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上代文学講義1

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科目名 上代文学講義1
教員名 梶川信行
単位数    2 学年 2~4 開講区分 文理学部
(他学部生相互履修可)
学期 前期 履修区分 選択必修
授業概要 古代の人々にとっての神々は、現代人と比べ、もっと身近な存在だったと考えられる。たとえば、政治はマツリゴトと言われるが、それはまさに神を祀ることだった。律令制では、現代の内閣に相当する太政官に優先するのが神祇官であって、地方の行政も「祀社」が第一の職掌だった。そうした社会を基盤として生まれた『万葉集』の中にも、さまざまな形で神々の姿が窺える。
本講義では、神々に注目することを通して、『万葉集』を読み解いてみたいと思う。それは、古代の歌とはどのようなものかという、その本質に迫る方法の一つにほかならない。
授業のねらい・到達目標 神とはどのようなものかということは、宗教により、文化により異なる。現代の日本人は、神というものをかなり自由に考えているように思われる。とりわけ多くの若者は、日本の古代の神とはかなり違ったイメージを持っているように見える。
この講義では、日本古来の「八百万の神」をきちんと理解した上で、そうした神々に支えられて生きた来た人たちの中から生まれた万葉歌を、古代の人たちの感覚で読み直してみたいと思う。古代の神というものをきちんと理解できる。神々を背景とした万葉歌を古代的に読み解くことができる。この講義では、それを目標としたい。
この科目は文理学部(学士(文学))のディプロマポリシーDP6及びカリキュラムポリシーCP9に対応しています。
授業の方法 プロジェクターを使って、スクリーンにさまざまな画像(写真・地図・系図・各事項のまとめ など)を映し出しつつ講義を進める。時折、受講生全員に繰り返し問題を投げかけるので、ぜひ自分なりに考えてほしいと思う。積極的に取り組めば取り組むほど、深い理解が得られることになる。
本授業の事前・事後学習は,各2時間の学習を目安とします。
授業計画
1 ガイダンス 日本の神とは 八百万の神を考える
【事前学習】 『万葉集』に関する基本的な知識を蓄積しておくこと。
【事後学習】 日本の神の変遷について、ノートを整理しておく。
2 古代の伊勢神宮 変貌する神の姿を見据える
【事前学習】 伊勢神宮のホームページを閲覧し、必要な情報を集めておくこと。
【事後学習】 伊勢神宮の歴史的変遷について、ノートに整理しておく。
3 伊勢神宮と壬申の乱 王権にとっての神の機能を知る
【事前学習】 壬申の乱に関する情報を集めておくこと。
【事後学習】 壬申の乱に関する伝承の性格について、ノートに整理しておく。
4 斎宮と大来皇女 伊勢神宮の祭祀はどのように支えられたか
【事前学習】 三重県立斎宮歴史博物館のホームページを閲覧し、必要な情報を集めておくこと。
【事後学習】 大来皇女に関わる万葉歌について、ノートに整理しておく。
5 天つ神と国つ神 中央の神と地方の土地神の相克を知る
【事前学習】 日本の神について、前回までに学んだことを整理しておくこと。
【事後学習】 日本の神の多様性について、ノートに整理しておく。
6 近江遷都と大神神社 大和国を支配した神の姿を知る
【事前学習】 奈良県桜井市の大神神社のホームページを閲覧しておくこと。
【事後学習】 大神神社の神と古代の王権の関係について理解を深めておく。
7 阿騎野と阿紀神社 伊勢神宮と大和国との関係を知る
【事前学習】 奈良県宇陀市の阿紀神社に関する情報を見ておくこと。
【事後学習】 阿騎野と伊勢神宮との関係について理解を深めておく。
8 難波宮と住吉大社 古代の大阪を支えた住吉の神を知る
【事前学習】 大阪市住吉区の住吉大社のホームページを閲覧しておくこと。
【事後学習】 住吉大社の神がどのような役割を果たしているか、ノートに整理しておく。
9 遣唐使と開口神社 遣唐使を支えた神を理解する
【事前学習】 大阪府堺市の開口神社のホームページを閲覧しておくこと。
【事後学習】 開口神社と住吉大社との関係を確認しておく。
10 遣新羅使と広田神社 遣新羅使を支えた神を理解する
【事前学習】 兵庫県西宮市の広田神社のホームページを閲覧しておくこと。
【事後学習】 遣新羅使と広田神社との関係について確認しておく。
11 播磨国と住吉の神 王権の領有する土地を守る神を知る
【事前学習】 兵庫県明石市魚住町の住吉神社のホームページを閲覧しておくこと。
【事後学習】 古代の王権における明石海峡の位置づけを確認しておく。
12 紀伊国と日前宮・玉津島神社 王権の領有する土地を守る神を知る
【事前学習】 和歌山市の日前宮・玉津島神社のホームページを閲覧しておくこと。
【事後学習】 古代の王権における紀淡海峡の位置づけを確認しておく。
13 熟田津と伊佐爾波神社 地方支配を確実にする神の存在を知る
【事前学習】 愛媛県松山市の伊佐爾波神社のホームページを閲覧しておくこと。
【事後学習】 古代の王権における瀬戸内航路の位置づけを確認しておく。
14 大宰府と香椎宮 国防の神の役割を知る
【事前学習】 福岡市東区の香椎宮のホームページを閲覧しておくこと。
【事後学習】 古代の王権における福岡の位置づけを確認しておく。
15 まとめ 『万葉集』と神々 レポート提出
【事前学習】 学期末のレポートを用意する。
【事後学習】 古代の王権とそれを守護する神々と『万葉集』がどのような関係にあるか、総合的に理解する。
その他
教科書 森淳司 『訳文万葉集』 笠間書院 2007年
二十巻、約四千五百首のすべてを掲載しているものならば、指定したテキスト以外でもよい。
参考書 教室のスクリーンに映し出した教材の中で、とりわけ重要なものはBlackboardの「教材」欄に載せておくので、事後学習に利用すること。
成績評価の方法及び基準 レポート(70%)、授業内での課題等(30%)
オフィスアワー 月・木・金の授業と会議のない時間。個人研究室にて。

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