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科目名 | 東洋史特講1 | ||||
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旧カリキュラム名 | 東洋史特講1 | ||||
教員名 | 渡部 良子 | ||||
単位数 | 2 | 学年 | 2~4 | 開講区分 |
文理学部
(他学部生相互履修可) |
科目群 | 史学科 | ||||
学期 | 前期 | 履修区分 | 選択必修 |
授業テーマ | 西アジア・イスラーム世界の官僚技術と書記の世界 |
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授業のねらい・到達目標 | 本講義では、西アジア・イスラーム圏の文化を、国家の行政機構を支えた書記官僚たちの活動と技術、思想を通し考えてゆく。 西暦7世紀、アラビア半島に誕生したイスラームの拡大にともない、聖典クルアーンの言語であるアラビア語が書き言葉として高度に発達し、イスラームを受容した地域の言語にも影響を及ぼした。アラビア語をあやつり、イスラーム諸王朝の統治を支えたのは、ディーワーン(政庁)で活躍した「書く人」書記(カーティブ)であった。書き言葉のプロとして文書・財務行政を司った書記たちは、教養を備えた知識人でもあり、彼らの技術=書記術は、行政実務に留まらない、イスラーム圏の学問・文学の伝統を反映した知的文化であった。まずアラビア語で発達した書記術は、ペルシア語、トルコ語にも継承され、それぞれの言語で独自の発展を遂げてゆく。文書行政・財務行政の技術史をたどることは、イスラーム圏における国家行政のしくみ、そして知識人の伝統文化を理解する、重要な手がかりとなる。 本講義では、アラビア語の影響を受け発達したペルシア語世界において発達した書記術を通して、国家行政と書記の文化を考えてゆく。書記たちの歴史を通して考えるイスラーム史は、ヨーロッパ、東アジア、日本における国家行政と官僚の役割を考える上でも、さまざまな比較の材料を与えるだろう。 |
授業の方法 | 毎回講義形式で行う。 |
授業計画 | |
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1 | ガイダンス~書記の歴史から見えるもの |
2 | イスラームの発展とアラビア語・アラビア文字文化の広がり |
3 | ディーワーン(政庁):初期イスラーム~アッバース朝時代の行政機構と書記 |
4 | 書記たちの技術と文化:書記術指南書の登場 |
5 | ペルシア語文化の発展:近世ペルシア語の成立と「ペルシア語文化圏」の形成 |
6 | ペルシア語書記術の発展と書記術指南書 |
7 | 文書行政1:ペルシア語書簡作法の世界1 |
8 | 文書行政2:ペルシア語書簡作法の世界2 |
9 | 文書行政3:モンゴルの支配がもたらした変化 |
10 | 財務行政1:国家財政と簿記術 |
11 | 財務行政2:財務帳簿と財務文書 |
12 | 財務行政3:財務書記の世界 |
13 | 書記たちの文化1:ある官僚一族の歴史 |
14 | 近代と書記術:伝統の変容と継承 |
15 | まとめと確認 |
その他 | |
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教科書 | 特定の教科書は使用せず、毎回配布するプリントを使用。 |
参考書 | テーマに則した参考書をその都度紹介する。 |
成績評価の方法及び基準 | 平常点(20%)、レポート(50%)、毎回提出するコメント(30%) 受講者には、本特講で学んだことをもとに、自分が関心を持つ地域・時代に関する行政機構や官僚技術、あるいは広く「書く技術」や文字文化について自主研究を行い、レポートを提出してもらう。レポート課題の詳細・執筆上の注意点・提出期限などに関しては、第1回ガイダンスで指示する。 |