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科目名 | 物質科学のフロンティア1 | ||||
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教員名 | 川上隆輝 | ||||
単位数 | 2 | 学年 | 開講区分 | 文理学部 | |
学期 | 前期 | 履修区分 | 選択 |
授業概要 | 物質の性質は電子状態で決まる。電子状態を考えるにはいろいろの方法がある。本授業では,原子や分子の結合に注目し,結合について分類し,結合の性質の違いがあたえる物質の性質の違いが電子状態の違いにつながることを解説しながら,物質の性質の利き所を理解する。物質科学を考えるうえで,分子や原子の中を動き回る電子の振る舞いをイメージできるようにする。 |
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授業のねらい・到達目標 | 高等学校では学ぶ機会の少ないミクロな世界(原子や分子)の物理を理解し,自然科学の振る舞いのみならず,便利なスマートホンなどの高性能な機能に応用されていることを理解する。この授業では,原子や分子の結合に注目して,物質の性質を理解し,学生自ら自然科学を考察することができるようになることを目標にする。 この科目は文理学部(学士(理学))のディプロマポリシーDP3及びカリキュラムポリシーCP6に対応しています。 |
授業の方法 | 板書を中心に授業を進める。必要に応じてプリントを配布する。ときどき,パワーポイントを使った授業も行う。 本授業の事前・事後学習は、各2時間の学習を目安とします。 |
履修条件 | 物質科学を物理を用いて理解したい学生向きの授業を展開する。授業をスムーズに学習するために、高校の物理を理解していることが望ましい。はじめの数回の授業は中学校の理科程度の知識で理解できるが,中盤からは,高校の物理や化学の知識を必要とする。できる限り,生活に密着した話や,身近な自然科学の現象をたとえに挙げて,かみくだいて,わかりやすく解説するつもりではあるが,高校生の時,理科の授業を十分に理解していない学生は,本授業でしっかり勉強しないとついていけなくなる可能性がある。 |
授業計画 | |
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1 |
ガイダンス(授業テーマや到達目標および授業の進め方について説明する。残りの時間で,最近の研究の話題を解説し,授業の雰囲気を知ってもらい,受講するかどうかの判断材料にしてもらう) [事前学習]元素の周期表を手に入れて,鉄,コバルト,ニッケル,銅がどこに記載されているか調べる。 [事後学習]今後,授業で周期表を使う。インターネット上には様々な特徴のある周期表があるので,自分の好みに合ったものを探す。または,高等学校で使用した化学の教科書には周期表が載っているため,これを利用してもよい。 |
2 |
世界を作る物質(気体,液体,固体について学ぶ) [事前学習]温度と圧力の状態図(相図)は物質の性質を知るうえで重要である。水の状態図を調べ,大気圧近傍で圧力が上がると水が氷る温度は上がるか,下がるか,状態図の見て考え,確認すること。 [事後学習]水(液体)と氷(固体)は同じ分子(H2O)でできているが,なぜ、固体の氷が液体の水に浮かぶのか,結晶構造や結合という用語を用いて説明できるようにする。 |
3 |
結合の種類(イオン結合について学ぶ) [事前学習]物質の結合には性質によって分類されているが,どのようなものがあるか各自調べる。 [事前後習]イオン結合をするものを数個各自調べ,周期表のどこにその元素があるか調べ,何か規則性がないか検討する。 |
4 |
量子力学(ハイゼンベルクの不確定性について学ぶ) [事前学習]不確定性原理というミクロの世界では重要な言葉について調べる。 [事後学習]電子は原子核のまわりをある広がりをもって安定に存在する理由を自分なりに理解し,説明できるようにする。 |
5 |
原子の電子状態(ミクロな世界の電子の振る舞いについて学ぶ) [事前学習]シュレディンガー方程式という言葉を調べ,ニュートンの運動方程式との違いがどこにあるか考える。 [事後学習]s軌道,p軌道,d軌道がどのような軌道の形をしているか描けるようにする。 |
6 |
原子をつなぐ電子の手(共有結合について学ぶ) [事前学習]共有結合でできている物質を探し、周期表をながめ,周期表のどこに元素があるか調べ、イオン結合でできた物質と比較する。 [事後学習]水素原子がふたつペアになって水素分子を作って安定になる理由を理解し,説明できるようにする。 |
7 |
水に沈む氷(水素結合の性質を理解し,水に沈む氷が実在するかどうか学ぶ) [事前学習]世の中には室温で凍る氷があるが,第2回で説明した水の状態図では圧力が低すぎて,その状態がないため,さらに高い圧力まで描かれた水の状態図を探す。 [事後学習]共有結合と水素結合の違いを理解し,説明できるようにする。 |
8 |
鉄くぎと永久磁石(身近な鉄くぎが磁石になる事実は,量子力学がなければ理解できないことを学ぶ) [事前学習]強磁性体という言葉を調べる。 [事後学習]鉄くぎと永久磁石の違いについて理解し,説明できるようにする。 |
9 |
酸化物の磁性(磁性の種類や性質について学ぶ) [事前学習]2価の鉄(Fe2+)は,3d軌道に電子がいくつ入るか調べる。 [事後学習]磁石として働くためには,原子内の電子配置がどのような状態にならないと働かないか,理解し説明できるようにする。 |
10 |
磁性の研究(磁性体の研究方法について学ぶ) [事前学習]放射光施設とは何か調べる。 [事後学習]最先端の研究の話を聞いて,研究に興味が持てるか,また,どんな研究を行いたいか考える。 |
11 |
金属結合(金属結合の仕方について学ぶ) [事前学習]ナトリウム(Na)原子番号11を周期表で確かめ,電子配置を調べる。 [事後学習]金属結合の特徴,共有結合とイオン結合との違いについて説明できるようにする。 |
12 |
金属と半導体(金属と半導体の性質の違いについて学ぶ) [事前学習]半導体は,電気を流すのか流さないのか調べる。 [事後学習]バンドギャップとは何か理解し,説明できるようにする。 |
13 |
電気抵抗の温度依存性(電気抵抗はどうして温度を変化させると抵抗値が変化するのかを学ぶ) [事前学習]金属は温度を冷やすと抵抗は大きくなるか,それとも小さくなるか,説明できるように考える。 [事後学習]金属と半導体の電気抵抗の温度依存性の違いを理解し,説明できるようにする。 |
14 |
ナノテクノロジー(現在の世の中で欠かせない技術のひとつであるナノテクノロジーについて学ぶ) [事前学習]ナノテクノロジーとは,どのような大きさの物質を扱うことをいうのか,調べる。 [事後学習]ナノテクノロジーを使って,スマートホンなどに使われている技術を調べる。 |
15 |
磁気抵抗効果(磁気抵抗効果を利用したメモリー技術について学ぶ) [事前学習]磁気抵抗とは何か調べる。 [事前学習]最先端のメモリー技術について授業で学んだこと以外の技術を調べ、まとめる。 |
その他 | |
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教科書 | 使用しない |
参考書 | 使用しない |
成績評価の方法及び基準 | 授業内テスト(50%)、授業参画度(50%) 授業内テスト:授業内テストは直筆ノートと配布プリントのみ持ち込みを認める。ノートをよくまとめておくことで,テスト対策となる。 授業参画度(授業内容の質問等)と試験の結果を総合して成績を評価する。ただし出席回数が十分でない場合は成績評価の対象としない。 |
オフィスアワー | 授業終了時 |