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日本史研究実習1

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平成27年度以前入学者 日本史研究実習1
教員名 江草 宣友
単位数    1 学年 3・4 開講区分 文理学部
科目群 史学科
学期 前期 履修区分 選択必修
授業テーマ 日本古代史の史料を読む1:『続日本紀』を読む
授業のねらい・到達目標 ◇授業のねらい
 本実習では、日本古代史料の読解力の向上を目的として、『続日本紀』の写本(国会図書館蔵、元禄4年写本)を利用して授業を進めていく。『続日本紀』は『日本書紀』に続く勅撰の国史で、文武天皇元年(697)から桓武天皇の延暦10年(791)までの95年間(全40巻)の記事を収めており、いわゆる奈良時代史の基本的な史料である。また、他の史書と比較しても本文研究が充実しており、日本古代史料の基本的な読解力を問うには最適な史料といえる。
 本年度は、『続日本紀』の養老2年(718)以降の条文を読み進めることとする。大宝律令の制定・施行により、律令国家として始動した日本ではあったが、律令の理念と当時の社会の状況には少なからぬ距離があった。8世紀初頭の文武天皇・元明天皇の時代は、その距離を縮めるための土台作りであったといってもよいであろう。これを受けた元正天皇の時代においては、養老律令の編纂、さらに『日本書紀』の編纂と奏上など、日本型の律令体制の整備が始まった時代といえる。
  また、それまで古代日本律令国家を主導してきた重要人物(元明太上天皇・藤原不比等など)が相次いで退場し、長屋王や藤原四子、橘諸兄、聖武天皇、光明皇后など次代を担う人物が表舞台に登場してくる時代でもある。
 このような時代の中で日本古代の国家・王権そして地域社会が如何にして変容していくのか、またその時代の人々がどのように生きていたのか、文献史料だけではなく木簡や漆紙文書などの出土文字資料や金石文、考古学の発掘調査の成果等を取り入れながら概観する。これらの検討を通じて日本古代社会の総体的理解を深めることを目的とする。

