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人文地理学特別講義

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科目名 人文地理学特別講義
教員名 関根智子
単位数    2 課程 前期課程 開講区分 文理学部
学期 前期 履修区分 選択必修
授業概要 人文地理学の研究・調査の方法には様々なものがあるが、最も重要なものの一つがフィールドワークに基づいてデータと情報を集め、それを積み上げて帰納的に研究課題に取り組むものである。このような方法を、具体的な研究事例を通して講義する。さらに、GISを使用した人文地理学研究について説明する。
授業のねらい・到達目標 人文地理学研究の方法と内容を理解し、自らが人文地理学的研究を遂行することができる能力と姿勢を身につけることを目的とする。さらにフィールドワークに基づいてどのように研究課題を発見し、それをどのような方法を用いて研究・調査を進め、研究課題の解決に至るかという具体的な技術と能力を身につけ、実際に行うことができるようにする。この講義が受講者自身の研究の遂行に、どのように活用できるかを考える能力を養うことも目的とする。
授業の方法 担当者自身が進めてきた研究事例および人文地理学を研究するために重要と思われる研究事例（主に日本と北アメリカの農業と農村の研究事例）を用いて、講義形式で授業を進めるが、絶えず受講者との意見交換を行う。また、受講者の論文紹介とそれに関する討論を通して、人文地理学研究の方法への理解を深めさせる。本授業の事前・事後学習は、各2時間の学習を目安としている。
履修条件 学部段階で、人文地理学に関する基礎的な講義を受講していること。
授業計画
1 ガイダンス：授業のねらいと進め方について、農業・農村地理学の内容と方法、地理学の役割と魅力

【事前学習】シラバスを事前に確認すること。

【事後学習】第2回以降の授業に備え、授業で取り上げる研究事例に関する論文・参考書に目に通して、自分がその研究課題に取り組むという視点から、それを評価・検討すること。
2 農業的土地基盤(1)：日本における灌漑システムの諸類型

【事前学習】日本における灌漑システムについての論文・参考書を読み、説明できるようにしておくこと。

【事後学習】日本における灌漑システムの諸類型についてまとめておくこと。
3 農業的土地基盤(2)：北陸地方における農業水利の空間構造

【事前学習】北陸地方における農業水利の空間構造の論文・著書を読み、どのような方法を用いて研究・調査を進めているかをまとめておくこと。

【事後学習】北陸地方における農業水利の空間構造とその課題についてまとめておくこと。
4 農村における景観と就業構造：20世紀後半から21世紀初めまでの日本農村の変化

【事前学習】農村における景観と就業構造についての論文・著書を読み、説明できるようにしておくこと。

【事後学習】農村における景観と就業構造の問題点についてまとめておくこと。
5 就業構想からみた日本の農村空間：個別事例をいかに一般化するか

【事前学習】就業構想からみた日本の農村空間についての論文・著書を読み、説明できるようにしておくこと。

【事後学習】就業構想からみた日本の農村空間についての研究方法や明らかになった点、問題点をまとめておくこと。
6 農村の持続的発展(1)：持続的発展に果たすコミュニティの役割について

【事前学習】持続的発展とコミュニティについて調べ、説明できるようにしておくこと。

【事後学習】持続的発展に果たすコミュニティの役割について授業を振り返り、今後の研究の遂行について考え、まとめておくこと。
7 農村の持続的発展(2)：大都市近郊農村と遠隔地農村を事例として

【事前学習】大都市近郊農村と遠隔地農村の用語について調べ、説明できるようにしておくこと。

【事後学習】大都市近郊農村と遠隔地農村との違いをまとめておくこと。
8 農業・農村の担い手(1)：土地利用型農業地域の事例－北陸地方の大規模稲作経営を事例として－

