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日本史研究実習2

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平成27年度以前入学者 日本史研究実習2
教員名 江草 宣友
単位数    1 学年 3・4 開講区分 文理学部
科目群 史学科
学期 後期 履修区分 選択必修
授業テーマ 日本古代史の史料を読む2:『日本書紀』を読む
授業のねらい・到達目標 ◇授業のねらい
 本実習では、日本古代史料の読解力の向上を目的として、『日本書紀』の版本(国会図書館蔵、刊年不明)を利用して授業を進めていく。
 周知のように、『日本書紀』は8世紀前半の古代日本律令国家の手によって編纂されたものであり、記述内容については厳しい史料批判が必要となる(この点は『日本書紀』に限ったことではないが)。その一方で7世紀末までの日本列島の状況について、国家的な視点によって取捨選択はされているものの、総合的な情報を伝えてくれる貴重な資料でもある。
 本年度後期は、『日本書紀』推古天皇元年(593)以降の条文を読み進める。推古天皇の時代と言えば、蘇我氏の専横や厩戸皇子の政治改革、仏教の本格的な導入などが想起されるが、それはこの時代の一つの側面にすぎない。この時代の最大の特徴は、大宝律令の制定・施行に結実する、日本列島における統一的な中央集権体制の確立に向けて歩み始めたという点にある。
 ただし、それは列島内での政治的な成熟によってもたらされたものではなく(成熟の度合いがゼロだったというわけではないが)、列島を取り巻く周辺諸国・諸地域の影響を多大に受けてなされたものであることに注意しなければならない。それを惹起したのは、隋による南北朝の統一である。中国大陸における統一王朝の出現は周辺諸国・諸地域に、直接・間接に影響を与えるものであった。6世紀末以降の日本列島における様々な政治改革や政変も、この余波を受けたものである。
 こうした視点からすれば、この時代の日本列島は中国大陸や朝鮮(韓)半島との関わりを持ちながら、変容していったということができよう。日本列島は海に囲まれており、それは時に周辺諸国・諸地域を分断する自然障壁となるが、逆にあらゆる世界ともつながる広大な交通路でもある。それが政治的・経済的・文化的に、複雑に交錯しながら展開していき、列島社会の成長を急速に促す起点となった時代、それがこの推古天皇の時代である。
 このような時代の中で人々がどのように生きていたのか、日本の史料だけではなく、海外の史料(「二十五史」や『三国史記』など)や考古学の発掘調査の成果等を取り入れながら概観し、これらの検討を通じて7世紀の列島社会の総体的理解を深めていく。

