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西洋史特講5

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平成28年度以降入学者 西洋史特講5
平成27年度以前入学者 西洋史特講5
教員名 高草木 邦人
単位数    2 学年 2~4 開講区分 文理学部
科目群 史学科
学期 前期 履修区分 選択必修
授業テーマ 20世紀転換期ルーマニアにおける教師の生活と政治
授業のねらい・到達目標 20世紀転換期ルーマニアでは、初等教育教師は単なる教育者としてだけではなく、農村の状況や農民の境遇を熟知し、これを改善する社会改良運動の担い手でした。彼らは赴任先の学校で教鞭をとるかたわら、村の唯一の「知識人」として農村住民の相談にのったり、相互扶助組合の設立・指導により農村住民を経済的に支援したり、図書館の設立や成人学校の運営などにより農村の知的レベルの向上に努めたりしていました。そして、農民との交流の中で、社会問題を間近で目撃していた教師たちは次第に既存の政治制度に不満を抱き、新たな政治勢力の結成を述べる者も現れていきました。このように、当時の小学校教師たちは、社会の底辺にいる農民たちと社会の上層にいる政治家・知識人とをつなげる存在であり、そのような意味で、彼らの主張や運動は既存の社会制度・政治制度を大きく変更する可能性を秘めていました。しかし、結果的には、この試みは失敗してしまいます。本講義では、20世紀転換期ルーマニアの教師たちを多面的(政策面、生活環境、組合運動、政治運動)に分析することで、彼らの運動とその挫折について考えていきます。国を指導するような政治家や知識人たちの言葉だけでなく、地域住民のリーダーになり得る者の思想と行動に目を向けることで、受講生は「政治」というもの再考する機会を得ることができます。また、講義で取り上げる人物たちの言説と社会状況との関連付けを学修し、受講生は史料に書かれた言葉の分析だけでなく、その史料の意義づけについても学び、自身の研究テーマに応用する能力を身に付けます。なお、到達目標については、成績評価のコメント欄を参照してください。
授業の方法 当日に配布するプリントや映像資料などを利用しながら、基本的に講義形式をとりますが、第5回・第9回・第13回に授業内試験を課する予定です。また、講義中には、事前学習をふまえて、受講生に対して質問も行います。なお、受講者の人数とその理解度に応じて、下記の授業計画を若干変更することがあります。
履修条件 特になし
事前学修・事後学修,授業計画コメント 事前学修としては、次の回に使用する史料を事前に配布するので、そこに書かれている教師・政治家・農民の主張や意見を熟読し、その言説から読み取れることを整理しておいてください。
事後学修としては、授業内で歴史的背景や当時の政治・社会・経済の状況をふまえて、言説に意味を説明しますので、言説だけの理解と状況をふまえた理解との差について考えてみてください。また、下記に指定している事前学習用の教科書、および参考書を読み、知識を蓄えておいてください。なお、受講者の人数とその理解度に応じて、下記の授業計画を若干変更することがあります。
授業計画
1 ◆ガイダンス
講義の進め方と評価の基準を説明します。また、第2回以降の予備知識として、19世紀末から20世紀初頭のルーマニアの政治・社会・経済の概要について学びます。
【事前学修】指定したテキストを通読しておくこと
2 ◆C.ドブレスク=アルジェシュと農民党
教師ドブレスク=アルジェシュの社会運動と農民党の結党について学びます。
【事前学修】配布資料を講読し、問題点を整理しておくこと
3 ◆スピル・ハレトと初等教育教師
教育大臣ハレトが指導・展開していた学校外運動について学びます。
【事前学修】配布資料を講読し、問題点を整理しておくこと
4 ◆1905年の農民反乱と初等教育教師教師
農民反乱時における教師の役割と行動について学びます。
【事前学修】配布資料を講読し、問題点を整理しておくこと
5 ◆学習内容の整理
第2回~第4回までの要点を確認します。
【事前学修】指定したテキストと配布資料を復習しておくこと
6 ◆初等教育教師の労働と生活
農村社会における知的センターとしての教師について学びます。
【事前学修】配布資料を講読し、問題点を整理しておくこと
7 ◆全国教師協会の待遇改善運動(1)
初等教育教師の利益団体である全国教師協会が展開した給与増額運動について学びます。
【事前学修】配布資料を講読し、問題点を整理しておくこと
8 ◆全国教師協会の待遇改善運動(2)
初等教育教師の利益団体である全国教師協会が展開した被選挙権獲得運動について学びます。
【事前学修】配布資料を講読し、問題点を整理しておくこと
9 ◆学習内容の整理
第6回~第8回までの要点を確認します。
【事前学修】指定したテキストと配布資料を復習しておくこと
10 ◆20世紀初頭ルーマニアの政治状況
20世紀初頭のルーマニアにおける議会・政党・選挙の概要について学びます
【事前学修】配布資料を講読し、問題点を整理しておくこと
11 ◆教師と政治
「教師はどのように政治参加すべきか」をめぐる議論について学びます。
【事前学修】配布資料を講読し、問題点を整理しておくこと
12 ◆ヨン・ミハラケの政治理論
教師ミハラケが主張した「農民の利益」と「教師の利益」について学びます。
【事前学修】配布資料を講読し、問題点を整理しておくこと
13 ◆学習内容の整理
第10回~第12回までの要点を確認します。
【事前学修】指定したテキストと配布資料を復習しておくこと
14 ◆史料・文献の調査と講読
関連史料・文献の調査と講読を各自に行ってもらいます。
【事前学修】指定したテキストと配布資料を復習しておくこと
15 ◆本講義のまとめ
本講義の総括と補足を行います。
【事前学修】指定したテキストと配布資料を復習しておくこと
その他
教科書 ジョルジュ・カステラン著(萩原直 訳) 『ルーマニア史 (文庫クセジュ)』 白水社 1993年
上記の教科書は事前学習用の教科書です。教科書に書かれていることを前提に講義を進めるので、事前に読んでおいてください。講義では、各回に配布する資料をもとに授業をおこないます。
参考書 伊東孝之・直野敦・萩原直・南塚信吾・柴宜弘 『東欧を知る事典』 平凡社 2001年 第新訂増補版
ジョルジュ・カステラン著(萩原直 訳) 『バルカン世界―火薬庫か平和地帯か (叢書東欧)』 彩流社 2000年
成績評価の方法及び基準 授業内テスト(75%)、授業参画度(25%)
授業内テストは、第5回・第9回・第13回に行います。
以下の3点に着目し、その到達度によって成績を評価します。
(1)各回の授業のポイントを正確に理解しているか。
(2)「小学校教師」というキーワドを用いて、ルーマニアの近現代史を述べることができるか。
(3)史料に記載されている言説を当時の社会状況に関連付けることができるか。
授業参画度は、授業態度、講師からの質問に対する回答、また授業に関連する事柄の予習・復習の度合いなどをもとに評価します。
オフィスアワー 授業終了後に受け付けます。

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