◇到達目標
【知識・理解】
・古代日本の史料を正確に読み、解釈することができる。
・六国史や正倉院文書など代表的な日本古代史料の特質を説明できる。
【関心・意欲】
・日本古代の史料に関心をもつ。
・発掘調査のニュースや記事などに関心をもつ。
・歴史に関する研究会やシンポジウムなどに参加する。
【技能・表現】
・日本古代史料の調査方法を身につける(読解のための「道具」を使いこなす)。
・史料を通して歴史を見る態度を身につける。
授業の方法 最初に、歴史資料の概要および漢文史料の読解方法について講義を行い、そののち受講生の発表を行う。
〔受講生発表時の授業の流れ〕
①史料の輪読
 『続日本紀』元禄4年写本を読み下していく。まず、条文を指示するので、指名された受講者は該当部分をその場で読み下していく。指名されなかった受講者はテキストに句読点、返り点を付す作業を行う。
②該当条文の解説
  担当者が語句説明(人名・地名・歴史用語など)・現代語訳案などを提示する。なお、語句説明では必要に応じて表や図版を使うこと。
③質疑応答・討論
  ①②に関する質疑応答を行う。また、解説担当者や受講生から出された疑問点に関して討論を行い、該当条文の理解を深めていく。
履修条件 ・句読点(「、」「。」)・返り点(レ点や一・二点など)が付されていない状態の漢文(白文)の読み下しができること。
・『大漢和辞典』『日本国語大辞典』『国史大辞典』など各種辞典類の基本的な使い方を理解していること。
事前学修・事後学修,授業計画コメント ・各回の該当条文を必ず事前に読み、読みや意味が不明な語句などは辞書等で確認し、史料の輪読、質疑応答・討議に加わることができるようにしておくこと。
・発表の1週間前に資料のチェックを行うため、発表する受講生はそれまでに資料を提出すること。
・授業中に基本的な読みや意味の確認等ができるように、辞典類を持参すること(電子辞書等でも構わない)。
授業計画
1 ガイダンス
2 日本古代史の史料を読む(講義)
[準備]ガイダンス時に配付する資料を読んでおくこと。
3 歴史資料と歴史学(講義)
[準備]ガイダンス時に配付する資料を読んでおくこと。また、その資料に掲載している参考文献にも目を通しておくことが望ましい。
4 史料の輪読と内容把握(1)養老2年(718)正月庚子(5日)条~4月癸酉(9日)条
[準備]テキストおよび参考書で該当条文を読み、内容を確認しておくこと。
5 史料の輪読と内容把握(2)養老2年(718)5月甲午朔(1日)条~9月甲寅(23日)条
[準備]テキストおよび参考書で該当条文を読み、内容を確認しておくこと。
6 史料の輪読と内容把握(3)養老2年(718)10月庚午(10日)条~12月甲戌(15日)条
[準備]テキストおよび参考書で該当条文を読み、内容を確認しておくこと。
7 史料の輪読と内容把握(4)養老3年(719)正月庚寅朔(1日)条~3月乙夘(26日)条
[準備]テキストおよび参考書で該当条文を読み、内容を確認しておくこと。
8 史料の輪読と内容把握(5)養老3年(719)4月丁夘(9日)条~6月丙子(19日)条
[準備]テキストおよび参考書で該当条文を読み、内容を確認しておくこと。
9 史料の輪読と内容把握(6)養老3年(719)7月辛夘(4日)条~9月辛巳(26日)条
[準備]テキストおよび参考書で該当条文を読み、内容を確認しておくこと。
10 史料の輪読と内容把握(8)養老3年(719)12月乙酉(2日)条~養老4年(720)正月庚辰(27日)条
[準備]テキストおよび参考書で該当条文を読み、内容を確認しておくこと。
11 史料の輪読と内容把握(7)養老3年(719)10月癸巳(9日)条~11月戊寅(24日)条
[準備]テキストおよび参考書で該当条文を読み、内容を確認しておくこと。
12 史料の輪読と内容把握(9)養老4年(720)2月乙酉(2日)条~3月己巳(17日)条(第一項)
[準備]テキストおよび参考書で該当条文を読み、内容を確認しておくこと。
13 史料の輪読と内容把握(10)養老4年(720)3月己巳(17日)条(第二項)~3月乙亥(23日)条
[準備]テキストおよび注釈書等で該当条文を読み、内容を確認しておくこと。
14 元正天皇とその時代(講義)
15 前期まとめ
その他
教科書 教科書は使用しない。
※テキストとして『続日本紀』元禄4年写本(国立国会図書館蔵、請求記号:本別5-39)を使用する。ガイダンス時に該当部分のコピーを配布する。なお、このテキストは国立国会図書館デジタルコレクション(URL:http://dl.ndl.go.jp/)で閲覧・印刷が可能である。
参考書 佐竹昭広ほか編 『続日本紀 (新日本古典文学大系)』 岩波書店 1989年
林陸朗編 『完訳・注釈 続日本紀』 現代思潮社 1985年
直木孝次郎ほか編 『続日本紀 (東洋文庫)』 平凡社 1986年
黒板勝美編 『続日本紀 新装版 (新訂増補国史大系)』 吉川弘文館 2000年
※史料の読解に際しては、これらの参考書の注・補注まで読むこと。読解のヒントが記されており、有用である。
成績評価の方法及び基準 レポート(30%)、授業参画度(60%)、小テスト(10%)
出席回数が少ない場合(0~9回)、授業時の発表・質疑応答への参加・レポートの提出・小テストへの回答があったとしても成績評価対象外となる。
※本授業は実習であり、出席が大前提である。やむを得ない場合(病気、ケガ、教育実習・博物館実習・介護等体験への参加など)を除き、休まないようにすること。
オフィスアワー ①授業終了後30分程度、基本的に講師室Aで対応(授業終了後の教室でも可)
②E-mailで対応 質問用アドレス t0000861@educ.chs.nihon-u.ac.jp
※担当講師より返信が無い場合は、届いていない可能性があるので、再度送信するか、BlackBoardの掲示板を利用する。
③BlackBoardの掲示板で対応
 BlackBoard登録終了後から対応する(ガイダンス日の翌日からを予定している)。

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