるのかを知るには:発展サイクル分析の手法
【事前学習】概説書等で「対抗宗教改革」というキーワードを調べてみる。 (2時間) 【事後学習】講義内容をもとに配布資料を読み取り、農場相続や農村内の人の移動について気づいた点を挙げる。 (2.5時間) |
9 |
血のつながらない人とともに生きる: 奉公人制度
【事前学習】事前配布資料の読み取りで気づいたことから仮説を立ててみる。 (2.5時間) 【事後学習】講義内容をもとに仮説を修正する。 (2時間) |
10 |
血のつながらない人とともに生きる:性別役割分業
【事前学習】事前配布資料を読み、気づいたことや疑問をリストアップする。 (2時間) 【事後学習】講義内容からオーストリア農村の性別役割分業の概要を整理する。 (2時間) |
11 |
血のつながらない人とともに生きる:婚外子と里子
【事前学習】事前配布資料を読み、農村における婚外子の地位を推測する。 (2時間) 【事後学習】環境や農業の方法と相続スタイルや奉公人制度との間の関係を文章にまとめる。 (2.5時間) |
12 |
空気からパンを作る:食の工業化とそのインパクト
【事前学習】肥料の三大要素について百科事典等で調べる。 (1時間) 【事後学習】現代の食糧生産の仕組みにおける弱点を整理する。 (2時間) |
13 |
家畜の経済利用のマクロヒストリー: モノ化とモノカルチャー
【事前学習】統計等にあたり、各国の食肉消費量の動向を調べておく。 (2時間) 【事後学習】食肉コンプレックスの成立をまとめ、問題点を整理する。 (2時間) |
14 |
総合レポートによる到達度の確認
【事前学習】これまでの講義、特に第2、4、5、7~11回の授業内容を復習し、オーストリアを例として、高い結婚年齢や生涯独身率という特徴を環境や農業の条件から文章で説明できるよう準備する。 (6時間) 【事後学習】欠けていた論点について復習する。 (1時間) |
15 |
レポート解説および展望
【事前学習】現代の食糧生産の仕組みで重視されていることは何かを考える。 (1時間) 【事後学習】大量生産の仕組みについて得た知見をもとに、解決すべき問題を提示する。 (1時間) |
その他 | |
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教科書 | 使用しない |
参考書 | ヴェルナー・レーゼナー著、藤田幸一郎訳 『農民のヨーロッパ』 平凡社 1995年 マーヴィン・ハリス著、板橋作美訳 『食と文化の謎』 岩波現代文庫 2001年 M. ミッテラウアー著/若尾他訳 『歴史人類学の家族研究』 新曜社 1994年 ハリエット・リトヴォ著、三好みゆき訳 『階級としての動物―ヴィクトリア時代の英国人と動物たち』 国文社 2001年 |
成績評価の方法及び基準 | 授業内テスト:第14回の総合レポートにおいて、各回の授業内容をよく理解し、それを論理的に表現できているか、という観点から評価し(50%)、授業参画度:加えて各回の課題(小レポート)を授業内容の理解度と批判的考察の度合い(疑問を持ち、自ら調べ、考察を深めているか)によって評価する(50%) 注意:小レポート等の課題においては、参考書等(数は限られているが、CiNii Articleなどを検索すればオンラインで利用できる論文はいくつか見つかる)をよく調べていること、授業内容を的確に理解していること、日頃から食や農の問題とその歴史性に注意を払っていることを示すよう心掛けていただきたい。授業内課題への参加回数が実施回数の三分の二に満たない場合、第14回の総合レポートを提出しても成績評価対象外となる。 |
オフィスアワー | Blackboardにて対応する。 |