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環境化学2

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科目名 環境化学2
教員名 海老原充
単位数    2 学年    3 開講区分 文理学部
学期 前期 履修区分 選択必修
授業概要 太陽系という広い領域での環境について、元素、同位体という化学の基本概念をもとに授業を行う。今から138億年前の出来事である宇宙の創生 (Big Bangイベント) から現在に至るまで、元素、同位体がどのような環境で作られ、どう変転してきたかについて講義する。
授業のねらい・到達目標 本講義では身近な「環境」という概念から離れて、宇宙空間における太陽系、太陽系における地球という広い視野から環境を考えられるようになることを授業のねらいとする。化学の基本概念である元素や同位体に注目し、それらの組成が地球や太陽系のおかれている環境とどのように関連するか理解できるようになることを目標とする。

この科目は文理学部(学士(理学))のディプロマポリシーDP6及びカリキュラムポリシーCP9に対応しています。
授業の方法 教科書をもとに授業をすすめる。授業内容を理解するために、事前学習として随時、レポートの提出を課す。また、事後学習として、教科書の問題の提出を求めるほか、参考書を用いて事後学習を行うための課題を出す。これらの提出物は成績評価の対象とする。また、授業内試験(中間試験)を行う。

本授業の事前・事後学習は,各2時間の学習を目安とします。
履修条件 授業内容を十分理解できるようにするために、事前学習、事後学習を行うことを履修の条件とする。「放射化学」の知識があるか,興味があることが望ましい。
授業計画
1 本講義の内容の概略を説明する。特に、「太陽系の環境」をどうとらえるかについて解説する。教科書第1章の前半を学習する。
[事前学習] 講前にシラバスをよく確認する。
[事後学習] 日本化学会のホームページから最新の原子量表をダウンロードし、原子量表に見られる特徴を考える。
2 教科書第1章の後半を学習する。3回以降の授業を理解する上で重要な概念である原子核の安定性や壊変について学ぶ。化学の視点から、太陽系における元素や原子核の数や存在度に関する一般的な特徴を解説する。
[事前学習] 教科書1.3を充分理解できるようにする。
[事後学習] 教科書1章の演習を行う。
3 教科書第2章の前半 (2.1) を学習する。身の回りの環境で起こっている反応が化学反応あるのに対して、宇宙環境での主要な反応は核反応であることを知り、その違いを考える。
[事前学習] 化学の基本の基本法則である質量保存則、およびエネルギー保存則は、質量とエネルギーの等価性という考えと整合するかどうか、考察する。
[事後学習] 化学反応と核反応の違いについて整理する。
4 教科書第2章の続き (2.2, 2.3) を学習する。我々の身の回りに存在する元素にもそのルーツがある。元素がいつ、どこで、どのような環境で生成するかを考える。特に、宇宙創生のBig Bangで何が起こるかを学ぶ。
[事前学習] 宇宙の変遷について調べる。
[事後学習] 太陽で現在どのような反応が起こっていて、どの位のエネルギーが生成しているか理解する。
5 教科書第2章の後半 (2.4, 2.5) を学習する。第4回に引き続き、元素の生成過程のうち、星の進化に伴う過程について学ぶ。
[事前学習] N-Z平面(第1回の授業で説明する) 上で、主要放射壊変様式 (α、β、γ壊変) の壊変前と壊変後の核種の相対位置関係を考える。
[事後学習] 教科書第2章の演習問題を行う。
6 教科書第3章の前半 (3.1, 3.2) を学習する。第4回、第5回の授業で学んだ元素が、宇宙において、あるいは太陽系においてどのような存在度(組成)をとるのか。そうした「元素の存在度」はどのようにして求められるのかについて解説する。
[事前学習] 太陽系の元素組成はなぜ重要性なのかを考える。
[事後学習] 太陽系の元素組成の情報源を整理し、なぜ情報源になり得るかを説明できるようにする。
7 教科書第3章の後半 (3.3, 3.4, 3.5) を学習する。第6回で学んだ太陽系の元素の存在度のもつ特徴について学ぶ。