【事前学習】参考書を読み、北陸地方の農業についてまとめておくこと。

【事後学習】フィールドワークの方法をまとめ、今後の自分の研究にどのように活用できるかを考えること。
9 農業・農村の担い手(2)：施設型農業地域の事例－千葉県九十九里平野の野菜の養液栽培を事例として－

【事前学習】参考書を読み、施設型農業地域についてまとめておくこと。

【事後学習】フィールドワークの方法をまとめ、今後の自分の研究にどのように活用できるかを考えること。
10 農村空間の商品化(1)：商品化する日本の農村空間の特徴

【事前学習】商品化の具体例を考えてくること。

【事後学習】商品化する日本の農村空間の特徴について、具体的な地域をあげてまとめておくこと。
11 農村空間の商品化(2)：農村空間の商品化からみたカナダ・ブリティシュコロンビア州

【事前学習】カナダ・ブリティシュコロンビア州について調べ、この特色をまとめておくこと。

【事後学習】農村空間の商品化について、第10回の授業で扱った日本とカナダ・ブリティシュコロンビア州との違いをまとめておくこと。
12 農業・農村地理学の研究・調査方法(1)：農村調査をどのように進めるか、GISを使用した調査の方法について

【事前学習】GISを使用した農村調査についての文献を収集してくること。

【事後学習】GISを使用した農村調査により、調査方法がどのように変わったかについてまとめておくこと。
13 農業・農村地理学の研究・調査方法(2)：農業・農村地理学におけるフィールドワークを重視した研究・調査の方法、GISを使用した研究の方法

【事前学習】GISアプリで作成する調査項目を考えてくること。

【事後学習】GISアプリの調査票を作成しておくこと。
14 論文発表と討論(1)：地理学の主要雑誌に掲載の論文を受講者に発表してもらい、それに基づいて討論する。

【事前学習】論文をまとめて発表できるようにしておくこと。

【事後学習】討論の内容についてまとめておくこと。
15 論文発表と討論(2)・授業内容の整理：論文発表と討論をする。さらに、これまでの授業内容を整理し、学生の理解度や到達度を確認する。

【事前学習】第2回から第14回の内容を復習すること。第14回の事後学習でまとめた内容を発表できるようにしておくこと。

【事後学習】学修した内容を整理する。
その他
教科書 教科書は使用せず、主として配布資料に基づいて授業を進めます。
参考書 Harm de Bliji, Why Geogrpahy Matters, Oxford University Press, 2005, 1 edition
山本正三・北林吉弘・田林　明編著 『日本の農村空間－変貌する日本農村の地域構造－』 古今書院 1987年 第1版
田林　明 『農業水利の空間構造』 大明堂 1990年 第1版
田林　明 『扇状地農村の変容と地域構造－富山県黒部川扇状地に関する地理学的研究－』 古今書院 1990年 第1版
田林　明・菊地俊夫 『持続的農村システムの地域的条件』 農林統計協会 2000年 第1版
田林　明 『北陸地方における農業の構造変容』 農林統計協会 2003年 第1版
田林　明・菊地俊夫・松井圭介編著 『日本農業の維持システム』 農林統計出版 2009年 第1版
山本正三・田林　明・菊地俊夫編著 『小農複合経営の地域的展開』 二宮書店 2012年 第1版
田林　明編著 『商品化する日本の農村空間』 農林統計出版 2013年 第1版
田林　明編著 『地域振興としての農村空間の商品化』 農林統計出版 2015年 第1版
購入する必要はありませんが、できたら図書館などで目を通してください。
成績評価の方法及び基準 レポート(40%)、授業参画度(30%)、論文発表の内容(30%)
レポートは、授業計画に記載してある事前・事後学習でまとめたものなどで評価する。
授業参画度は、授業計画の第14回、第15回の発表と討論や、授業中のディスカッションなどで評価する。
オフィスアワー 金曜日：12時20分～12時50分。8号館A－501研究室。
これ以外でも時間を調整して受け付ける。詳細は、第1回の授業で説明する。

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