◇到達目標
【知識・理解】
・古代日本の史料、中国王朝や朝鮮(韓)半島の史料を正確に読み、解釈することができる。
・日本古代史料の特質を説明できる。
【関心・意欲】
・古代の東アジア・東部ユーラシアの史料に関心をもつ。
・発掘調査のニュースや記事などに関心をもつ。
・歴史に関する研究会やシンポジウムなどに参加する。
【技能・表現】
・日本古代史料の調査方法を身につける(読解のための「道具」を使いこなす)。
・史料を通して歴史を見る態度を身につける。
授業の方法 ◇授業の方法
最初に、歴史資料の概要および漢文史料の読解方法について講義を行い、そののち受講生の発表を行う。
〔受講生発表時の授業の流れ〕
①史料の輪読
『日本書紀』刊年不明版本を読み下していく。まず、条文を指示するので、指名された受講者は該当部分をその場で読み下していく。指名されなかった受講者はテキストに句読点、返り点を付す作業を行う。
②該当条文の解説
担当者が語句説明(人名・地名・歴史用語など)・現代語訳案などを提示する。なお、語句説明では必要に応じて表や図版を使うこと。
③質疑応答・討論
①②に関する質疑応答を行う。また、解説担当者や受講生から出された疑問点に関して討論を行い、該当条文の理解を深めていく。
履修条件 ・句読点(「、」「。」)・返り点(レ点や一・二点など)が付されていない状態の漢文(白文)の読み下しができること。
・『大漢和辞典』『日本国語大辞典』『国史大辞典』など各種辞典類の基本的な使い方を理解していること。
事前学修・事後学修,授業計画コメント ・各回の該当条文を必ず事前に読み、読みや意味が不明な語句などは辞書等で確認し、史料の輪読、質疑応答・討議に加わることができるようにしておくこと。
・発表の1週間前に資料のチェックを行うため、発表する受講生はそれまでに資料を提出するようにしておくこと。
・授業中に基本的な読みや意味の確認等ができるように、漢和辞典・歴史辞典を持参すること(電子辞書等でも構わない)。
授業計画
1 ガイダンス
2 日本古代史の史料を読む(講義)
[準備]ガイダンス時に配布する資料を読み、内容を確認しておくこと。
3 歴史資料と歴史学(講義)
[準備]ガイダンス時に配布する資料を読み、内容を確認しておくこと。
4 史料の輪読と内容把握(1) 推古天皇元年(593)正月丙辰(15日)条~是歳条
[準備]テキストおよび参考書で該当条文を読み、内容を確認しておくこと。
5 史料の輪読と内容把握(2) 推古天皇2年(594)2月丙寅朔条~推古天皇3年(595)7月条
[準備]テキストおよび参考書で該当条文を読み、内容を確認しておくこと。
6 史料の輪読と内容把握(3) 推古天皇4年(596)11月条~推古天皇6年(598)10月丁未(10日)条
[準備]テキストおよび参考書で該当条文を読み、内容を確認しておくこと。
7 史料の輪読と内容把握(4) 推古天皇7年(599)4月辛酉(27日)条~推古天皇8年(600)是歳条
[準備]テキストおよび参考書で該当条文を読み、内容を確認しておくこと。
8 史料の輪読と内容把握(5) 推古天皇9年(601)2月条~推古天皇10年(602)6月己酉(3日)条
[準備]テキストおよび参考書で該当条文を読み、内容を確認しておくこと。
9 史料の輪読と内容把握(6) 推古天皇10年(602)10月条~推古天皇11年(603)7月丙午(6日)条
[準備]テキストおよび参考書で該当条文を読み、内容を確認しておくこと。
10 史料の輪読と内容把握(7) 推古天皇11年(603)10月壬申(4日)条~推古天皇12年(604)正月戊戌朔条
[準備]テキストおよび参考書で該当条文を読み、内容を確認しておくこと。
11 史料の輪読と内容把握(8) 推古天皇12年(604)4月戊辰(3日)条
[準備]テキストおよび参考書で該当条文を読み、内容を確認しておくこと。
12 史料の輪読と内容把握(9) 推古天皇12年(604)9月~推古天皇13年(605)10月条
[準備]テキストおよび参考書で該当条文を読み、内容を確認しておくこと。
13 史料の輪読と内容把握(10) 推古天皇14年(606)4月壬辰(8日)条~5月戊午(5日)条
[準備]テキストおよび参考書で該当条文を読み、内容を確認しておくこと。
14 推古天皇とその時代(講義)
15 後期授業まとめ
その他
教科書 教科書は使用しない。
※テキストとして『日本書紀』刊年不明版本(国立国会図書館蔵、請求記号:839-1)を使用する。なお、このテキストは、国立国会図書館デジタルコレクション(URL:http://dl.ndl.go.jp/)で閲覧・印刷が可能である。
参考書 坂本太郎ほか校注 『日本書紀 下 (日本古典文学大系 新装版)』 岩波書店 1993年
小島憲之ほか校注・訳 『日本書紀 2 (新編日本古典文学全集)』 小学館 1996年
黒板勝美編 『日本書紀 後篇 (新訂増補国史大系 新装版)』 吉川弘文館 2000年
※史料の読解に際しては、これらの参考書の注・補注まで読むこと。読解のヒントが記されており、有用である。
成績評価の方法及び基準 レポート(30%)、授業参画度(60%)、小テスト(10%)
出席回数が少ない場合(0~9回)、授業時の発表・質疑応答への参加・レポートの提出・小テストへの回答があったとしても成績評価対象外となる。
※本授業は実習であり、出席が大前提である。やむを得ない場合(病気、ケガ、教育実習・博物館実習・介護等体験への参加など)を除き、休まないようにすること。
オフィスアワー ①授業終了後30分程度、基本的に講師室Aで対応(授業終了後の教室でも可)
②E-mailで対応
質問用アドレス t0000861@educ.chs.nihon-u.ac.jp
※担当講師より返信が無い場合は、届いていない可能性があるので、再度送信するか、BlackBoardの掲示板を利用する。
③BlackBoardの掲示板で対応
 BlackBoard登録終了後から対応する(ガイダンス日の翌日からを予定している)。

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