[事前学習] スース・プロット (Suess plot) とは何か、調べてみる。興味があれば、スースのnuclear systematics (原子核の系統性) についても調べてみる。
[事後学習] 教科書第3章の演習問題を行う。
8 前半、授業内テスト(中間試験)を行う。教科書第4章の前半 (4.1, 4.2前半) を学習する。太陽系初期に、その後の惑星物質を作る原料となる固体物質が生成した。この太陽系形成初期環境における元素の挙動は気相から固相への化学反応で記述される。太陽系の元素組成を持つ気体から固体が出来る過程(凝縮過程)について学ぶ。
[事前学習] 教科書4.2を予習し、その内容を予め理解する。
[事後学習] 凝縮モデルのアウトラインを理解し、2段階の平衡過程 (気相-気相、気相-固相) を充分理解する。
9 教科書第4章の後半 (4.2の後半、4.3, 4.4) を学習する。第8回に引き続き、太陽系初期の元素の凝縮過程について学ぶ。それに関連して、いろいろな観点から元素の分類について考える。
[事前学習] 元素の分類にはいろいろな観点からの分類法があることを知る。特に地球化学的分類は我々の身近にある元素がどのように偏在しているかという観点からの分類であることに注目して、具体的な分類名(グループ名)とそこに帰属される代表的な元素を書き出してみる。
[事後学習] 教科書第4章の演習問題を行う。
10 教科書第6章の前半(6.1, 6.2, 6.3) を学習する。太陽系の同位体組成の特徴について学ぶ。特に、酸素同位体組成についてやや詳しく説明する。
[事前学習] 教科書第5章の5.3.4の記述を読み、内容をよく理解する。
[事後学習] プレソーラーグレイン(pre-solar grain; 前太陽系粒子) の特徴を整理するとともに、その存在の意義について理解する。
11 教科書第6章の後半 (6.4) を学習する。地球物質の同位体組成の変動要因と特徴について学ぶ。特に、元素の同位体組成と原子量との関係を学ぶ。
[事前学習] 同位体比の変動を生じる原因について考える。
[事後学習] 教科書第6章の演習問題を行う。
12 教科書第7章の7.3を学習し、過去の年代を求める方法(年代測定法)の原理を学ぶ。
[事前学習] 年代測定法の原理を予習する。
[事後学習] 年代測定法としてのK-Ar法とRb-Sr法の特徴を整理し、どこが大きく異なるかを理解する。
13 教科書第7章の年代測定法の内容に関連して、人類の活動の歴史を考える上で重要な年代法である炭素14年代法を解説する。この年代法と、過去1-2世紀の環境問題(地球上の環境問題)との関連性について考える。ある炭素14年代法を解説する。この年代法と、過去1-2世紀の環境問題(地球上の環境問題)との関連性について考える。
[事前学習] 考古学分野での炭素14年代法の重要性を調べる。
[事後学習] 教科書第7章の演習問題のうち、問題1, 2を行う。
14 試験と解説。理解度の確認をおこない、全体の復習をおこなう。
[事前学習] 第1回〜第13回の内容を復習する。特に第8回以降を重点的に復習する。
[事後学習] 学習した内容の整理をする。
15 まとめとして、講義の内容を踏まえ、これからの宇宙環境、太陽系環境について考える。
[事前学習] この授業をとって、自分のなかで環境という概念がどう変化したか、あるいはしないかを考える。
[事後学習] 今一度、化学科の学生として、環境という言葉の持つ意味を考えてみる。
その他
教科書 海老原充 『太陽系の化学 (化学新シリーズ)』 裳華房 2017年 第POD版
教科書を持っていることを前提に授業を行う。授業時には必ず持参すること。
参考書 海老原充 『現代放射化学』 化学同人 2005年 第1版
必要に応じて、予習、復習に利用して欲しい。
成績評価の方法及び基準 試験(50%)、レポート(20%)、授業内テスト(30%)
成績は授業内テスト(中間試験と期末試験)、およびレポートの提出状況と内容をもとに評価する。レポート提出物に複製されたものが見いだされた場合、当事者(複製した者、された者)のレポート点を0点とする。
オフィスアワー 第1回目の講義で指示する。原則、授業終了時。

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